5月7日(土)2016明治安田生命J2リーグ第12節
愛媛FC 0-0 セレッソ大阪 (19:04/ニンスタ/7,740人)
試合写真・コメントなど
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 2016明治安田生命J2リーグ第12節。セレッソ大阪は、連勝を懸けて愛媛FCのホーム・ニンジニアスタジアムに乗り込んだ。愛媛とは、昨季のJ1昇格プレーオフ準決勝以来の対戦となった。

 試合は序盤、まずペースを掴んだのはホームの愛媛。守備時は両ウィングバックも下がって5枚で構える形にはなるが、コンパクトな陣形を保ちつつ前に押し出すと、奪ったボールはサイドで起点を作り、アタッキングサードへの進入を試みてきた。それでも、セレッソ守備陣は慌てることなく、愛媛の攻撃をしのぐ。前節の松本山雅FC戦で修正したセットプレーの守備はこの日も安定し、28分の玉林睦実のミドルシュートもGKキム ジンヒョンが阻止した。

 すると、前半の終盤、セレッソは2つのビッグチャンスを作る。1つ目は35分。相手ゴール前で、ソウザ、ブルーノ メネゲウ、山村和也が小気味良くパスを回すと、山村の縦パスを杉本健勇が落とし、ブルーノ メネゲウがシュート。この試合、セレッソにとって最初の枠内シュートは決定機に近かったが、シュートはGK正面に飛んだ。2つ目は44分。田中裕介のフィードに対し、リカルド サントスと競った愛媛DFのクリアがスペースに走り込んできた柿谷曜一朗へこぼれる。だが、決まったかに思われた柿谷のシュートは惜しくもサイドネット。欲しかった先制点を奪うことはできなかった。

 後半は、前半の立ち上がりとは一転、セレッソが攻勢を仕掛ける。47分、ブルーノ メネゲウのクロスからソウザが決定機を迎え、GKも外した状態でシュートを放ったが、相手DFにゴールライン手前でクリアされた。続く50分にもセレッソに決定機が訪れる。FKを素早く始めたセレッソは、柿谷の絶妙なクロスをリカルド サントスが頭で落とし、田中がボレーで合わせるも、この決定的なシュートも愛媛GK児玉剛に防がれた。ゴール前を固める愛媛に対し、セレッソはリスタートで工夫も凝らしつつ、左右の揺さぶりから決定機を作ったが、勝負への執念を見せる愛媛守備陣の前に、すぐそこまで来ているゴールを割ることができない。

 その後もセレッソは愛媛を自陣ゴール前に釘付けにしてゴールに迫ったが、愛媛の粘り強い守備を破ることが出来ない。76分には、4分前に交代で入った関口訓充が柿谷とのワンツーから惜しいシュートを放つが、ここもゴールを捉えることが出来なかった。

 再三の好機を生かせずにいると、試合終盤、セレッソは愛媛の反撃に遭う。「ゲームの進め方としては自分たちのタフにやる良さを出してゲームを作っていって、最後に頭ひとつでも抜けられればな…というプランでやった」と試合後に敵将・木山隆之監督が明かした言葉通り、選手交代も含めて前への推進力を増した愛媛の攻撃に、セレッソはクリアするのが精一杯の状態に。セカンドボールも相手に拾われ、波状攻撃を受けたが、前半同様、山下達也と田中らセレッソDFラインは冷静に対応。88分に訪れたこの試合最大のピンチも、近藤貴司のシュートはキム ジンヒョンがしっかりとキャッチした。

 90+3分、セレッソは最後の力を振り絞り、途中出場の澤上竜二のクロスに関口がヘディングで合わせたが、際どいコースに飛んだシュートはまたしても愛媛GK児玉に防がれた。結局、両チーム、最後までゴール目指して攻め続けたが、決め切ることは出来ず、昨季のJ1昇格プレーオフ準決勝と同じくスコアレスドロー。互いに勝点1ずつを分け合う結果に終わった。

「ハッキリしたチャンスはウチのほうが多かった」(ソウザ)、「後半の最初のほうは僕とソウザ、前半の最後に(柿谷)曜一朗。そういうところを決めていれば、というゲームではあった」(田中)。選手それぞれが試合後に話したように、セレッソとしては相手より得点のチャンスが明確にあっただけに、勝点3を逃した試合ともなったが、「相手を褒めないといけない。相手がいいプレーをした」(ソウザ)と愛媛守備陣の集中力も最後まで保たれていた。試合終盤の愛媛の猛攻を防ぎ、90+2分に決勝点を決められた昨季の第27節の再現だけは許さず、連戦の中で勝点1を取ったことも確かだ。

 今節を終え、今季ここまで12試合を消化したセレッソ。その中で残した勝点24という数字は素晴らしいが、上位10チームの中で最も少ない得点力は伸ばしていかなければならない。「サイドの選手も攻撃で組み立てて、ボールに絡んでいかないといけない。そうすればもっと違うサッカーもできる」(杉本)、「攻撃に関してもの足りなさはある。もう少し連動したプレーも必要」(関口)。選手はそれぞれに、今後へ向けた課題も口にした。

 長いリーグ戦。今後も今節のようなタフな試合が続くだろう。その中で、「悪い所は直して、自分たちのいい所をもっと出せるように、どこが相手でもやるだけかなと思います」と主将の柿谷は話す。まずは次節のレノファ山口FC戦。3試合ぶりにホームで迎えるこの試合で勝利を掴み取るべく、チームはしばしの休息の後、しっかりと準備を進めていく。

文・小田尚史