5月15日(日)2016明治安田生命J2リーグ第13節
セレッソ大阪 2-4 レノファ山口FC (16:04/金鳥スタ/10,857人)
試合写真・コメントなど
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 ゴールデンウィークの連戦を終えて、中1週間を空けて行われた、明治安田生命J2リーグ戦第13節。勝点24で暫定2位のセレッソ大阪は、J3から今季初昇格を果たしながら、勝点21で5位と躍進するレノファ山口FCと初めて顔を合わせ、約2週間ぶりとなるキンチョウスタジアムでのホームゲームに臨んだ。この一戦の先発には、左サイドバックに椋原健太、ボランチの一角に橋本英郎が入り、どちらも今季初出場となった。

 キックオフから山口が3人での連係で中央を突破してゴールへ向かえば、負けじとセレッソも、そのすぐ後のプレーで、GKキム ジンヒョンのロングフィードをきっかけに、リカルド サントス、杉本健勇、柿谷曜一朗とつないで、リカルド サントスがゴール前で好機を迎えた。どちらも得点につながらなかったとはいえ、序盤から攻め合いの様相が見えたこの試合。12分という早い時間帯に均衡が破られたが、先制したのは山口のほうだった。左サイドから右サイドへと流れていくようなパスワークにセレッソは付いて行けず、相手の右サイドバック・小池龍太の絶妙な裏への飛び出しから、きれいにゴールを奪われた。そこから、山口の連動した前線からの守備、庄司悦大を中心とした組織的なパスサッカーに苦しめられる。

 それでも25分、ブルーノ メネゲウの推進力あるドリブルでチャンスを切り開き、桜色の戦士たちは反撃開始。松田陸の右クロスから、杉本が競り合ったこぼれ球に反応したのは、好機の起点となったブルーノ メネゲウ。ダイナミックなジャンピングボレーシュートで叩きつけたボールは、GK一森純の頭を越え、ゴールに吸い込まれた。さらに、2分後の27分、ソウザのクロスフィードをきっかけに、相手のミスをうまく突いた杉本と柿谷がコンビプレーを見せると、最後は柿谷が右足でゴールに流し込み、一気に逆転に成功。エースの2試合ぶりの得点にスタジアムは熱狂した。

 前半を2-1で折り返したセレッソ。さらに攻勢をかけたかった後半だが、前半から主導権を握ることが多かった山口に再び押し込まれるシーンが目立つ。60分前後には立て続けにセットプレーも献上。65分には茂庭照幸を投入して打開を図ったが、悪い流れを断ち切ることができず、その1分後に山口のスローインから最後は鳥養祐矢にヘディングシュートを決められて2-2とされる。なおも72分、相手の連動した攻撃から、またしても鳥養にゴールを許し、あっという間に再逆転された。

 そこから、ビハインドを覆そうと、76分に玉田圭司、79分に関口訓充を相次いで投入したセレッソだが、リカルド サントスのヘディングシュートが枠をとらえきれないなど、ゴールが遠い。すると、終盤の86分、セレッソのコーナーキックのチャンスから一転、山口にカウンター攻撃を浴び、勢いよく前線へ複数が飛び出してきた相手を止めきれず。小池にこの日2点目のゴールを奪われ、万事休す。セレッソは山口の前に2-4と完敗を喫し、順位も山口に上回られ、暫定4位に転落した。

 ホームゲームではこれで2連敗、3試合勝ちなしとなり、山口の組織力に圧倒されたことも重なって、試合後のスタジアムにはセレッソサポーターのブーイングが響いた。「悔しい…」という言葉を絞り出すのがやっとだった松田陸をはじめ、桜色の戦士たちの表情は一様に重く、この敗戦のショックを物語っていた。

 それでも、「この試合の負けを引きずらないこと。自分たちの原点というか、粘り強く勝点を取ってきたチームなので、ここでバラバラにならずに、1人ひとりがやるべきことをやるということが、まずは大事になる」と田中裕介が前を向けば、「まだまだ上位にいるし、連勝できればまた首位にも行けると思うので、ここで気持ちを切らさず、チームとしてもう1回ひとつになって戦わなければいけない」と関口も言うように、ここで落ち込んではいられない。この敗戦を乗り越え、チーム一丸となって立て直し、J1昇格へ突き進むことこそ、セレッソの使命。また、それができるチームなのだから。もう昨シーズンのような悔しさを味わうわけにはいかない。

文・前田敏勝