5月28日(土)2016明治安田生命J2リーグ第15節
セレッソ大阪 2-1 ファジアーノ岡山 (18:34/ヤンマー/13,774人)
試合写真・コメントなど
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 最近3試合では1分2敗と勝ちなし。順位も暫定4位となっていたセレッソ大阪。明治安田生命J2リーグ第15節では、同じ勝点25、得失点差で2位のファジアーノ岡山と上位直接対決。今季前半戦の命運を占うような、重要な一戦に挑んだ。
 同日他会場では先にキックオフした首位の北海道コンサドーレ札幌が勝利して勝点を32と伸ばしただけでなく、京都サンガF.C.も勝って勝点26と躍進。ここでもしセレッソが負ければ、順位としてもさらに苦しい状況に追い込まれることもあり、桜色の戦士たちにとってはなにがなんでも勝利が求められる試合となった。

 前節にセレッソのトップチームで初出場した清原翔平が、今季J2にて初先発し、柿谷曜一朗が最前線のポジションに入った。試合開始早々、ソウザが足を傷めるトラブルに見舞われ、わずか5分で途中交代を余儀なくされた序盤戦では、日中に降り続いた雨の影響でピッチがスリッピーになっていたことや岡山の前線からのハイプレスにも苦しみ、落ち着かない展開になる。すると13分、自陣でのパスミスから失点。第13節・レノファ山口FC戦のような厳しいスタートを強いられた。

 それでも、この日のセレッソはここであわてることなく反撃を仕掛けていく。22分に松田陸のシュート性の右クロスにブルーノ メネゲウが飛び込んで最初の決定機を迎えれば、28分には杉本健勇と柿谷とのワンツーから最後は清原がゴール前に飛び込んで相手ゴールを脅かす。そして31分、丸橋祐介のスローインからのチャンスで、ソウザと替わって出場していた扇原貴宏の左クロスに、ブルーノ メネゲウと清原がゴール前に飛び込むと、最後は清原が粘り強くボールを足に当ててゴール。「自分の得点の形の1つとして、ああいうところに突っ込んでいくところもあり、その特長を出せてよかった」という、持ち味を生かした清原の今季J2初得点で、試合を振り出しに戻すことができた。

 さらに、柿谷から「今季始まってから試合に出られない日々が続いたなか、このチャンスで責任感を持ってやってほしかったのと、特に真ん中(のポジション)にいたということもあって」という思いから1失点後にキャプテンマークを託された桜生え抜きの舵取り役・扇原を中心に、ボールを巧みに回しながらセレッソらしいサッカーで攻勢を加速させていく。
 その攻勢が実ったのは、63分。柿谷のフィードを、投入されたばかりの関口訓充が右サイドを疾走してボールを収め、松田に一旦戻すと、タフネス右サイドバックの15番がフリーで右クロス。これをニアサイドでボランチ・山村和也が高い打点のヘディングシュートで合わせ、GKの手の届かないコースにゴールを決めきった。この瞬間、桜色のサポーターは大歓声。見事に勝ち越しに成功した。

 ただ、そこからは再びアクシデント。茂庭照幸の負傷で3枚目の交代カードを76分に使い切ってしまう。序盤から激しく動き回った前線の運動量も衰え始めたことも重なり、パワープレーやロングスロー、コーナーキックという岡山の高さを生かした攻撃に押し込まれる終盤だったが、「カウンターでチャンスもあり、もう1点取れればよかったが、後ろは我慢をして、前は点を取りに行くという、理想的な戦い方ができた」と言うのは、交代出場ながら最終ラインで奮闘を見せた田中裕介。チーム全体で最後まで粘り強く守備をしたセレッソは、追加点こそあげられなかったものの、そのまま2-1と勝ちきり、ホームでは4月3日の第6節・ジェフユナイテッド千葉戦以来、約1カ月半ぶり、ヤンマースタジアム長居でのリーグ戦では昨年6月6日の第17節・愛媛FC戦以来、約1年ぶりの白星を飾ることができた。

「最近勝てていなかったので、チームのために勝点3を積み上げることができてよかった」と言うのは殊勲の1人・清原。彼だけでなく、扇原など新たに出番を得た選手も含めて、「今日に関しては18人しか(メンバーを)登録できないなか、イレギュラーのケガを(乗り越えたところも)含めて、18人で非常に集中して頑張ってくれた」と大熊清監督もイレブンを称えた。チームとして戦い抜き、勝利できたこの試合の意義は、大きな価値のあるもの。それでも「この勝ちを継続していくことが大事」と気を引き締めたのは山下達也。
 次節のホームで戦うカマタマーレ讃岐戦でも、今回のようなファイティングスピリットを前面に出したセレッソのアグレッシブなサッカーを続けて、勝点を重ねていくことが、J1への道となる。

文・前田敏勝