6月4日(土)2016明治安田生命J2リーグ第16節
セレッソ大阪 2-3 カマタマーレ讃岐 (16:04/ヤンマー/18,002人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグにて、前節のファジアーノ岡山戦で今季初の逆転勝利を収め、上位決戦を制したセレッソ大阪。その勢いを生かし、約2カ月ぶりの連勝を目指して、2試合連続となるヤンマースタジアム長居を舞台にしたホームゲーム・第16節では、カマタマーレ讃岐と顔を合わせた。
 その一戦では、前節、前半早々からの緊急出場ながら、チームの4試合ぶりとなる白星に大きく貢献した扇原貴宏が、今季初めて先発メンバーとしてピッチに立った。また、韓国代表戦のためチームを一時離脱中のキム ジンヒョンに替わって、GK丹野研太が今季のJ2で初登場した。

 この讃岐戦でのセレッソは最近の試合の反省を生かすべく、「キックオフと同時に一番いい状態でいけるようにしたい」と戦前に柿谷曜一朗が述べていたように、序盤から攻勢を仕掛ける。すると10分、先制点獲得に成功。ブルーノ メネゲウの突破が一度は阻まれるも、そのこぼれ球を素早く収めたのは、柿谷。桜の主将は一気にテンポアップして相手を軽やかにかわすと、DFに囲まれそうになりながらも素早く右足を振り抜き、鮮やかにゴールゲット。エースの3試合ぶりとなる得点から、理想的な形で試合に入っていくことができた。

 その後もセレッソペースで進むかと思われたが、讃岐の強いプレッシャー、球際でのハードさが際立ってくるなかで、チームとして「相手の圧力を受けてしまった部分があった」と言うのは2試合連続先発出場した清原翔平。徐々にセレッソにミスも散見され始める。さらに、1点リードで迎えた後半になると、前半途中から垣間見えた「自分たちの時間が少なくなって、あわてて前に運びすぎた」(松田陸)という課題がより鮮明になり、サイド攻撃から讃岐に決定機を作られ続けていく。

 それでも、丹野の好守やゴールポストにも助けられるなど、なんとか失点を免れていた。60分に関口訓充を投入して打開を図ったセレッソ、69分に追加点の好機が訪れる。ブルーノ メネゲウのスルーパスに抜け出した柿谷が讃岐GK清水健太と1対1になるシーンが生まれた。だがしかし、柿谷のシュートはわずかに枠を外れ、流れを再び引き寄せることができない。

 すると71分、扇原がこの試合2枚目の警告を受けて、退場に。セレッソは今季初めて数的不利を強いられる。その前から交代の準備をしていた橋本英郎をブルーノ メネゲウに替えてピッチに送り込み、安定を図ろうとしたのだが、讃岐の攻勢を抑えきれず。77分、80分とサイドからのクロスで崩されて失点を重ね、逆転を許してしまった。

 しかし、ビハインドを負った直後にFW澤上竜二を入れ、1人少ないなかでも必死に1点を取りに行ったセレッソ。その思いが実ったのは、アディショナルタイムの90+2分だった。丸橋祐介の左クロスに、大外から飛び込んだのは、右サイドバックの松田。「追い付くことしか考えていなかったので。あそこに飛び込もうと思っていた」という15番が、執念でボールを右足で押し込み、土壇場で試合を振り出しに戻した。

 ヒートアップしたスタジアム。サポーターの声援を後押しに、ホームで勝ちに行ったセレッソ。そこで最後の最後に落とし穴が待っていた。
 90+4分、パワープレー気味に攻勢をかけた直後の讃岐のカウンターから、強烈なミドルシュートを浴びてしまい、まさかの失点。結局、2-3という結果に終わったセレッソは、ホームで痛恨の敗戦を喫してしまった。

『3万人集客プロジェクト』と銘打ったホームゲームで、ヤンマースタジアム長居に集まった入場者数は18,002人だったが、この数字は今節のJ2では最多のもの。その多くの桜色のサポーターの応援があったにもかかわらず、勝利を届けることができなかったのは痛恨の極みだ。「今日は勝たなあかんかった試合。悔しいです…」、柿谷が絞り出したコメントに、すべての思いが表れていた。

 首位の札幌との勝点差は5に離れ、今季ワーストとなる暫定5位にまで転落してしまったセレッソ。それでも、まだまだ続くJ2リーグで反撃を仕掛けていかなければ、J1昇格への道は遠のくばかり。「ひきずっていても仕方ないと思うし、42試合終わったときに自分たちがしっかりとJ1に上がれる位置にいなければいけないと思うので。そこを目指してやるのみだと思う」と清原。桜色の戦士たちに、これ以上立ち止まっている暇はない。

文・前田敏勝