6月12日(日)2016明治安田生命J2リーグ第18節
FC岐阜 0-1 セレッソ大阪 (13:05/長良川/8,087人)
試合写真・コメントなど
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 中3日でのアウェイ連戦となった今節。劇的な勝利を収めた第17節・V・ファーレン長崎戦 に続けと連勝を目指して乗り込んだ敵地でのFC岐阜戦は、5分、左サイドで杉本健勇が相手DF2人を引きつけて丸橋祐介へ落とすと、丸橋も対応に来たDFをかわして縦へ深く進入。マイナスに折り返したパスをブルーノ メネゲウが合わせて、セレッソ大阪が電光石火の先制点を奪った。ブルーノ メネゲウはこれで今季4点目。過去3得点はいずれも勝利には結びついていなかっただけに、「自分のゴールでチームが勝つことは最高の気分。とてもうれしい」と試合後は会心の笑みを浮かべた。 

 また、アシストした丸橋にとっては、この試合が記念すべきJリーグ通算200試合目。普段、クラブハウスからアウェイ遠征に出発する際、見送るサポーターに対して最後までチームバスの中から手を振り続ける心優しき男の個人技が光った。
 もっとも、先制後の試合運びについては、その丸橋自身、「もっと2点目を取りに行っても良かった」と話したように、課題も残った。先制後は岐阜に主導権を渡したセレッソは、ファーストディフェンスとして岐阜のパスの出し手にプレッシャーがかからず、容易に縦パスを入れられた。37分には、岐阜のボランチ苅部隆太郎にスルーパスを通され、背後を取ったレオ ミネイロの折り返しから岐阜に決定機を与えたが、難波宏明のシュートはポスト左に外れて事なきを得た。

 得点後はソウザのFKからのシュート1本に留まっていたセレッソだが、35分にチャンスが訪れる。負傷離脱中の柿谷曜一朗に代わって、この試合、キャプテンマークを巻いたキム ジンヒョンのキックを杉本健勇がヘッドで逸らすと、リカルド サントスが相手との競り合いで粘って抜け出し、ゴール前へパス。先制点のリプレイのような展開でもあったが、このラストパスは、中で待ち構えたブルーノ メネゲウにわずかに合わず、相手DFに防がれた。 

 セレッソ1点リードで迎えた後半も、岐阜の攻勢は続く。47分には、レオ ミネイロのクロスに田中パウロ淳一が決定的なシュートチャンスを迎えかけたが、ここは判断良く飛び出したキム ジンヒョンが体を張ってシュートを阻止した。ちなみに、今季でセレッソ在籍8年目となるキム ジンヒョンだが、キャプテンマークを巻いて試合に臨んだのは今節が初めて。「キャプテンマークを巻いても巻かなくても、いつもと同じだとは思っていたけど、声はいつも以上に出た(笑)。チームのために責任感を持って戦った」と、試合後は“キャプテン”として戦い終えた心境を笑顔で語った。

 この試合、得点シーン以外でセレッソサポーターが最も沸いたのは、64分に玉田圭司がピッチに投入された時だった。期待を背にピッチへ入った背番号20は、持ち前のテクニックの高さでチームに落ち着きをもたらすと、72分には澤上竜二へラストパス。抜け出した澤上はペナルティーエリア内で相手DFに倒されたかにも見えたが、主審の笛は鳴らず。後半アディショナルタイムにも、玉田は見事なターンから前を向いてリカルド サントスへパスを通し、好機につなげかけた。「結果を出したかったけど、簡単にはうまくいかないね」と自身のプレーを振り返った玉田だが、今後、攻撃の質を高めていくためには欠かせない選手であることをピッチで証明した。

 また、75分には、この試合がJ2復帰戦となった藤本康太が山村和也に代わってボランチに投入された。負傷を繰り返した昨季は一度もピッチに立つことがなかっただけに、彼の復帰もセレッソにとってはうれしいニュース。公式戦におけるボランチでのプレーは「プロ1年目のデビュー戦以来」ということで、「多少の違和感はあった(笑)」と話すも、「やることは限られていたし、ハッキリしていた。監督の指示を受けながら、スムーズに入れた」と守備をメインに役割を全うした。チームとしても、後半の中盤以降は岐阜にシュートは打たれても決定機を与えることなく1点差を守り切り、6試合ぶりに無失点で終えた。

 先制後、追加点を奪って突き放せなかった攻撃。連動したプレスが思うようにかからなかった守備。攻守それぞれに課題が残ったことも事実だが、第6節・ジェフユナイテッド千葉戦 第7節・清水エスパルス戦 以来となる連勝を敵地で果たしたセレッソは、順位も暫定で2位に浮上。次節以降のホーム連戦での首位返り咲きへ、追撃態勢を整えることに成功した。

 文・小田尚史