7月9日(土)2016明治安田生命J2リーグ第22節
セレッソ大阪 0-0 北海道コンサドーレ札幌 (19:04/金鳥スタ/13,443人)
試合写真・コメントなど
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 2016明治安田生命J2リーグ42試合中21試合を終え、前節のロアッソ熊本戦 でも5-1と大勝するなど、5連勝で2位(勝点43)につけるセレッソ大阪。後半戦のスタートとなった第22節で、いきなり大一番に臨んだ。ホーム・キンチョウスタジアムに迎え撃ったのは、こちらも4連勝中、1試合消化が少ないなかでも勝点45で首位に立つ北海道コンサドーレ札幌。前回対戦の第9節 では今季初黒星を喫し、そこで首位から陥落したこともあり、今回の一戦では勝って首位を奪い返すべく、桜色の戦士たちはリベンジを期す覚悟で、首位決戦に挑んだ。

 ただし、この試合を前にチームトップスコアラー(6得点)でもあったブルーノ メネゲウの長春亜泰足球倶楽部(中国)への移籍が決定。前節もゴールを決めるなど、今季の主軸として前半戦を牽引してきた10番を、「想定外」(大熊清監督)の形でチームから失うことになったセレッソ。この札幌戦では、ソウザが、これまでブルーノ メネゲウが務めていたトップ下に入った。また、半年ぶりにセレッソへ復帰し、7月から新たに登録され、前節も早速の先発出場で勝利に貢献した山口蛍が、今節もスターティングメンバー入り。山村和也とボランチでコンビを組んだ。

 試合は、セレッソが序盤から攻勢をかける。開始4分で得たコーナーキックから、丸橋祐介のクロスボールに山村和也がヘッドで合わせて札幌ゴールを強襲。8分にも松田陸の右クロスにゴール前でソウザとリカルド サントスが飛び込む。15分にはソウザが右足一閃の強烈なミドルシュートを放てば、31分にも杉本健勇のミドルシュートのこぼれ球にフリーの清原翔平が反応。34分のフリーキックでは清原の巧みなヘッドがあり、そのこぼれ球にも複数の選手が飛び込んでゴールへの意欲を見せる。しかし、どのチャンスも、かつてセレッソでプレーし、現在は札幌の守護神として君臨するク ソンユンの再三にわたる好セーブにあうなど、決めきることができない。札幌にも17分と20分には好機を作られるシーンがあったが、丸橋や田中裕介の好カバー、キム ジンヒョンの好守でしのぐなど、先手を相手に与えない。

 後半に入って、61分に札幌が切り札の1人・内村圭宏を投入すると、そこからリズムが変わり、セレッソに疲れの色が見え始めたことも重なって、札幌に押し込まれる時間が続く。それでも、負傷離脱中の柿谷曜一朗に代わってキャプテンマークを巻く21番・キム ジンヒョンが鋭い反応、身体を張ったプレーで最後の砦としてゴールを死守。山口をはじめとする全体の守備意識も高いことで、失点を許さなかった。

 一方で、セレッソも68分に玉田圭司をピッチに送り込む。直後の69分には、玉田のパスを受けた杉本が狙い澄ましたミドルシュートを放つが、前半で負傷退場したク ソンユンに代わって札幌ゴールを守る金山隼樹のビッグセーブにあい、1点が遠い。終盤には関口訓充、田代有三を立て続けに送り込んで活路を見出そうとしたが、リーグ最少失点を誇る札幌守備陣の壁を、最後までこじ開けることはできず。結局、0-0のスコアレスドローに終わり、今季初となる6連勝達成はならなかった。

 両チームのGKのすばらしいパフォーマンスもあり、13,443人の観衆を魅了するような、引き締まった内容となった頂上対決。「間違いなく勝ちたかった試合。(中略)最後のところで決めきれなかったのは、反省するところ」と杉本も悔やむように、当然、セレッソとしてはこの引き分けに満足することはできない。それでも、「1人ひとりが『誰かのために』というか、無理してやってくれるというのは、これからの戦いにも利いてくるところ。それができれば、絶対に夏は乗り切れると思う」と山下達也も述べるように、桜色の戦士たちの果敢な姿勢は次につながるもの。酷暑の夏を乗り切るべく、この一戦をきっかけに、さらにチーム力を上げてJ1復帰へと進んでいきたいものだ。そのためにも、「これからの試合で勝点3を取って、少しでも(首位に)離されないよう、付いていかないといけない」(田代)。

文・前田敏勝