7月16日(土)2016明治安田生命J2リーグ第23節
ザスパクサツ群馬 0-2 セレッソ大阪 (18:04/正田スタ/6,986人)
試合写真・コメントなど
----------

 明治安田生命J2リーグ第23節・ザスパクサツ群馬戦。敵地に乗り込んだセレッソ大阪は試合開始から左サイドを中心にボールを握ると、3分に早くも試合を動かす。期限付き移籍していたドルトムント(ドイツ)から復帰後、トップチームで初出場・初先発を果たした丸岡満が清原翔平とのワンツーで放ったシュートが相手DFに当たってセレッソが獲得したCK。丸橋祐介が蹴ったボールをニアで杉本健勇がそらすと、頭で詰めたのは清原。「いつも狙っているところなので、相手より早く触れた」と自身も納得のゴールが決まり、セレッソが待望の先制点を奪った。

 立ち上がりの相手の緩さを突いた先制点は、0-0の時間を少しでも長くしたいというゲームプランを持っていた群馬に大きなダメージを与えた。その後もセレッソはサイドを広く使って相手を揺さぶりながら、攻撃を仕掛けていく。ボールを失った時の守備への切り替えも早く、すぐに相手を囲い込んで高い位置でボールを奪い切るなど、群馬に速攻を許さない。一方的にセレッソが試合を支配する展開の中、18分にはCK後のクロスのこぼれ球から、30分には杉本がサイドをえぐって折り返し、リカルド サントスのシュートが相手DFに当たった跳ね返りから、いずれも丸岡に得点のチャンスが訪れたが、ここは決め切ることができなかった。

 すると、「前半はサイドチェンジはできていたけど、足元、足元になってしまうこともあった」と山口蛍が試合後に振り返ったように、セレッソは次第に攻撃に停滞感が生まれてくる。そして、序盤の不安定さを立て直し、守備ブロックを整えた上で前からのプレスもハマり始めた群馬に攻撃を許し始める。サイドからの群馬のクロスはなんとか守備陣が跳ね返したが、前半のラスト5分と後半の立ち上がり10分は群馬のペースで試合は進んだ。

「前半のうちに2点、3点と取れるチャンスはあった。そこで決め切れずに、これでもし追いつかれたら相手に勢いが付くという感じだった」(杉本)。セレッソにとっては少し嫌な流れに傾きかけたが、この状況を打破したのが61分、見事なカウンターから生まれた杉本の追加点だった。
 この2点目は、自陣ペナルティーエリア内で奪ったボールを田中裕介が簡単に前に蹴るのではなく丁寧に丸岡へつないだところから始まった。丸岡、リカルド サントス、清原と素早くパスが渡り、清原がDF2人を軽やかなステップでかわしてドリブルで独走。清原の後ろから斜めに走り込んできたリカルド サントスへ清原からパスが通ると、リカルド サントスのマイナスの折り返しに、後ろから駆け上がってきた杉本がダイレクトで合わせてゴールに流し込んだ。複数の選手が一斉に長い距離を走ってゴールに向かう、まさにドルトムントが見せるような迫力あるカウンターだった。

 この得点で勝利の可能性をグッと引き寄せたセレッソが、以降は再びゲームを掌握。勝利を決定付ける3点目こそ奪うことはできなかったが、相手に決定的なチャンスも与えなかった。前後半を通じて群馬に許したシュートはわずかに2本。枠内シュートは0本だった。
「前半からボールも握れて守備への切り替えも早かった。後ろは比較的、楽な展開が続いたので、前の選手に感謝したい」。山下達也がそう攻撃陣へ感謝の気持ちを述べれば、「チャンスの数から見てももっと点も取れたと思うし、改善できることは多い。そこは改善しつつ、3連戦を乗り切りたい」と、最後まで運動量を落とさず攻撃を引っ張り続けた清原は勝って兜の緒を締めた。攻守に歯車がガッチリ噛み合ったセレッソが敵地で群馬を一蹴。ここから中3日で続く真夏の連戦へ弾みをつける快勝を収めた。

文・小田尚史