7月24日(日)2016明治安田生命J2リーグ第25節
カマタマーレ讃岐 2-1 セレッソ大阪 (18:03/ピカスタ/11,376人)
試合写真・コメントなど
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 夏休みに入って最初の日曜日。カマタマーレ讃岐のホーム・Pikaraスタジアムに詰めかけた観客数は、讃岐のクラブ史上最多となる11,376人。そんな大声援を背に勢いよく試合に入ってきた讃岐に対し、セレッソ大阪は試合の立ち上がり、受け身に回ってしまう。すると6分、杉本健勇が馬場賢治にボールを奪われ、仲間隼斗からのパスに抜け出した木島徹也にあっけなく先制ゴールを許してしまった。「自分が失ったところから失点してしまった。一瞬、みんな『ファウルかな?』と思って止まってしまった部分もある。自分も含めて切り替えないといけなかった」と杉本が振り返ったように、セレッソとしては、セルフジャッジでプレーを止めてしまった隙を突かれた、もったいない失点だった。

 その後は、守備ブロックを作る讃岐に対して、セレッソはボールをつなぎながらサイドに展開、クロスから得点を狙うも、中を固めた讃岐DFに跳ね返される場面が目立つ。クロス以外にもソウザがミドルシュートで再三こじ開けにかかるが、讃岐GK清水健太に防がれる。3試合連続でトップ下での先発となった丸岡満も「思うようにボールに触ることができなかった。持ったとしても、相手に持たされている感じもあった」と効果的にボールを受けることができなかった。讃岐の守備組織を崩せないでいると、41分にセレッソは再びカウンターから讃岐に追加点を与えてしまった。

「ケアしながらやられてしまったことを謙虚にもう一度見て、検証したい」。試合後に大熊清監督もそう話したが、縦に速い讃岐の攻撃はチームとしても十分に理解していたはずが、「相手のストロングポイント」(田中裕介)でやられた2失点は、大いに反省が必要だ。

 後半開始から大熊監督は丸岡に代えて山村和也をピッチに送る。ソウザをトップ下に上げ、山村と山口蛍のダブルボランチに中盤の構成を変えて反撃態勢を整える。前半に比べて攻撃の位置が高くなったセレッソは、前半以上に讃岐を押し込み、ゴールに迫る。53分には杉本が、65分には清原翔平が、それぞれカットインからシュートを放つも決め切ることができない。それでも、66分に清原に代わってピッチに入った玉田圭司が攻撃に変化を付けると、得点の匂いは増していった。「外から見ていて、相手も割り切っていたし、(クロスは)跳ね返されていたから、相手の急所を突くパスが有効になると思った」とベンチで戦況を見ていた玉田は、その言葉通り、相手にとって嫌な位置でボールを受けると、鋭いドリブル突破やスルーパスで好機を演出。77分には相手を背負いながらソウザへパスを通すと、ソウザが一度はDFに当てながら、その跳ね返りをゴールに押し込んで、セレッソが1点を返すことに成功した。 

 このまま一気に同点まで持ち込みたいセレッソだったが、祈りにも似たスタジアムの後押しを受けて戦ったこの日の讃岐は、守備での集中力も最後まで高かった。試合終盤、大熊監督は丸橋祐介を下げて澤上竜二をピッチに送った。「相手はかなり守備の枚数をかけていたので、(左サイドの高い位置に)澤上を入れて、右からのクロスからこじ開けようという狙いがあった」と試合後に交代の意図を話したが、思うようにチャンスを作ることはできなかった。最後はGKキム ジンヒョンも前線に上がって執念の攻撃を見せたセレッソだが、ラストプレーとなったCKから、最後は澤上がオーバーヘッドで狙ったシュートがゴールライン手前で相手DFにかき出された瞬間、タイムアップ。シュート数では25対8、CKの数では14対0とセレッソが圧倒的に讃岐を押し込んだが、結果は1-2で敗れる形となった。

 ホームで逆転負けを喫した第16節 に続き、アウェイでも讃岐に敗れたセレッソ。苦い記憶を上塗りする結果に、試合後のセレッソサポーター席からは大きなブーイングが飛んだ。首位・北海道コンサドーレ札幌の背中が遠くなりそうな厳しい連敗となったが、「下を向いている時間はないので、全員で結束して一丸となって、しっかりと次の試合に向けて準備したい」と大熊監督。次節はアウェイでの京都サンガF.C.戦(現在5位)。自動昇格を争うライバルとの“決戦”は、勝利しかない。

文・小田尚史