8月7日(日)2016明治安田生命J2リーグ第27節
セレッソ大阪 2-3 横浜FC (19:04/金鳥スタ/13,246人)
試合写真・コメントなど
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 2016明治安田生命J2リーグ戦にて、最近3試合で1分2敗と苦戦が続いていたセレッソ大阪。月が変わった8月、流れを変えるべく臨んだ第27節では、最近4戦負けなしと調子を上げてきている横浜FCと、ホームのキンチョウスタジアムで対戦した。この一戦では、今夏限定のネイビーのサマーユニフォームをフィールドプレーヤーが着用。GKキム ジンヒョンはリーグ戦のホームでは初めてピンク色のGKユニフォームを身にまとってピッチに立った。

 前節・京都サンガF.C.戦 では、0-3から土壇場での3得点でなんとか引き分けに持ち込み、連敗は止めたセレッソ。この一戦では、その後半の反撃時にも見せた杉本健勇が1トップ、ソウザがトップ下に入る布陣を採用。京都戦での負傷交代の影響も心配された清原翔平も元気にスターティングメンバー入りし、累積警告により京都戦で出場停止だった田中裕介、丸橋祐介も先発に復帰した。

 試合では、最近は出色のプレーを見せ続ける杉本を軸にセレッソが主導権を握ると、18分、いまやチームを牽引する桜イズムを持つストライカー、その杉本が先制弾。関口訓充、山口蛍との連係でペナルティーエリアに入っていった9番は、右足を一閃。鋭いシュートが見事にゴールネットに突き刺さった。2試合連続、今季8得点目となる杉本のゴールに、スタジアムの歓喜は爆発した。

 その後は、横浜FCの長身FWイバを中心とする高さを生かした攻撃を受けることもあったが、セレッソも清原らの献身的な守備もあって相手の反撃の芽を摘み、逆にセットプレーやカウンターから好機を作るなど、後半にかけても攻勢を展開。
 すると66分、待望の追加点を獲得。左コーナーキック、丸橋のキックからファーサイドの山下達也がヘッドで中へ折り返すと、そのボールを左足で合わせた山村和也がゴールに流し込んだ。貴重な2点目で、4試合ぶり勝利への流れを確実にしたと、そのときは思われた。

 しかし、横浜FCが69分に三浦知良をピッチに送り込むと、日本サッカー界のレジェンドとも言えるJ現役最年長の49歳のストライカーに、スタジアムの雰囲気を一変されてしまう。75分、その三浦にゴールを献上。「あれは絶対にやられてはダメだったし、俺らの甘さがあそこに全部出てしまっていた」、そう杉本は振り返ったが、まさにここがターニングポイントになってしまった。 

 しかも、セレッソは失点直前から足に違和感を訴えた杉本が、一度はプレー続行を試みるも「違和感への対処ということで、替えたほうがいいということになった」(大熊清監督)ため、76分にリカルド サントスとの交代を余儀なくされてしまう。そのなかでチームの動揺を横浜FCにつけ込まれ、79分に再び横浜FCの左サイドから攻め崩され、イバにヘディングを叩き込まれた。京都戦同様、短い間隔で失点を重ね、あっという間に試合を振り出しに戻された。
 
2失点目の直後には玉田圭司、そして86分にはこの試合がホームデビュー戦となるベサルト アブドゥラヒミを入れて、なんとか勝ち越しを狙ったセレッソ。しかし、アディショナルタイムにて均衡を破ったのは横浜FC。90+1分、途中出場の内田智也に決勝点を押し込まれた。結局、2得点からの3失点という屈辱的な逆転負けを喫したセレッソは、勝点48のまま。首位・北海道コンサドーレ札幌(勝点59)との差が11と大きく広がっただけでなく、ファジアーノ岡山(勝点49)にも抜かれて4位に陥落。ホームでは第24節・FC町田ゼルビア戦に続く逆転負け、さらに前節に続く3失点ということで、サポーターも含めて、チームにとってショックの大きい敗戦となった。

「ここ3、4試合を通して、すべて同じ形で失点しているというのはあると思うので…。今日の負けというのは、すごく重く受け止めなくちゃいけない」と言うのは、山口。それでも「ただ、もうどうこう言っている暇もないし、時間もない」と杉本も言うように、連戦はすぐにやってくる。「次が山口(中3日でで、その後ホームで松本(中2日)と試合なので、その2試合はどうしても落とせない。それを落としてしまえば、自分たちがJ1に自動昇格で行く可能性は、本当に厳しくなってくる」(山口)だけに、下を向いてはいられない。今こそチーム一丸となって難局を乗り越えなければいけないときだ。クラブ、そして自分たちの未来のためにも、ここからの1週間はまさに勝負どころを迎える。

文・前田敏勝