9月3日(土)第96回天皇杯2回戦
セレッソ大阪 2-1 京都サンガF.C. (19:00/金鳥スタ/5,518人)
試合写真・コメントなど
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 第96回天皇杯2回戦で、セレッソ大阪は今季3度目となる京都サンガF.C.との関西ダービーに臨んだ。J1昇格を争う宿敵との一戦は予想通り難しいものになった。1回戦からメンバーを2人変更し、山下達也と玉田圭司が新たに先発したセレッソ。序盤の2分に玉田のミドルシュートで相手ゴールを脅かすも、その後は京都の攻勢からピンチも招くなどペースを握られる。すると、明治安田生命J2リーグ戦での京都との2試合同様に先手を献上。14分、セレッソの左サイドを突破され、ダニエル ロビーニョからのクロスを山瀬功治に押し込まれた。

 それでも、「あそこで立て続けに取られたらダメだと思っていましたし、次の1点で、同点にできるか0-2にされるかで、この試合が決まるという気持ちでいた」と言うのは、この試合で初めてゲームキャプテンを務めた杉本健勇。そのチームの牽引役となっている9番が流れを変える。思い切りのいい仕掛けを試みてPKを獲得すると、このPKを杉本自らが決めきり、前半25分で試合を振り出しに戻す。

 そこからは玉田、杉本、酒本憲幸の前線トリオや、右サイドの松田陸、田中裕介の攻撃参加、ソウザや山村和也といったボランチコンビの舵取りなどで、セレッソが主導権を奪い返す。1-1で折り返した後半も京都に圧力をかけていくと、玉田をファウルで止めた京都DF染谷悠太に2枚目の警告が提示され、染谷は退場処分に。セレッソは数的優位となったのだが、「あれだけ(京都に)中を閉められると、なかなか決定打を打てなかった」と大熊清監督も言うように、1人少なくなったことで守備を一層固めてきた京都を攻め崩せず。途中出場の京都FWエスクデロ競飛王を軸とするカウンターには、藤本康太らDF陣がしっかり対応して失点こそしなかったが、結局90分では決着をつけられず。延長戦にもつれ込む。

 延長前半も膠着状態が続いたが、延長後半の早々、ようやく試合を動かすことができた。107分、京都ゴールをこじ開けたのは、ソウザ。松田の右クロスをきっかけに、ゴール前でボールを受けた6番は、相手DFを2度のフェイントで振り切り、右足でゴールを決めきった。その瞬間、キンチョウスタジアムのボルテージは最高潮。ゴール裏から後押しするセレッソサポーターの目の前で、イレブンは喜びを分かち合った。
 その後、追加点のチャンスこそ決めきれなかったが、途中出場の関口訓充をはじめ、タフに戦ったチームは、京都の反撃をしのぎ、そのまま2-1と勝利。リーグ戦1分1敗と勝てなかった相手に、ようやく雪辱を果たすことができ、公式戦3連勝を達成。1週間後に再開するJ2リーグ戦にも弾みのつく勝利となった。

「気持ちの面で一体感を出せていると思うし、それが延長戦とかにも表れた」と言うのは、GK丹野研太。「ただ、これで別に何かをつかんだわけではないし、しっかりと次のリーグ戦でも、J1昇格に向けて、しっかり切り替えてやっていきたい」と気を引き締めるように、天皇杯も、そしてJ2も、ここからが本当の勝負。「リーグ戦の残り試合も少ないので、全部勝っていけるように、そういう気持ちでやっていかないとJ1昇格はできないと思うので、勝ち続けていきたい」(藤本)、「勝ち癖をつけるためにも、どんな試合でも勝ちを狙っていきたい」(玉田)と、桜色の戦士たちは、さらに勝利へ、目標達成への思いを強くしていた。

文・前田敏勝