9月11日(日)2016明治安田生命J2リーグ第31節
セレッソ大阪 2-0 V・ファーレン長崎 (19:04/金鳥スタ/9,622人)
試合写真・コメントなど
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 3週間ぶりに再開した2016明治安田生命J2リーグ戦。9月11日に行われた第31節で、セレッソ大阪はV・ファーレン長崎とのホームゲームに臨んだ。チームの牽引役だった杉本健勇が先の天皇杯2回戦で負傷 し離脱。そのポジションにはソウザが入った。また、2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選のために天皇杯の2試合を欠場していた日本代表MF山口蛍と、韓国代表GKキム ジンヒョンが復帰し、先発に名を連ねた。

  ホームで序盤から攻勢を仕掛けたかったセレッソだったが、『桜の遺伝子を持つストライカー』セレッソ育ちのFW永井龍にいきなり突破を許すなど、前半は先の天皇杯2回戦の京都戦同様、相手の攻勢にあう。それでも、「ミスしたあとに、しっかりディフェンスラインがカバーしてくれたり、最後のところで身体を張ったりして、(失点を)防ぐことができたと思う」と山村和也も振り返るように、「危なかったところをみんなで踏ん張ることができた」(酒本憲幸)ことで、徐々に立て直しを図り、コーナーキックの流れからのソウザのヘディングシュートや、山口のミドルシュートなどで相手ゴールを脅かしていく。

 0-0で折り返した後半になると、セレッソが相手を押し込む場面がさらに増える。そのなかで、ペナルティーエリア手前でソウザが倒されて得たフリーキック、桜色の戦士たちは一瞬の隙を見逃さなかった。56分、山口がすぐにボールを出してリスタートすると、「来そうな感じはした。蛍が前を狙っていたので」と、しっかり反応したのが玉田圭司。得意の左足を振り抜くと、ボールは鮮やかにゴールネットに突き刺さった。百戦錬磨のレフティストライカーのリーグ戦今季初得点により、欲しかった先手をもぎ取った。

 1点をリード後、ハードさを増して長崎も反撃に出てきたが、「ボールを大切に、前後左右と(ボールを)動かす」(大熊清監督)という狙いが試合途中から実行できたこともあって、「後半、相手の足が多少止まって」(大熊監督)、長崎にチャンスらしいチャンスを作らせない。なおかつ、「特に今日は交代で出た選手が、いつもよりも具体的な、相手にとっての嫌な仕事、脅威というものを与えてくれた」と指揮官も讃えるように、負傷明けで約1カ月ぶりの出場となった清原翔平や、こちらも約1カ月ぶりに出番が回ってきたリカルド サントスらが、相手守備陣に圧力をかけ続ける。

 そして試合終了間際には、期待の大卒ルーキーが勝負を決定づける。90+4分、丸橋祐介の高精度の左クロスにダイビングヘッドで合わせたのは、途中出場のFW澤上竜二。彼の持ち味があふれるゴールは、自身にとってのうれしいJ2リーグ戦初得点となった。結局、2-0としたセレッソは、2カ月ぶりのリーグ戦連勝、公式戦4連勝を達成。J2リーグ戦第20節(6月26日)・東京ヴェルディ戦以来となる、ホームのキンチョウスタジアムでの待望の白星を得ることができた。 

「ケガ人も出て苦しいなか、(これまで)試合に出ていなかった選手が活躍できていることは、いいことだと思う」と酒本憲幸も言うように、チームの総力をしっかり発揮して勝ち切ったこの1勝の意義は大きい。
 ただし、依然として2位・松本山雅FC(勝点60)とは勝点3差のセレッソ(勝点57)。一方で、4位・ファジアーノ岡山(勝点56)、5位・清水エスパルス(勝点54)もピッタリ追走している現状は変わらず。「久々にホームで勝てたので、またいい流れというのを作って連勝していけば、上に行くチャンスはまだまだ残っている。そこを目指すのみ」と清原も言うように、高みに登るためにも、セレッソは今後も勝ちにこだわっていく。

文・前田敏勝