9月22日(木・祝)第96回天皇杯3回戦
サガン鳥栖 2-0 セレッソ大阪 (19:00/ベアスタ/5,391人)
試合写真・コメントなど
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 J2リーグ第32節・ギラヴァンツ北九州戦 から中3日の9月22日、セレッソ大阪はJ1・サガン鳥栖との天皇杯3回戦に臨んだ。この試合の後、中2日でJ2リーグ第33節・徳島ヴォルティス戦が控えているとあって注目された先発だが、北九州戦から5人を変更。北九州戦では玉田圭司、酒本憲幸、ソウザで構成された前線の1トップ2シャドーをそっくり替えて、1トップにリカルド サントス、右シャドーに清原翔平、左シャドーに関口訓充を配置した。ほかにも、右のウィングバックを松田陸から椋原健太に、3バックでは藤本康太を帯同させず茂庭照幸を起用した。北九州戦でケガから復帰し、決勝点を決めた杉本健勇は、この試合もベンチからのスタートとなった。

 セレッソにとって、2014年のリーグ最終節以来となるJ1クラブとの対戦。前半は、「相手がJ1だから少し萎縮していたのかわからないけど」と山口蛍も振り返ったように、終始、鳥栖に圧倒された。リズム良くボールを回され、守備でボールの取り所が定まらないセレッソは、攻撃でも出足鋭い鳥栖のプレスに押され、思うようにボールをつなげない。セカンドボールもことごとく拾われると、縦への意識が強く、前に出て行く姿勢に迷いがない鳥栖の攻撃を耐える展開が続いた。
 それでもなんとか失点はしのいでいたが、31分、鳥栖の左サイドからのクロスに対して、ファーサイドで丸橋祐介が鳥栖FW豊田陽平ともつれるようにして倒れる。ボールとは直接関係のない場面だったが、飯田淳平主審は丸橋が豊田を倒したとしてファウルの判定。鳥栖にPKが与えられた。このPKを豊田に決められ、34分、セレッソは先制を許した。
 直後の36分にも、鎌田大地のクロスから豊田にヘッドでゴールを脅かされるも、ここはキム ジンヒョンの手をかすめてクロスバー。失点は免れた。防戦一方の前半を過ごしたセレッソだが、終了間際に反撃。44分、高い位置で山村和也がボールを奪うと素早く清原へ。清原は後ろから追い越してきた椋原にパスを送ったが、オフサイドで好機を逸した。45+1分にも、丸橋のクロスにリカルド サントスが競ってこぼれたボールを拾った清原が決定的なシュートを放ったが、今度は鳥栖DFにブロックされた。

 後半開始から大熊清監督は清原に代えて杉本を投入すると、47分に山口、50分に杉本とセレッソは立て続けにシュートを放つなど、相手ゴール前にボールを運ぶシーンが増える。58分には鳥栖の鋭いカウンターから金民友にGKとの1対1の場面を作られたが、キム ジンヒョンが阻止。58分、大熊監督は茂庭に替えてソウザを投入。システムを4ー2-3-1に変更すると、ここからしばらくはセレッソが鳥栖を押し込んだ。62分にはソウザが得意のフェイントで切り返してクロス。ファーサイドでリカルド サントスが合わせたが、へディングはポスト右へ外れた。64分にも鳥栖のゴール前での素早いパス回しから、最後は山口の速いクロスがゴール前のリカルド サントスに届けられたが、このシュートもポスト右に外れた。
 この2度の絶好機を逸すると、75分、途中出場で右サイドバックに入っていた酒本が攻撃参加したところでパスを奪われてカウンターを受けたセレッソは、空いたサイドのスペースを鳥栖に鮮やかに攻略され、富山貴光に追加点を許してしまった。

 それでもあきらめないセレッソは、79分、山口の縦パスを受けた杉本がエリア外から思い切り良くミドルシュートを放つもクロスバーを直撃。以降も関口のミドルシュート、リカルド サントスのボレーシュート、ソウザの直接FKと、最後まで鳥栖を攻め立てたセレッソは、後半は相手の6本を上回る11本のシュートを放った。
 最終的には決定力の差がスコアに反映されたとも言える試合だが、内容全般を振り返れば、鳥栖から学ぶことは多かった。守備で奪いに行くアプローチの速さと力強さ。攻撃でカウンターに出た時の速さと意思統一。これらのプレーを複数の選手が連動してやり切る組織力は、鳥栖が一枚上手だった。
 この敗戦により今季の天皇杯の歩みは終わってしまったセレッソだが、「ただ負けて終わりにしないように、チームとしても自分としても、今日の負けを生かさないといけない」(清原)。この日味わった課題と収穫をしっかり吸収して、J1自動昇格が懸かった残りのJ2リーグ戦につなげていくことが求められる。

文・小田尚史