10月8日(土)2016明治安田生命J2リーグ第35節
セレッソ大阪 3-2 FC岐阜 (14:04/金鳥スタ/9,391人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第35節、前節に続くホームゲームで、20位のFC岐阜と対戦したセレッソ大阪。日本代表MF山口蛍と韓国代表GKキム ジンヒョンが、代表戦のためにチームを一時離脱しているなか、今節の先発にはボランチの一角にMF山村和也が名を連ね、3試合ぶりのリーグ戦出場。GKには、前節でキム ジンヒョンの負傷を受けて後半からピッチに立っていた丹野研太が、第16節・カマタマーレ讃岐戦以来、リーグ戦では2度目の先発。そして、最前線には2試合ぶりにFW玉田圭司がピッチに立った。さらに、GK武田博行が今季初めてベンチ入りした。

 天気予報では雨も心配されたが、当日は青空も広がり、32.7℃という秋とは思えない陽気と暑さのなかで行われたキンチョウスタジアムでの一戦。強風も吹き、前半は逆風のなかでプレーすることになったセレッソは、立ち上がりに精彩を欠く場面もあったが、19分に先制。左サイド、杉本健勇からの右足でのクロスに、ゴール前で合わせた山村がヘディングシュートを叩き込んだ。この試合のキーマンの1人が早速結果を出し、チームは主導権を得た。

 その後、前節同様に前半途中に飲水タイムが取られた試合。さらに攻勢をかけたかったセレッソだが、1点を取ったあとは清水エスパルス戦 のときのようにペースが上がらない。それでも前半終了間際、左サイドでの丸橋祐介のフリーキックにニアサイドで合わせた杉本がヘディングシュートを相手ゴールに突き刺し、今季12得点目を獲得。頼もしきゲームキャプテンが、閉塞感を打ち破った。

 ハーフタイムには、「点を取ったあとの課題を克服しようと、自分たちで主導権を握って次の点を狙うという、チームでそういう意識を統一して後半に入った」(清原翔平)と、気を引き締め直した桜色の戦士たち。後半開始から岐阜を攻め立てると、60分に3点目が生まれる。杉本とのワンツーから左サイドを突破した丸橋のクロスに、ゴール前でヘッドを合わせたのは、玉田。百戦錬磨の20番が貴重な追加点をチームにもたらした。

 3-0として勝負を決めたかに思われたセレッソだが、その後、岐阜に隙を見せてしまう。68分、途中出場の田中パウロ淳一(大阪桐蔭高校卒)の右コーナーキックから岡根直哉(初芝橋本高校卒、大阪府岸和田市出身)にヘディングシュートを決められると、その1分後には相手の1本の縦パスにGK丹野が対応しようとした鼻先で、スピードのあるFWレオミネイロにボールをさらわれてしまい、またも失点。あっという間に1点差に詰め寄られた。

 スタジアムには不穏な雰囲気も流れ始めたが、2失点の直後に酒本憲幸を送り込み、立て直しを図ったセレッソ。その酒本の突破から再び攻勢をかけ、チームに活気が蘇る。終盤は途中出場のリカルド サントスと澤上竜二が身体を張って敵陣でボールをキープ。そのまま3-2で試合を締めくくったセレッソは、苦しみながらも勝点3を獲得。同日、ファジアーノ岡山と引き分けた2位・松本山雅FC(勝点68)との勝点差を2に縮めた。

「3-0で試合を終わらせることができればよかったが、2失点してしまって、少し課題の残るゲーム内容になった」と山村も振り返るように、反省点も少なくなかったセレッソ。しかし、今、J1復帰のために大事なことは勝利、勝点3の積み上げ。「またここから連勝するという意識がチームにはありますし、その第1歩として今日勝つことができたのはよかった」と清原も言うように、この1勝をきっかけに、課題も克服しながら残7試合も勝ち続けてJ1への道をたぐり寄せたい。次節の5位・岡山とのアウェイ決戦を含めて、これからもセレッソはチーム一丸となって高みだけを見据えて前進する。

文・前田敏勝