11月6日(日)2016明治安田生命J2リーグ第40節
セレッソ大阪 1-0 愛媛FC (19:04/金鳥スタ/8,714人)
試合写真・コメントなど
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 2016明治安田生命J2リーグにて、第39節から中2日という短い間隔で迎えた第40節では、ホーム・キンチョウスタジアムで愛媛FCとのナイトゲームに臨んだセレッソ大阪。清原翔平が2試合ぶりに先発した以外は、スターティングメンバーは変わらず。一方、控え選手には、関口訓充、田代有三だけでなく、第17節のV・ファーレン長崎戦以来、約5カ月ぶりに柿谷曜一朗が登録メンバー入り。選手紹介でのコール&レスポンスでは、ひときわ大きく『曜一朗!』というコールが、サポーターから発せられていた。

 この日の試合前、先にキックオフした2位・松本山雅FCが勝利したことにより、J1自動昇格圏となる2位以内に入る可能性がなくなっていたセレッソ。それでも、J1昇格プレーオフに向けて勢いをつけていくために、今節は非常に大事な試合。しかも、最近4試合では3分1敗と勝利から遠ざかっていただけに、この一戦での白星獲得に並々ならぬ強い意気込みを持っていた桜色の戦士たち。気温12.1度という冷え込みを感じさせる気候のなかでも、序盤からゴールへの積極性や、闘志あふれるプレーを見せていく。

 4分に杉本健勇のミドルシュートで最初の決定機を作れば、12分には相手守備陣の背後にうまく抜け出した清原もゴールを狙う。しかし、どちらも愛媛GK児玉剛の好セーブにあい、得点には至らない。その後、愛媛の両サイドから鋭いクロスを送り込まれ、ひやりとするシーンもあったが、GKキム ジンヒョンらが身体を張ってブロックし、ピンチをしのぐ。29分には茂庭照幸が負傷交代を強いられ、山村和也がセンターバックの一角に入った。そういった不測の事態のなかでも、チームは再び愛媛を攻め立てていくが、前半はスコアレスでハーフタイムを迎えた。

 後半の序盤は愛媛にペースを握られたセレッソ。56分、澤上に替えて酒本憲幸を投入し、攻撃のてこ入れを図る。すると、その2分後となる58分、思わぬ形で先制点獲得に成功する。バックパスを受けようとした愛媛DFが芝に足を取られて転倒。そこに寄せていた杉本健勇が、ペナルティーエリア内でボールをカット。愛媛GKがパスをもらおうとゴール前を空けていたこともあって、杉本は無人のゴールにシュートを流し込んだ。ラッキーな形ではあったが、これも、清原と杉本が相手DFに前から寄せていた成果。チームトップスコアラーの今季13得点目となる一撃で、均衡を破った。

 これまでは得点後の戦いに課題のあったセレッソ。それでも、この試合では「得点を決めてからも、みんなで声を掛け合って集中してやっていくことができていたと思うし、最後まで気を引き締めてできていた」と丸橋祐介も言うように、藤本康太や田中裕介らをはじめとする、全体の身体を張ったディフェンスで相手に隙を与えない。

 そして、81分には柿谷が登場。大歓声を受けたなか、キム ジンヒョンからキャプテンマークを譲り受けた8番が颯爽とピッチに飛び出すと、「ああやって途中で出てきただけでも、スタジアムの雰囲気を変えてしまうくらいの選手なので」と山口蛍も言うように、ピッチで、その姿でイレブンを鼓舞したキャプテンの働きもあり、チームは最後まで集中を途切らせず。結局、セレッソは1-0で完封勝利。追加点の好機を決めきれない課題もあったとはいえ、第33節・徳島ヴォルティス戦以来となる無失点を達成し、5試合ぶりの白星を得た。 

 J2優勝、J1自動昇格を達成できなかった悔しさもあるとはいえ、ホームのサポーターの前で勝利という結果を残し、J1昇格へのあきらめない思いを発揮した桜色の戦士たち。「もう1回気を引き締めて、残り2試合、J1昇格プレーオフにつなげるために、自分のコンディション(の向上)とともに、いいサッカーができるようにやっていきたい」と柿谷。セレッソは、この試合をきっかけに、J1への扉を開けるべく前進し続ける。

文・前田敏勝