4月22日(土)2017明治安田生命J1リーグ第8節
ヴァンフォーレ甲府 1-1 セレッソ大阪 (14:03/中銀スタ/11,038人)
試合写真・コメントなど
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 前節のガンバ大阪戦と同じスタメン、同じベンチメンバーで臨んだ今節のヴァンフォーレ甲府戦。セレッソ大阪は、開始30秒、松田陸がドゥドゥを倒してFKを与えるも、以降は、試合の主導権を掌握。試合前の予想通り、ボールを握るセレッソ、守備を固めてカウンター狙いの甲府、という構図がピッチに描かれた。

 序盤は思うように甲府陣内に攻め込むことができなかったセレッソだが、20分過ぎから次第に甲府ゴールに迫る。チャンスとなったのは、主にクロスから。24分、山口蛍のクロスに杉本健勇がヘディングで合わせると、31分、高い位置でボールを奪った関口訓充がニアへクロス。山村和也が飛び込み、第6節の鹿島アントラーズ戦を彷彿とさせるも、ここは惜しくも合わず。さらに、43分にも決定的なチャンスが訪れる。ソウザのクロスに対してDFの間にうまく入った柿谷曜一朗が合わせるも、シュートはミートしなかった。得点こそ奪えなかったセレッソだが、攻撃から守備への切り替えや相手への寄せも速く、相手ボールになっても素早く回収。甲府にカウンターの機会を与えない。一度だけ、33分にFKからヒヤリとする場面を作られるも、前半は甲府のシュートを2本に抑えた。

 “あとは決めるだけ”。そんな内容の前半を経て、後半開始早々、待望の瞬間が訪れた。48分、甲府のクリアをヨニッチが跳ね返し、山口が頭でつなぐと、ルーズボールに山村が競り勝ち、こぼれたところを柿谷がダイレクトで前線の杉本へ絶妙なスルーパス。背番号8のパスをうまく呼び込んだ杉本がDFの裏を取り、GKと1対1に持ち込むと、冷静に左足で流し込んで逆サイドのゴールネットを揺らした。

 桜が誇る大型ストライカーの2戦連発で流れを掴むと、59分には、前半、ドリブル突破した際に相手のファウルを受けて足首と膝を痛めていた関口に代わり、清武弘嗣がピッチに投入される。ここで一気に追加点を狙いたいセレッソだったが、皮肉にも、ここから流れは甲府へ傾く。守備が整わない時間帯に右サイドを甲府に何度も使われると、ドゥドゥを清武が倒し、甲府にFKを与える。すると、このFKから失点。前節と同様、セットプレーからの失点に対し、試合後、「相手も研究してきている」と山口は改善の必要性を口にした。

 勝点1では終われないセレッソは、ここから清武を起点に猛反撃を開始。69分、清武、柿谷、ソウザとつないで決定機を作ると、83分には、清武から右サイドの松田へ展開し、松田のクロスに杉本がニアへ飛び込むも、惜しくも合わない。ファーサイドではソウザも待っていたが、ここも押し込むことはできなかった。86分には山口の正確なサイドチェンジを受けた丸橋がクロス。ファーサイドの杉本がフリーで受けたが、シュート性の折り返しを柿谷が合わせられず、好機を逸した。さらに、90+1分にも清武のパスを柿谷がダイレクトで落とすと、DFの裏を取った木本恭生がGKと1対1になるも、角度のないところからのシュートはGKに防がれた。90+4分にも、サイドの深い位置からソウザの折り返しを杉本が合わせるも、再びGKに止められた。アディショナルタイムも含めた後半のラスト10分間、セレッソは怒とうの攻撃を仕掛け、決定機も何度も作ったが、最後まで勝ち越しゴールは奪えず、1-1で試合は終了した。

 ポゼッション率、パス数、パス成功率、シュート数。全てのスタッツで甲府を圧倒しながら勝点1に留まったこの試合。リーグ戦の負けなしは6、公式戦の負けなしは8試合に伸びたが、前節、そして今節と、相手より倍以上のシュートを放ちながら勝ち切れない展開に、もどかしさは募る。それでも、現在の失点数はリーグ最少タイであり、開幕当初に比べて明らかに攻撃の質も高まっている。そういった今だからこそ、「1つひとつレベルは上がっている。ここをまたチームとして乗り越えていけば、また1つ上のチームになれる」と関口も話すように、よりシュートの精度を求め、セットプレーの守備など細かい部分も詰めて、チームとしてさらに高いレベルを目指していきたい。

文・小田尚史