5月6日(土)2017明治安田生命J1リーグ第10節
柏レイソル 1-0 セレッソ大阪 (14:03/柏/14,015人)
試合写真・コメントなど
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 4月のリーグ戦は3勝2分と負けなしのセレッソ大阪。今節を迎えるまでのリーグ戦で3連勝中の柏レイソル。第9節終了時点で、5位(セレッソ)と6位(柏)の直接対決。上位進出を懸けて是が非でも勝点3が欲しい両者の一戦は、ゴールデンウィーク中の晴天にも恵まれ、チケットは完売。柏のホーム開幕戦(第2節vsガンバ大阪/13,649人)をも上回る14,015人の大観衆でスタジアムが埋め尽くされた。

 そんな熱気に包まれて行われた試合は、前半、互いに中盤で潰し合うなど、激しい攻防も見られたが、試合を優位に進めたのはセレッソ。3分、相手のパスをインターセプトした山口蛍から柿谷曜一朗、杉本健勇とボールが渡り、杉本がシュートを放つもわずかに枠を外れた。その後もセレッソは守備から試合に入りつつ、ボールを奪えば良い距離感を保ち、鮮やかなパスワークから攻め込む回数を増やす。ただし、試合後に「ラストパスやゴールに向かうタッチなど、最後のところで課題が残った。シュートの1つ前や2つ前、そういうところでうまくコンビネーションを使うことができれば良かった」と山村和也が話したように、アタッキングサードでのシュートに至るパスやクロスが微妙にずれて、なかなかシュートまで持ち込むことができない。
 それでも、リーグ最少失点を誇る守備も隙を見せない。柏のストロングポイントであるクリスティアーノや伊東純也にも思うように仕事をさせず、前半は柏に枠内シュートを打たせず、決定機は与えなかった。
 すると、前半終了間際にカウンターからビッグチャンス。清武弘嗣、杉本、清武、柿谷、杉本と流れるようにつなぐと、最後は杉本がゴール前で切り返してシュートを放つも、ここは惜しくも柏GK中村航輔に防がれた。

 直近のリーグ戦で負けておらず、失点も少ない両チーム同士による手堅い前半だったが、後半に意外な形で試合は動いた。57分、自陣ゴール前で丸橋祐介が右足でクリアしようとしたボールがクリスティアーノに当たって跳ね返り、そのままゴールイン。「フリーな状況だったにも関わらず蹴ってしまって、それが相手に当たって入ったので、悔しい。もっと冷静に判断できれば防げた失点だった」と試合後に丸橋が自ら振り返ったように、外に蹴っていれば、GKキム ジンヒョンとの連係が取れていれば、と悔やまれる場面だった。

 予期せぬ形で生まれた先制点で勢いづいた柏に対し、セレッソは59分にCKから中山雄太に、71分にも直接FKからクリスティアーノにゴールを脅かされる。しかし、どちらもキム ジンヒョンが好守を見せて追加点は許さない。
 一方で、味方のミスを取り返すべく反撃に出たが、挽回しようという気持ちとは裏腹に、焦りからかパスが合わない場面も散見された。72分には2枚同時交代を敢行した尹晶煥監督。関口訓充を右サイドに入れ、清武をトップ下へ移す。81分には、杉本のクロスから柿谷がバイシクルシュートで柏ゴールを強襲したが、わずかに枠を外れた。82分には松田陸に代えて田中裕介を投入。システムを3バックに変え、攻撃にかける人数を増やした。試合終了間際には杉本の落としを受けた清武が思い切りよくシュートを放つとDFに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれかけるも、驚異的な反射神経を発揮した中村に同点のチャンスを阻まれた。

 選手交代、配置換え、システムチェンジで同点弾を奪いに行く強い姿勢を見せた尹晶煥監督だが、結局、最後までミスからの1点が重くのしかかり、セレッソはリーグ戦では第2節・浦和レッズ戦以来となる敗戦を喫した。
 それでも、試合後の監督、選手たちは努めて冷静に試合を振り返っていた。いくつもの課題が噴出した今節だが、浦和に敗れた後のように、今節もこの苦い経験を糧にして今後へつなげることができれば、さらなる盤石なチームへと成長を遂げることができるだろう。必ずや、糧にすべきである。

文・小田尚史