5月20日(土)2017明治安田生命J1リーグ第12節
大宮アルディージャ 0-3 セレッソ大阪 (16:03/NACK/11,823人)
試合写真・コメントなど
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 リーグ戦の連勝、公式戦3連勝を懸けて臨んだアウェイでの大宮アルディージャ戦は、後半、セレッソ大阪の攻撃陣が爆発。CKから、いずれもソウザのアシストにより、清武弘嗣と山村和也がヘディングで決めると、相手の運動量が落ちた終盤は鮮やかなパスワークから、途中出場の関口訓充のクロスに杉本健勇が合わせて3点目。J2降格圏に沈む相手に完勝を収め、今季最高となる4位へ浮上した。

 終わってみれば完勝を収めた今節だが、前半は難しい試合になった。試合開始時の気温が30.3度という暑さに加え、大宮が組織だったコンパクトな守備で対抗してきたこともあり、セレッソはポゼッションこそ上回るも、思うように決定機を作ることができない。大宮の高いDFラインに対してオフサイドも連発していたが、31分、ようやくチャンスが生まれる。突破口を開いたのは丸橋祐介。高い位置を取った丸橋がサイドを突破し、DF2人をかわして切れ込むと、中の杉本へラストパス。ただし、ここは杉本の体勢が不十分で、シュートはバーを越えた。38分には、ソウザが中盤でカットしたボールを拾った柿谷曜一朗から清武へパスが通り、清武が思い切り良くシュートを打つも、ここもわずかに枠を外れた。

「もったいないミスが多い」(尹晶煥監督)「チームとしても個人としても少し足が止まった状態」(杉本)と振り返った前半を終え、「ハーフタイムにみんなで話し合って」(清武)迎えた後半は、前半以上にパススピードが上がり、全体で圧力をかけて相手を押し込むと、前半は高い位置をキープしていた大宮の最終ラインを下げさせることに成功する。55分には、CKのこぼれ球からソウザ、マテイ ヨニッチが連続してシュートを畳み掛けると、56分にも、清武が華麗なテクニックで相手を外し、最後は山村が決定的なシュートを放つ。いずれもゴールまであと一歩に迫りながら大宮GK塩田仁史に阻まれたが、迎えた63分、ついに歓喜の瞬間がやってきた。

 ソウザがニアへ蹴った絶妙なCKに頭で合わせたのは清武。DF、GKと重なり合うようにして泥臭く押し込むと、ピンク色に染まったアウェイゴール裏のサポーター席が総立ちとなった。「1点入ってからは自分たちのリズムでやれた」と殊勲の先制点を決めた清武自らが振り返ったように、欲しかった先制点を手にしたセレッソは、以降の時間帯は、今季最高と言ってもよいほど圧倒的な力で相手を押し込んだ。74分には、ピッチ中央で山村が体の強さと足元の上手さを生かしたキープ力で相手を手玉に取ると、スタンドからはどよめきも漏れた。直後の76分、再びソウザのCKから、ゴール中央でフリーになっていた山村が打点の高いヘディングを突き刺し、セレッソが追加点。実況の八塚浩さんが、思わず「ハンマーパンチ」と命名するほどの、ド迫力のゴールだった。

 82分、その山村がお役御免で関口と交代すると、関口が右サイドへ、清武がトップ下へと移る。すると、86分、清武が柿谷とのワンツーで真ん中を破ると、柿谷が一つ溜めて、右の関口へ。関口がダイレクトで上げたクロスに杉本がダイレクトで合わせると、豪快なシュートが決まり、セレッソがダメ押しとなる3点目を挙げた。90+1分には、尹晶煥監督が、清武に代えてこの試合がJ1リーグデビューとなる福満隆貴を、山下達也に代えて木本恭生をピッチに送ると、今度は福満が左サイドに回り、柿谷がトップ下へ。すると、試合終了間際には、柿谷が鮮やかなパスワークの中心に君臨し、杉本のシュートシーンを演出するなど、見せ場を作った。

 攻撃陣が躍動したセレッソは、守っても山口蛍とソウザのボランチコンビが相変わらずの危機察知力と球際の強さを生かして大宮の攻撃の芽を潰すと、大宮の枠内シュートをわずか1本に抑える鉄壁ぶりを発揮。GKキム ジンヒョンの見せ場はキック精度の高さのみ、という状態だった。2試合連続の大量得点で連勝したセレッソだが、「うまくいっている時こそ、もっと集中しないといけない」と尹晶監督が話せば、指揮官に呼応するかのように、選手たちからも、「今日の結果に満足せず、切り替えてやっていきたい」(清武)「ここで満足せずに、もっともっと上を目指したい」(杉本)といった声が聞かれた。来週はルヴァンカップとリーグ戦で、ヴィッセル神戸との連戦も控えている。熱戦必至となることは間違いなく、早くも試合が待ち遠しい。

文・小田尚史