6月4日(日)2017明治安田生命J1リーグ第14節
セレッソ大阪 4-0 アルビレックス新潟 (15:03/金鳥スタ/13,363人)
試合写真・コメントなど
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 6月最初の試合となったJ1リーグ戦第14節に臨んだセレッソ大阪。今回は、ホーム・キンチョウスタジアムに、17位のアルビレックス新潟を迎え撃った。
JリーグYBCルヴァンカップで今季すでに顔を合わせている 相手との再戦となったが、今回の一戦では、ケガのため前日練習を回避していた清武弘嗣が欠場し、代わって前節のヴィッセル神戸戦 で値千金の決勝弾を叩き込んだ水沼宏太が、開幕戦以来となるリーグ戦での先発となった。また、右サイドバックには田中裕介が今季J1で初スタメン。松田陸はベンチからのスタートとなった。 

 青空が広がった15:00からのデーゲーム。強い陽射しもあり、気温は30.5度にまで上昇。まるで夏を思わせるような陽気のなかで始まった試合は、まさに消耗戦の様相だった。ただ、そのなかでも序盤、山村和也の巧みなポストプレーからソウザや柿谷曜一朗が好機を迎えれば、18分には丸橋祐介の左からの折り返しを受けた山口蛍がミドルシュートで相手ゴールを強襲。前半、桜色のサポーターに向かって攻めるセレッソが、新潟を押し込んでいく。

 しかし、5月中旬から指揮を執る呂比須ワグナー監督の下で下位からの脱却を図る新潟も、堅守速攻の色を強めて対抗。スピードを生かしたカウンター攻撃にセレッソも苦しめられる。21分には堀米悠斗のシュートに飛び込んできたホニに、34分にはチアゴ ガリャルドに、決定機を作られた。それでも、そこで身体を張ってゴールを死守したのが、桜の絶対的守護神・キム ジンヒョン。高い集中力の下でビッグセーブを続け、相手に先手を与えない。また、ホニらにゴール前へと抜け出されても田中が好カバーを見せるなど、セレッソの全体の守備の意識もこれまで同様、高いものがあった。

 0-0で折り返した後半、最初の15分はなかなかリズムに乗れなかったセレッソ。そこで尹晶煥監督が動く。「サッカーには流れというものがあり、その流れがよくないとき、流れを変えることが当たり前で、そういうときに選手交代をした」(尹監督)。65分、前線の核の1人・杉本健勇に代えて、澤上竜二を送り込む。すると、その采配に呼応するように、流れはセレッソに。澤上も絡んだプレーから立て続けにコーナーキックを得ると、ゴール前の競り合いのなかで、マテイ ヨニッチが相手DFに倒されてPKを得る。これを柿谷曜一朗が、新潟GK守田達弥を最後までよく見て逆を突き、冷静に押し込んだ。

 この1点で勢いが生まれたセレッソ。そこからは、今季の大きな武器・セットプレーを存分に生かしていく。73分には、ソウザのフリーキックからゴール前で混戦が生まれ、そこから水沼の丁寧な左クロスに、ファーサイドで合わせたのが山下達也。身体を目一杯使ったヘディングシュートで相手ゴールネットを揺らした。ディフェンスリーダーの今季初得点でリードを広げると、ホームチームの勢いは止まらない。
 80分には左サイドで得たフリーキックから、柿谷が一瞬の隙を突いてクイックリスタート。これにすぐ反応した山村が、相手GKが飛び出してきた鼻先で、トゥーキックで逆サイドのサイドネットに突き刺すようなゴールを記録。背番号24の3試合連続得点で試合を決めると、締めくくりは86分。ソウザが自ら得たフリーキックを直接決め、こちらも今季初ゴール。
 結局、大量4得点を奪ったセレッソは、守備でも最後まで粘り強く戦って無失点に抑え、リーグ戦今季初の4連勝を達成。キンチョウスタジアムでの公式戦は今季これで8戦全勝。桜の聖地は、今回もサポーターの歓喜に沸いた。

 J1通算100試合目の指揮を白星で飾った尹監督。試合後には「選手のみんなに、こういう暑い天気のなか本当に多い運動量で走ってくれてありがとうというメッセージを贈りたい」と、イレブンを讃えていた。チームは暫定2位に浮上。いい形で中断期間に入ることができたが、「ただもう課題ばっかりだと思いますし、しっかり直すところは直してやっていかないと、すぐに順位なんて変わっていくもの」と気を引き締めたのはキャプテンの柿谷。山村も「僕たちはJ1昇格プレーオフから上がってきたチームなので、一戦一戦集中しながら献身性を忘れずに戦っていきたい」と述べるように、初心を忘れず、目の前の戦いにチーム一丸となって全力を傾けるのが今のセレッソのよさ。それが、この試合にもよく表れていたことが、結果につながったと言えよう。

文・前田敏勝