7月8日(土)2017明治安田生命J1リーグ第18節
セレッソ大阪 2-1 柏レイソル (19:03/金鳥スタ/16,759人)
試合写真・コメントなど
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 J1リーグ戦を2位で折り返すことに成功した、セレッソ大阪。迎えた後半戦最初の一戦となる第18節では、先週に続き、キンチョウスタジアムでのホームゲームとなり、3位につける柏レイソルとの上位決戦に挑んだ。前節のFC東京戦とまったく同じ顔ぶれが並んだなか、前回対戦(第10節、0-1で敗北)のリベンジに燃える桜色の戦士たち。試合の入りから積極的に仕掛けて行く。

 まず開始2分で杉本健勇がミドルシュートを放てば、コーナーキックではソウザの鋭いキックから相手ゴールを脅かす。5分にはソウザのパスを受けた柿谷曜一朗が、巧みなステップやドリブルで相手を翻弄しながら、絶妙の左クロス。ファーサイドでヘッドをあわせた杉本のシュートは、わずかに枠の上を越え、決めきることはできなかったが、その後も柿谷が味方とのコンビネーションから中央を切り崩すシーンが見られるなど、押し気味に試合を進めていく。

 しかし、そこからは柏の特長の1つ、前からハードプレスをかけてボールを奪いに来る戦いの前に、セレッソはペースをつかめず。また、20分過ぎからは、激しい球際の攻防のなかで、桜色の戦士たちが負傷するシーンも続出する。なんとかイレブンがピッチで奮闘するも、前半終了間際、クリスティアーノの的確なアーリークロスを浴びると、最後は武富孝介にダイビングヘッドでゴールを献上。前半は0-1で折り返すことになる。

 それでも、今の桜色の戦士たちに、あきらめという言葉は存在しない。「『後半は積極的に自分たちからどんどん、球際の部分だったり、ガツガツ負けないでいこう。後ろは失点なしで、とにかく1点追い付こう』という話をしていた」と杉本健勇。勝利への強い想いを持って、柏に襲いかかる。1分に杉本、2分に山村和也と好機を迎えるなど、攻勢を強めていくセレッソ。それでも、柏の攻撃も強力で、2度に渡ってゴールを脅かされたが、キム ジンヒョンの好守やシュートがゴールポストに当たったこともあり、2失点目は許さない。

 そのなかで、61分には尹晶煥監督が、柿谷曜一朗と松田陸に代えて、澤上竜二、田中裕介の2選手を投入する決断を下す。すると、その直後、試合が動く。丸橋祐介の蹴ったコーナーキックから、ソウザが競り合ってこぼれたボールに反応したのが、杉本。ゴール前の混戦のなかでもあわてず、冷静に左足でシュートを放つと、ボールは気迫が乗り移ったかのように、相手DFごとゴールに入っていった。これで試合を振り出しにもどすと、セレッソサポーターが作り上げるキンチョウスタジアムの雰囲気が大きく後押しするなか、攻勢は止まらない。そして、勝ち越し点は、70分。右サイドで再三にわたってクロスからチャンスを作ってきた水沼宏太が、ゴール前に精度の高いボールを送り込むと、これにソウザがドンピシャで右足をあわせ、ボールはGK中村航輔の手の届かない絶妙なコースに入っていき、逆転に成功した。

 そこからは、前半戦でも何度も行ってきた、山村を最終ラインに下げて、守りを固めながらカウンターを狙う形に移行。柏の反撃にも、その山村や、田中らが身体を張ってディフェンスするなど、チーム全体が集中力をとぎらせずに奮闘。暑さとハードな戦いで極限の状態での戦いを強いられても、サポーターの拍手と声援に支えられながら、最後まで守りきった桜色の戦士たちは、2-1で勝ちきり、アウェイで敗戦したときのリベンジを達成。今季ホーム公式戦不敗と、キンチョウスタジアム全勝を継続しただけでなく、同日、鹿島アントラーズが引き分けたことにより、暫定ではない、首位の座に浮上した。

「本当にタフな戦いだった。踏ん張って、やるべきところで戦って、なんとか勝つことができた」とマテイ ヨニッチ。屈強なセンターバックが、試合後にコメントを出すのがやっとになるくらい疲労困憊になるなど、イレブンは持てる力を最大限振り絞って、上位対決らしいハードな攻防を繰り広げたが、そこを見事に勝ちきった意義はとてつもなく大きい。それでも、「最近2試合とも先制点を許してからの展開になっているので、そこは修正しないといけない」と気を引き締めたのは、尹晶煥監督。「もっと奮闘していけるように、油断する気持ちをなくすことが大事になる」と、トップに立ったなかでも、現状をしっかり見極め、次の戦いへの糧にしていた。

文・前田敏勝