7月22日(土)2017明治安田生命J1リーグ第22節
セレッソ大阪 4-2 浦和レッズ (19:04/ヤンマー/32,711人)
試合写真・コメントなど
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 当初は8月13日に行われる予定のJ1第22節だが、8月15日に浦和レッズがスルガ銀行チャンピオンシップ2017SAITAMAに出場するため、セレッソ大阪が浦和を迎え撃つホームゲームは、7月のJ1リーグ戦中断期間中である22日(土)に開催。ともに世界の強豪とのフレンドリーマッチを行ったなか、セレッソはセビージャ(スペイン)戦から中4日、浦和はドルトムント(ドイツ)戦から中6日で、この一戦に臨む形となった。セレッソは先のセビージャ戦でプレーしなかったソウザが、先発に復帰。最近のリーグ戦で顔を並べている、いわゆるベストメンバーでこの試合に挑んだ。

 J1第2節では完敗を喫した相手との再戦。そこから尹晶煥監督を中心にチーム力を積み上げてきたなか、勝利への強い想いを見せつけるべく、桜色の戦士たちは序盤から気合いは十分。それを証明したのが、チームのトップスコアラー、杉本健勇だった。「ほんまに、絶対に負けたくないと思っていましたし、俺らが絶対に勝つという強い気持ちで試合に入れた」という桜の9番が、ゴールラッシュの口火を切る。開始6分、右サイドで得たコーナーキックから、こぼれ球を拾ってチャンスを続けると、水沼宏太の右クロスに、杉本がゴール前でフリーで右足をあわせた。チームとして第16節ベガルタ仙台戦以来となる先制点を奪取すると、勢いは止まらない。追加点はわずか2分後。今度は左サイドの柿谷曜一朗からの右足クロスに、杉本がヘディングで見事にゴールを決めた。この頼もしき『健勇ゴール』2つで、完全に相手の出鼻をくじき、セレッソが主導権を握った。

 その10分後には、隙をつかれて1点差に詰め寄られたセレッソだが、そこで崩れないのが、今の桜色の戦士たちの強み。チームに力を与えたのは、中盤の要、山口蛍だった。27分、敵陣で相手からボールを奪うと、そのまま持ち込み、右足を一閃。地を這うようなシュートが、そのまま相手ゴールに吸い込まれた。これで勢いを取り戻すと、前半にして、勝利を決定づける4点目が35分に生まれる。演出したのは、またも水沼だ。右サイドから左足でクロスを上げると、攻撃参加の流れでゴール前に詰めていたのは、DF丸橋祐介。胸トラップでボールを収めると、冷静に左足で押し込んだ。前半終了間際に再び失点はしたものの、前半のこの4得点は、チームに大きな力をもたらした。

 ただし、ハーフタイムでの点差は2点。タレント揃いで、攻撃力には定評のある浦和が相手なだけに、まだ何が起こるかわからない。「一瞬でも気が緩むとリズムが変わるので集中すること」という尹晶煥監督の檄も受けたなかで迎えた後半は、2選手を交代して立て直しを図ってきた浦和に好機を与えるシーンもあった。だがしかし、マテイ ヨニッチが好カバーでピンチを防いだのをはじめ、チームは粘り強く対応する。途中からは前線にいた山村和也を守備の一角に下げる、『勝利の方程式』を実行。その後、追加点こそあげられなかったが、気温29.4℃、湿度73%という蒸し暑い天候でのタフな戦いのなかでも、最後まで相手より多く走りきった桜色の戦士たち。このまま4-2と勝ちきり、浦和にリベンジを達成。勝点を41に伸ばした。

 3万2711人という大観衆を集めたなか、「非常に大勢の方々に力をいただいて、その力で勝つことができたと思います。いい結果を出すことができて、すごくよかった」と、尹晶煥監督。「選手たちがピッチの上ですごくいいパフォーマンスを見せてくれた。そういう選手たちに『ありがとう』そして『ご苦労様』とメッセージを贈りたい」と、改めてイレブンを労った。

 ただ、「これで満足している選手は誰もいないと思う。2失点しているし、しかも勝っている、点差のある状況での失点だから、油断としか思えないので。気持ちの部分はさらに作って(大阪)ダービーに挑まなければいけない」と山下達也もいうように、すべてが完璧だったわけではないのも確か。ここで出た課題を修正し、JリーグYBCルヴァンカップのプレーオフステージ第2戦、そして、J1第19節のガンバ大阪との大阪ダービーにつなげていきたい。

「みんなよく走っていましたし、ハードワークしていたので、自分もそれを継続してやっていきたいですし、そういうことを続けていればチャンスは来ると思う。来たときにはしっかり、これからも取り続けていきたい」というのは、得点数を二桁に乗せた、杉本。今節のヒーローの言葉どおり、この試合でも見せた、献身的に走りきる『ユン・セレッソ』のサッカーを、今後も貫き通すことが、さらなる高みへの道標となるだろう。

文・前田敏勝