8月19日(土)2017明治安田生命J1リーグ第23節
ジュビロ磐田 1-1 セレッソ大阪 (18:33/ヤマハ/14,881人)
試合写真・コメントなど
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 今季のヤマハスタジアム最多となる14,881人の観衆を集めて行われた今節。
 前半、セレッソ大阪は、前への推進力とゴールに向かう姿勢が強いジュビロ磐田に対してピンチの連続。それでも、リーグ戦3試合ぶりの先発となった松田陸や、同じくリーグ戦4試合ぶりの先発となった山下達也らが体を張って対応。“最後は割らせない”という気迫のこもった守備を見せた。攻撃では、奪ったボールをなかなか前へ運べず苦しむも、30分過ぎから次第にボールを持てるようになると、迎えた37分。セレッソに歓喜の瞬間が訪れる。ムサエフから中村俊輔へのパスがズレた隙を見逃さず、柿谷曜一朗が中村からボールを奪うと、杉本健勇、リカルド サントス、山口蛍、ソウザとテンポ良くパスをつなぎ、ソウザが右サイドへ展開。フリーで受けた水沼宏太のクロスにニアで合わせたのは杉本。水沼の精度の高いピンポイントクロスに対し、完ぺきな動き出しで大井健太郎のマークを振り切ってダイレクトボレーで決めた、まさに“代表クラス”のゴラッソだった。
 磐田に押されつつもワンチャンスを生かして先制に成功したセレッソ。もっとも、第19節・ガンバ大阪戦、第21節・清水エスパルス戦と、直近のアウェイでは2試合続けて後半に逆転されているセレッソとしては、“試合はここから”と言えた。

 後半も磐田の攻撃を受ける展開が続く。56分には川又堅碁に、57分にはアダイウトンに、ペナルティーエリア内で立て続けにシュートを許したが、ここはいずれも松田がブロック。前半と同様、体を張った守備でしのぐセレッソ。すると、尹晶煥監督の決断は早かった。59分、FWのリカルド サントスに代えて木本恭生を投入。[3-4-2-1]の相手に対してマッチアップが噛み合う[5-4-1]へと布陣を変更し、堅守速攻の姿勢を明確にした。

 以降は磐田にボールを握られる時間帯こそ長かったが、磐田も攻めあぐねるシーンが続き、セレッソとしては狙い通りの展開とも言えた。前に人数が少ない分、攻撃に厚みは出なかったが、それでも63分には決定機。水沼のクロスに再び杉本が合わせるも、ヘディングは惜しくもポストを叩いた。73分にもカウンターから好機到来。柿谷が抜け出して水沼へパス、水沼のクロスに合わせた杉本のヘディングは、今度はGK正面をついた。
 試合を決める2点目こそ奪えずとも、時間は刻一刻と過ぎていく。磐田は3人目の交代として入った荒木大吾が足を痛めてピッチから去るアクシデントもあり、82分ごろから10人での戦いを強いられた。

 逃げ切りを図りたいセレッソとしては追い風かと思われたが、86分、一瞬の隙から磐田に同点に追いつかれた。自身のミドルシュートから得たCKで、中村はショートコーナーを選択。虚を突かれたセレッソの対応が遅れると、余裕を持って蹴った中村のクロスはピタリと川又の元へ。山下も懸命に競ったが及ばず、川又のヘディングがゴールに吸い込まれた。
 その後、尹晶煥監督は水沼に代えて澤上竜二を投入。勝ち越しを狙うと、後半アディショナルタイム、その澤上がペナルティーエリア内で相手DFを背負って角度のないところから強烈なシュートを放つも、磐田GKカミンスキーにセーブされ、試合は1-1で終了した。

 勝点3まであと一歩に迫ったセレッソとしては悔やまれる引き分けとなったことは確か。首位・鹿島アントラーズとの勝点差も4に開いた。それでも、前節の清水戦の反省を受け、今節に向けて向上に取り組んだ守備は一定の成果を見せ、5バックで逃げ切ることも試合前のプラン通りだった。完遂できなかったことは痛恨だが、連敗は阻止。上位キラーの磐田を相手に敵地で得た勝点1をプラスに捉え、次節はホームで鹿島との大一番(8/26・土@ヤンマー)に挑む。 

文・小田尚史