8月26日(土)2017明治安田生命J1リーグ第24節
セレッソ大阪 0-1 鹿島アントラーズ (19:03/ヤンマー/35,516人)
試合写真・コメントなど
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 8月最後のJ1リーグ戦となった第24節でやってきた、セレッソ大阪にとっての大一番。勝点4差の首位、王者・鹿島アントラーズとの頂上決戦に、ホーム、ヤンマースタジアム長居で挑んだ。この大事な試合のスターティングメンバーは、前節から1人変更。リカルド サントスが控えに回り、澤上竜二がJ1初先発。日本代表に選出された杉本健勇とともに、前線に入ることになった。

 最近のアウェイ2連戦では1敗1分けと勝ちきれなかった、セレッソ。その悔しさを晴らし、ホームで3試合ぶりの勝利をつかむべく、この日の桜色の戦士たちはピッチで闘志あふれるプレーを見せる。大岩剛監督就任後、ここまで9勝1分け1敗と抜群の結果を残している鹿島に、序盤は主導権を握られる形もあったが、山下達也、マテイ ヨニッチの両センターバックが相手攻撃陣にハードプレスを仕掛けてボールを奪いとるなど、球際の激しい、『ユン・セレッソ』らしい守備を展開していく。

 守備でリズムを徐々に整えていくと、15分過ぎから次第にセレッソにもチャンスが生まれ、水沼宏太、杉本、澤上、山口蛍、そして、柿谷曜一朗が、鹿島ゴールを攻め立てる。しかし、曽ヶ端や、日本代表DF昌子源と植田直通を軸とする鹿島守備陣を崩しきれず。ただ、守備では鹿島のストロングポイントである強力なカウンターにも的確に対処するなど、隙を見せず、前半はスコアレスで折り返す。

 後半になると、「粘りながらも常にゴールは狙ってきていた」と澤上も感じるような鹿島の圧力が強くなり、両者の攻防が白熱を増す。途中、鹿島FW金崎夢生にゴールを脅かされるシーンもあったが、キム ジンヒョンの好セーブでしのぐなど、流れを簡単に相手にわたさない。その踏ん張りが、後半途中、75分あたりからの猛攻につながっていく。丸橋祐介やソウザの強烈なミドルシュート、さらに、コーナーキックからの杉本のヘディングシュートが、鹿島ゴールの枠を的確にとらえていく。しかし、ここでも、鹿島のベテラン守護神、曽ヶ端立ちはだかる。セレッソも78分にリカルド サントスを投入し、その強靱な長身ブラジル人FWの飛び出しから、さらに好機も生まれたが、最後の決め手に欠いてしまう。

 すると、終了間際の88分、鹿島に一瞬の隙を突かれて、均衡を破られた。相手の狙いとするカウンターを受けると、金崎の右クロスをフリーで受けたレアンドロに、ペナルティーエリア内でシュートを放たれる。松田陸、キム ジンヒョンが身を挺して防ぎにいったが、ボールは無情にもゴールに吸い込まれてしまった。「どれだけ内容が悪くても、最後のところで決めきるというのが、鹿島のやり方」(水沼)、「(鹿島に)1本(強力な)カウンターがあるというのは、試合中も(チームで)話していましたし、ケアはしていたのですが、それでもやられてしまうときはやられてしまう」(杉本)と、イレブンも鹿島のスタイルを認識して最後まで戦っていたのだが、「一瞬、集中力が乱れてしまって、失点してしまった」(尹晶煥監督)。

 なんとか同点、逆転へとつなげたかったセレッソだが、鹿島のしたたかな戦いの前に、いなされてしまう。それでも前に向かっていき、最後の最後にコーナーキックを獲得。GKキム ジンヒョンも鹿島ゴール前に上がるなど、スクランブル態勢で1点を取りにいったが、ゴールを奪いきれず、そのままタイムアップ。0-1と敗れたセレッソは、ホーム今季初黒星。そして、首位、鹿島との勝点差は7に広がり、この試合日の時点で暫定4位に順位を下げた。

 「悔しい……」、どのイレブンから出てくるコメントは、この一言に尽きるものだった。相手の2倍以上となる13本のシュートを放ち、3万5千人以上の大観衆の前で、桜色のサポーターの大きな後押しも力に、鹿島を攻め立てていただけに、「本当に大事な時期に、その山場を乗り越えられない、そういうのを考えると、まだ僕らは力不足」と尹監督も悔しさをにじませた。それでも、「みんな走りきって、球際のところもそうですし、必死さを見せることはできていて、それはすごくよかった」とキム ジンヒョンも述べるような、『ユン・セレッソ』らしさも示せたのも事実。この経験を糧にし、鹿島戦で見せたよさを継続して、今後の試合から再び高みへ挑戦していきたいものだ。

文・前田敏勝