8月30日(水)JリーグYBCルヴァンカップ
セレッソ大阪 0-0 浦和レッズ (19:03/ヤンマー/7,784人)
試合写真・コメントなど
----------

 3シーズンぶりの挑戦となったJリーグYBCルヴァンカップで、グループステージでは負けなしの2位、プレーオフステージでは北海道コンサドーレ札幌に2連勝して、ベスト8入りを勝ち取った、セレッソ大阪。8月30日にノックアウトステージがスタートしたなか、ホーム&アウェイの2試合合計スコアで争う準々決勝では、昨シーズンのカップウィナーであり、今季はAFCチャンピオンズリーグ出場のためノックアウトステージからの参戦となった、浦和レッズと対戦。第1戦では、ヤンマースタジアム長居でのホームゲームに臨んだ。

 日本代表に山口蛍と杉本健勇、韓国代表にキム ジンヒョンが、それぞれ召集されていることもあったが、中3日での試合ということもあって、この試合でのセレッソは、これまでのルヴァンカップと同じく、リーグ戦とメンバーを大きく入れ替え。プレーオフステージ札幌戦の2試合で得点を決めた福満隆貴や、これがルヴァンカップ2試合連続先発となる斧澤隼輝らが入った。

 序盤から、セレッソ、浦和、ともに相手の背後を素早く狙いつつ、攻から守への切り替え、帰陣の速さが目立ち、攻防は一進一退。20分ごろには両サイドを広く使った浦和の攻撃に肝を冷やす場面もあったセレッソだが、粘り強くしのぐと、26分にはチームの狙いとしていたプレーの1つでチャンス到来。敵陣での鋭いプレスから木本恭生がボールを奪い、一気に攻め出る。木本のパスにゴール前であわせた福満隆貴のシュートは惜しくも枠を越え、得点にはならなかったものの、その後も、ボランチ陣のハードプレス、福満の裏への飛び出しやドリブルなどで、相手ゴールを脅かす場面も作っていく。

 スコアレスで折り返したなか、後半も、セレッソは前半から通して行ってきた、決して引き込みすぎることのない、果敢なディフェンスを展開。そのなかで、途中、ラファエル シルバの縦パスから遠藤航に抜け出されて、GKと1対1になる絶体絶命のピンチも作られたが、ここで立ちはだかったのが、この試合日に31歳の誕生日を迎えたGK丹野研太。相手をよく見て、ループシュートをストップし、ゴールを死守。また、秋山大地をはじめ、イレブンが最後まであきらめず懸命に戻り、相手にフリーでシュートを打たせない姿勢が、失点を阻止していく。「ディフェンスにおいては、どんな状況になっても、ひたむきに走ろうと、最後までボールを追いかけて走りましょうということを、予選(グループステージ)から通じてやっていること。特に浦和が上手いから、そうなると誰もが(ハードワークの重要性を)わかっていましたし、そういう意味でも、フラストレーションをためることなく、しっかりみんなで走れた」というのは、茂庭照幸。グループステージから見せ続けた、ひたむきにチーム全員がハードワークする姿勢を、最後まで崩すことはなかった。

 一方で、攻撃面では、77分に柿谷曜一朗、84分にソウザを送り込んだだけでなく、86分には推進力のある丸橋祐介を右サイドMFに起用し、最後までホームで勝ちに行く姿勢を見せたが、浦和の守備網を最後まで崩しきれず。第1戦は0-0の引き分けに終わった。それでも、「2試合トータルのレギュレーションで、アウェイゴールを与えないということがすごく大事だったので、最低限、それはよかったこと」と丹野もいうように、無失点で浦和を抑えたことで、第2戦でセレッソがゴールを奪えば、たとえ合計スコアが同点でも、勝ちぬけることができる、優位な状況に持っていくことができた。さらに、チームとして、公式戦ではプレーオフステージ第2戦以来となる無失点を達成。今季のセレッソの特長である堅守が蘇ってきただけに、次戦への期待も高まる。

 ただし、「今日の試合結果が引き分けになってしまったことで、次の試合はもっと高い集中力がいると思っています。そして、浦和はホームですごく強いチームなので、そこに関してももっと徹底的に準備をしないといけない」と気を引き締めたのは、尹晶煥監督。中3日で挑むアウェイ戦も、さらに厳しい試合が待っているだろう。それでも、「次は向こう(アウェイ)に行って勝つという気持ちで、今はいる」と試合後すぐに前を向いたのはソウザ。セレッソはチーム一丸となって、粘り強く戦い、今度こそベスト8の壁を破ってみせる。その基盤を作ることができた第1戦でもあった。

文・前田敏勝