10月25日(水)第97回天皇杯準々決勝
セレッソ大阪 2-0 大宮アルディージャ (19:03/金鳥スタ/4,526人)
試合写真・コメントなど
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 10月最後のミッドウィーク、25日(水)に行われたのは、第97回天皇杯。3シーズンぶりにベスト8に進出したセレッソ大阪は、準々決勝にて、同じJ1の大宮アルディージャと顔を合わせた。J1第30節から中3日での試合では、リーグ戦から両チームともにスターティングメンバーを大幅に変更。セレッソは山口蛍を除いて10人が入れ替わり、「今まで天皇杯とルヴァンカップで準備してきた選手たちが本当に大きな努力をしてきた。リーグ戦には出ていなかったが、徹底して準備してきていたし、ベストコンディションを維持しようとすごく努力する姿が見えていた」と、尹晶煥監督が称えた選手たちが先発。GKには丹野研太、DFは右から酒本憲幸、藤本康太、茂庭照幸、田中裕介、ボランチは山口と秋山大地が組み、2列目には右から関口訓充、福満隆貴、澤上竜二。最前線にはリカルド サントスが入った。

 29日(日)にもJ1リーグ戦第31節で大宮と激突するということもあり、ベスト4に勝ち残るためだけではなく、リーグ戦にも弾みをつけるべく、必勝を期したセレッソ。ただ、前半は、不用意なミスからピンチを招くことも見られたが、秋山をはじめとするカバーリングの意識の高さが際立ち、相手の決定的な場面でも、身体を張ってディフェンス。「相手にボールを持たれるシーンとかがありましたが、中では『あそこは持たせてもいい』ということで、自分たちはちゃんとリトリートしながら、スペースを埋めて、しっかり守ることができていていた」と関口も言うように、これまでの戦いと同じく、粘り強く対応していく。

 すると、23分、今季のセレッソが得意とするセットプレーから、均衡を破る。左サイド、田中のロングスローから、リカルド サントスがヘッドでゴール前に落としたボールは、一度はクリアされるも、これを再び田中が拾い、右足でクロス。そこで相手DFの前に入ってきたのが、福満。巧みに身体を捻りながらヘッドであわせると、きれいな弧を描いてゴールに吸い込まれた。「自分でもびっくりしているゴール。なんとかゴールの方向に飛ばそうと思ってクロスに飛び込んだ」という、執念が実った一撃は、彼自身の天皇杯2試合連続ゴール。この先制弾により、セレッソがリードを奪った。

 ここから、さらに球際の強さ、ボールを持つ相手への寄せの速さといった、「ユン・セレッソ」の真骨頂を発揮していく、桜色の戦士たち。1-0で折り返した後半も、序盤は自陣に押し込まれながら、我慢強く守り抜くと、54分、セレッソに2点目が生まれる。右サイドに抜け出た関口が、右足ではなく、切り返して相手を揺さぶり、左足でクロス。このボールにファーサイドから飛び込んできた澤上が、打点の高いヘディングであわせ、相手ゴールに押し込んだ。期待の若きストライカーの、みんなが待っていた今季初得点に、チームも、サポーターも歓喜。この試合のなかで、大きな価値のある追加点となった。

 その後、反撃に出る大宮の攻勢が強まるが、セレッソの守備は、集中力が途切れず、果敢なクリアや、優れた読みでのボールカットで、相手の決定機を寸断。「チームが1つになっていたからこそ防げる」と藤本もいうような、一体感あるディフェンスで相手に隙を与えない。終盤にはケガから復帰した山村和也や、丸橋祐介、清武弘嗣が途中出場。そのなかで終了間際にはセットプレーやカウンターからピンチもあったが、そこではGK丹野がビッグセーブを連発し、最後まで相手に得点を許さない。このまま2-0と完封勝利したセレッソは、2011年以来となるベスト4に進出。12月23日の準決勝に駒を進めた。

 試合後、「相変わらず勝とうとする意欲が前面に出ていた試合。選手たちはチームのために献身的に、自己犠牲してやる、そういう姿がすごく出ていた」とイレブンを絶賛した尹晶煥監督。「本当に勝ちたかったですし、アピールする場だと思っていた。何が何でも勝つ気持ちを前面に出したら、自然に身体が動いた」という福満をはじめ、普段、なかなかリーグ戦では出番に恵まれない選手たちの、強い意気込みが、プレーに、ハードワークに表れ、一丸となって勝利を得ることができ、まさに、桜の総力を示せた試合となった。この1勝を大きな弾みに、リーグ戦での上位進出、カップ戦でのタイトル獲得へとつなげていきたいものだ。

文・前田敏勝