7月28日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第18節
ベガルタ仙台 2-2 セレッソ大阪 (19:03/ユアスタ/14,911人)
試合写真・コメントなど
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 AFCチャンピオンズリーグによる延期分であるJ1第14節・鹿島アントラーズ戦から中2日、セレッソ大阪が、敵地でのJ1第18節・ベガルタ仙台戦に臨んだ。リーグ戦の後半戦、最初の一戦でもあるこの試合。セレッソは鹿島戦から先発7人を変更。第17節・浦和レッズ戦と同じ11人がピッチに並んだ。

 11分、早速、試合は動いた。山村和也がファウルを受けて獲得したFKを丸橋祐介がセットすると、鋭いキックが仙台ゴール前へ向かう。杉本健勇やマテイ ヨニッチらが飛び込み、DFを引き連れると、ボールはそのままGKの股間をすり抜けてゴールに吸い込まれた。丸橋の今季4点目となる先制点で試合を優位に進めたセレッソは、その後もボールを動かしチャンスを作るが、仙台の幅を使ったサイド攻撃に苦しめられる。

 30分、左サイドで丸橋とソウザのパス交換をカットされ、前線で石原直樹の溜めから逆サイドへ展開されると、中野嘉大の突破からのクロスを西村拓真に合わせられ、失点。31分にもパス交換のミスからピンチを招いたセレッソは、37分、中央を割られて仙台に決定的な形を作られるなど劣勢の展開が続く。40分にはセレッソにも決定機。マテイ ヨニッチのクリアが相手に当たって跳ねたボールを前線で杉本が胸トラップし、反転してシュートに持ち込むと、これがポストを直撃。圧倒的な個人技でゴールに迫った。

 後半も立ち上がりからボールを握ったのはセレッソだが、クロスが合わずに仙台の守備を破れずにいると、失ったボールを素早く運ばれ、仙台のサイド攻撃からピンチを招く。それでもゴール前ではマテイ ヨニッチと木本恭生が跳ね返し、失点は許さない。

 68分、尹晶煥監督が動く。高木俊幸、福満隆貴に代え、この試合が復帰戦となった柿谷曜一朗と水沼宏太を投入。杉本と山村の2トップは残し、サイドに変化を加えた。すると、69分、松田陸、杉本、山口蛍、杉本とテンポよくつながったボールを最後は水沼がシュート。わずかに枠を外れるも、セレッソがチャンスを作ると、続く70分にもカウンターから柿谷、山村、柿谷、水沼と素早くパスをつないでゴールに迫る。

 終盤、仙台も阿部拓馬、ハーフナー マイクと立て続けに選手を投入。シンプルにハーフナー マイクにボールを当て、そこからの2次攻撃を狙う仙台に押し込まれたセレッソは、84分、仙台に逆転を許した。もっとも、この場面ではセレッソにとって紛らわしいシーンもあった。仙台のCKを山口蛍がクリアしたボールがキッカーへ渡り、そこからのクロスで得点を決められたのだが、キッカーへボールが渡った時点で副審が戻りオフサイドと判断して旗を上げる。ただし、主審がオフサイドではないとし、旗を下げるジェスチャーを副審に送った。ラストタッチがセレッソの選手であったため、主審のジャッジ自体は正しかったのだが、副審の旗を降ろすタイミングが遅れると、セレッソの選手たちは一瞬、プレーを止めてしまう。そこから中央へ送られたクロスに対して慌てて反応するも、及ばなかった。

 窮地に追い込まれたセレッソ。その後もクロスを入れ続けるも、合わないまま時間が過ぎる。最後に残されたチャンス。アディショナルタイムも表示された4分台に突入しかけたその時、劇的な同点弾が生まれた。キム ジンヒョンのキックを交代でピッチに入った山内寛史が競り勝つと、左サイドで受けた柿谷がダイレクトで丸橋へパス。ここで見せた丸橋のプレーが素晴らしかった。対応に来たDF2人を“マル”セイユルーレットでかわすと、そのままクロス気味のシュートがゴールに吸い込まれ、セレッソが土壇場で同点に追いついた。

 内容自体は課題も見られたが、「選手たちが最後まで魂を込めてプレーをした」(尹晶煥監督)セレッソが執念で連敗を阻止。敗色濃厚の展開で得た勝点1を追い風に、次節、ホームでのヴィッセル神戸戦でリーグ戦5試合ぶりの勝利を目指す。

文・小田尚史