9月22日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第27節
湘南ベルマーレ 1-1 セレッソ大阪 (19:03/BMWス/12,173人)
試合写真・コメントなど
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 2018JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝で敗れた借りを返すべく、湘南ベルマーレのホーム・Shonan BMW スタジアム平塚に乗り込んだセレッソ大阪。試合は、開始10秒、思わぬアクシデントから始まった。右足中指の骨折から驚異的な速さで復帰にこぎつけた杉本健勇だったが、相手DFと競り合った際に右肩を脱臼。交代を余儀なくされた。涙を堪え切れない背番号9の姿に、控えのチームメートたちが次々と駆け寄る。数分後、包帯で肩を吊った状態でベンチに戻ってきた杉本は、最後までピッチで戦う選手たちを鼓舞。気持ちは注入し続けた。

 開始10分ほどは湘南の勢いに押される時間帯が続いたセレッソだが、ここをしのぐと徐々にペースを取り戻す。13分、松田陸が山口蛍とのワンツーで右サイドを破り、クロス。うまく相手のマークを外して山村が合わせたシュートはわずかにバーを越えた。20分、21分とセレッソは立て続けにピンチも招くも、無失点で切り抜けると、22分、清武弘嗣が前線へ絶妙なスルーパス。裏に抜け出した高木俊幸がGKと1対1となるも、シュートは湘南GK秋元陽太に防がれた。26分にもセレッソにビッグチャンス。山口が高い位置でカットすると、そのまま清武へパス。清武が左サイドからカットインし、シュートを放ったが、GKに止められた。

 完敗したルヴァンカップ準々決勝第1戦の反省も踏まえて臨んだこの試合。セレッソは、しっかりとボールを動かし相手にプレスの的を絞らせず、試合を支配。守備でも、ボールを失った後の切り替えが速く、素早くボールを回収。ピンチの芽を摘んだ。あとはチャンスで決めるだけ─。優勢の前半を経て、後半はさらにセレッソが試合を掌握する。

 最初の決定機は53分。高木のパスに裏を取った山村が切り返してクロス。清武がドンピシャのボレーで合わせたが、GKのセーブに遭う。その後も左右の幅も効果的に使い、ボールをつないで押し込むセレッソは、60分、ソウザのニアへ蹴ったCKにマテイ ヨニッチが合わせたが、「決まったか?」に思われたヘディングは惜しくも枠を外れた。80分にもセレッソに決定機。オスマルのスルーパスから丸橋祐介がサイドの裏を取り、中を見て丁寧にクロス。清武が右足アウトサイドで合わせたが、わずかにバーを越えた。83分にも、CKのセカンドボールを拾ったソウザがDF2人をかわしてペナルティーエリアに進入してクロス。ディフェンスにクリアされたボールを拾った松田が再びクロスを上げるとマテイ ヨニッチが頭で合わせたが、ここもゴールとはならなかった。

 セレッソが再三のチャンスで決め切ることができずにいると、一瞬の隙から失点。湘南のFKのセカンドボールを拾った松田が前につなごうとしたパスがミスとなり相手に渡ると、左からのクロスを杉岡大暉にヘディングで後ろに逸らされ、大野和成にダイレクトでシュートを決められた。内容を踏まえると、勝点0だけは避けたいセレッソ。後半アディショナルタイムにカウンターから招いたピンチでは、キム ジンヒョンが相手のシュートを足に当てて阻止。追加点は許さない。すると、試合終了直前、劇的な瞬間が訪れた。アディショナルタイムの目安の3分が過ぎた時間帯。ラストプレーになるであろうCKを丸橋が蹴ると、混戦から、攻め上がっていたキム ジンヒョンが頭でつなぎ、松田がシュート。一度はGK秋元が手に当て、クロスバーを直撃するも、跳ね返りを再びキム ジンヒョンがシュート。ここも秋元に防がれたが、そのこぼれ球をソウザが左足で押し込み、ついにネットを揺らす。この試合、セレッソにとって21本目のシュートが決まり、土壇場で同点に追いついた。

「前節、勝点3を取れなかったのは自分のプレーが原因。今日は絶対に勝点3を取りたかった」と、今節に並々ならぬ意欲で臨んだ桜の守護神が執念でつないだヘディングとシュートが突破口となり、最後はソウザが決定力を発揮した一戦。試合内容からすれば勝点3が欲しかった試合ではあるが、勝点1を上積みしたことで、試合終了時点で北海道コンサドーレ札幌とベガルタ仙台を抜き、暫定4位に浮上。次節からのホーム2連戦に勢いを持って挑む。

文・小田尚史