10月20日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第30節
FC東京 0-1 セレッソ大阪 (19:03/味スタ/28,053人)
試合写真・コメントなど
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 第20節のサガン鳥栖戦以来、リーグ戦では9試合ぶりに4-4-2で臨んだ今節のFC東京戦。セレッソ大阪にとってはACL圏内を目指す上で正念場の一戦となった中、開始早々、FC東京の2トップにチャンスを作られると、その後もピンチが続く。14分、永井謙佑にディエゴ オリヴェイラとのワンツーから決定的な形でシュートを打たれたが、GKキム ジンヒョンが防いだ。その後も、前半のセレッソはボールの失い方が悪く、FC東京の縦に速い攻撃を受けてしまう。41分にも、セレッソは自陣のスローインから相手にボールを渡してピンチを迎えると、ディエゴ オリヴェイラのパスを永井がスルーしたところを東慶悟にシュートを許したが、ここはCB山下達也が懸命のブロックで防いだ。攻撃でも、セレッソは思うように攻撃の形を作れず。33分、清武弘嗣が起点となり、サイドに流れた杉本健勇のクロスを水沼宏太がヘディングで合わせた場面が、前半唯一のチャンスとなった。

 後半に入ると、さらにFC東京の前への推進力が増し、セレッソは守勢に回る展開となる。特に、裏への意識が高い永井に手を焼くと、52分、54分と立て続けに抜け出されてピンチを招くも、前者はソウザが、後者はマテイ ヨニッチがカバーした。セレッソも50分、この試合最初の決定機を迎える。清武のクロスに柿谷曜一朗がヘディングで合わせると、FC東京CB森重真人の手に当たったようにも見えたが、主審の笛は鳴らず。64分にはディエゴ オリヴェイラのドリブル突破でディフェンスラインを破られかけたが、何とか最後は山下が体を寄せて止めた。その直後の65分、清武のパスに抜け出した水沼が持ち込んでシュート。いいコースに飛んだが、わずかにバーを越えた。

 ここからセレッソはさらに劣勢の展開となる。サイドを制圧され、セカンドボールも拾われ、自陣に釘付けにされると、奪ったボールをつなげず、完全に試合を支配された。70分、交代で入ったばかりのリンスに起点を作られ、室屋成にサイド奥深くまで進入されたが、ソウザがファウルギリギリのプレーで阻止。いつ失点してもおかしくない展開が続いたが、この状況を耐えたC大阪に待望の先制点が生まれたのは84分。太田宏介のクロスを逆サイドでトラップした丸橋祐介が前線の杉本へフィード。第27節・湘南ベルマーレ戦での右肩脱臼から今節が復帰戦となった杉本が丹羽大輝と競り合いながらも力強くキープし、右サイドの水沼へ展開すると、水沼がドリブルで持ち運んでシュート。ここは森重に当たるも、跳ね返ったボールが逆サイドの清武の元へこぼれると、清武が抑えの利いた難易度の高いボレーシュートで右足一閃。室屋の体に当たってゴールに吸い込まれた。

 耐える時間が長かった分、セレッソの選手、ベンチ、サポーターは歓喜の瞬間に喜びを爆発させた。その後、89分に室屋のパスからリンスに裏に抜け出され、この試合、一番のピンチを迎えたが、GKキム ジンヒョンが飛び出してシュートコースを限定すると、角度のないところからのシュートは枠を外れて事なきを得た。後半アディショナルタイム、FC東京のクロス攻勢もしのいだセレッソが、リーグ戦4試合ぶりの勝利を手にした。

 試合後、殊勲の決勝点を決めた清武は、「(大阪)ダービーに負けて、このままズルズル行くのは嫌でした」と話し、自身のゴールよりもチームの勝利に安堵した。しっかりと守備で耐え、ワンチャンスをモノにする。昨季のルヴァンカップ決勝を彷彿とさせる内容で勝利したセレッソは、3位・FC東京との勝点差も『2』に縮め、再びACL圏内を狙える位置に付けることに成功した。

文・小田尚史