11月24日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第33節
セレッソ大阪 0-3 柏レイソル (14:03/ヤンマー/23,110人)
試合写真・コメントなど
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 今季のリーグホーム最終戦であり、19日に今季限りでの退任が発表された尹晶煥監督がセレッソで指揮を執るホームラストマッチとなった今節の柏レイソル戦。「全員でしっかり戦って、尹さんが築いてくれたサッカーで勝って、しっかり送り出してあげることができたらいい」(山口蛍)と必勝を期して臨んだ一戦だったが、J1残留へ向けてあとがない状態でこの試合に挑んできた柏の前に、0-3の完敗。尹晶煥監督のホームラストを勝利で飾ることはできなかった。

 試合は、立ち上がりから両サイドバックの松田陸と丸橋祐介が高い位置を取って攻撃参加するなど、セレッソが柏を押し込む形でスタートする。ボールを握る時間も長く、柏のゴールをこじ開けにかかるが、思うようにシュートまで持っていくことができない。逆に、全体をコンパクトにして守備から入り、セレッソのパスをカットして素早く縦にボールを運ぶ柏の攻撃に、何度かゴールを脅かされる展開になる。

 それでも、30分あたりから柏のゴール前でパスが効果的につながり始め、チャンスを作るセレッソ。29分には、ソウザのパスを収めた杉本健勇が右サイドへ展開。松田の正確なクロスに柿谷曜一朗が頭から飛び込んだが、惜しくも合わず。36分には、山下達也のフィードに抜け出した水沼宏太がディフェンスラインの裏を取ったが、シュートはクロスバーを越えた。43分にはソウザが鋭い直接FKを放ったが、柏GK中村航輔に止められた。

 流れを掴みかけて迎えた後半だったが、53分、中山雄太にペナルティーエリア外から強烈なシュートを受けると、これがネットに突き刺さり、柏に先制を許してしまう。すると、5分後の58分。今度は中盤でのパスをカットされると、柏に素早くボールを運ばれ、右サイドの伊東純也のクロスから江坂任に決められ、リードを2点に広げられた。

 反撃に出たいセレッソは、63分、2分前に柿谷に代わってピッチに入った山村和也が起点となり、最後はソウザが強烈なシュートを放ったが、DFに防がれる。69分には、清武弘嗣のロングパスを山村が絶妙なトラップで収めて前を向き、中へクロスを入れると、受けた杉本がシュートを放ったが、クロスバーを越えた。2失点目以降はキム ジンヒョンの再三に渡る好守で3失点目は防いでいたセレッソだったが、84分、カウンターから最後はクリスティアーノに決められ、万事休す。試合はそのまま0-3で終了した。今季のホーム最終戦を勝利で飾ることはできなかったセレッソに対し、会心の勝利を収めた柏も試合後は残酷な結末が待っていた。残留を争っていた湘南ベルマーレ(14位)、サガン鳥栖(15位)、名古屋グランパス(16位)がそろって勝利したため、勝点差4は埋まらず、ラスト1試合を残してのJ2降格が決定。試合後のアウェイゴール裏のサポーターも涙に暮れた。

 話をセレッソに戻すと、試合後は、ホーム最終戦のセレモニーが行われ、チームを代表してキャプテンの山口蛍と尹晶煥監督がサポーターへ挨拶。山口は、「残り1試合ですが、2年間、尹さんと積み上げてきたサッカーをもう1度みんなで思い出して、しっかり勝利で締めくくれるように頑張ります」と話す直前には、こみ上げてくる気持ちを抑え切れず、思わず涙をこぼす場面もあった。

 そして、昨季の二冠に感謝する横断幕が掲げられ、スタジアム全体から大きな「ユン・ジョンファン」コールを受けてマイクの前に立った尹晶煥監督は、日本語で、思いの込められたスピーチを披露。スポンサー、スタッフ、選手、サポーターへ感謝の気持ちを述べた後、「本当にこの2年間、よい想い出を残させてくれたセレッソ大阪を、一生忘れないと思います。どこに行ってもセレッソと皆さんをいつも応援しています。僕のことも、どこに行っても応援してください。本当に2年間、どうもありがとうございました」と締めくくった。

 思うような結果を残せず終わった今季に関しては悔しさも滲ませた尹晶煥監督だが、これまで無冠のクラブに初のタイトルをもたらした功績は色褪せることはない。今季もまだ1試合が残っているが、セレッソ大阪に新たな歴史を築いてくれた尹晶煥監督に、改めて感謝の気持ちを申し上げたい。

文・小田尚史