12月1日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第34節
横浜F・マリノス 1-2 セレッソ大阪 (14:03/日産ス/30,608人)
試合写真・コメントなど
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 今季のリーグ最終節であり、尹晶煥監督にとってセレッソ大阪で指揮を執るラストマッチとなった今節。相手は、今年の元日、天皇杯決勝でも対戦した横浜F・マリノス。

 試合は前半から互いにチャンスを作り合うと、後半に先制されるも、山村和也と清武弘嗣にゴールが生まれてセレッソが逆転。終盤は山村をディフェンスラインに下げて5バックで守り切るなど“ユン・セレッソ”の集大成とも言えるべき内容で勝利を収めた。

「必死に1試合を通して戦うことが自分たちの特長であり、それを2年間、監督に植え付けてもらったので、今日、それを出せて、勝てて良かった」。この試合、再三、フィニッシュに絡んだ水沼宏太が安堵の表情を浮かべれば、「今日は試合内容も含めて尹さんとやってきたことをしっかりと出せて終わった」とキャプテンの山口蛍も納得顔で試合を振り返った。

 立ち上がりは横浜FMのペースで試合は進むも、セレッソも徐々に反撃。前節の柏レイソル戦とは異なり、広いスペースがある相手の3バックの背後をシンプルに狙い、シュートまで持ち込む。19分、水沼のクロスをDFがクリアし損ね、杉本健勇の目の前にボールがこぼれたが、シュートは枠を外れた。21分には清武弘嗣のパスを受けた山村がスルーパス。右から左へ斜めの動きでDFラインの裏を取った水沼がシュートを放つも、GKに止められた。36分にもビッグチャンス。清武のスルーパスを山村がダイレクトで落とし、水沼に決定機が訪れるも、再びGKに防がれた。

 後半も勢いよく試合に入ったのはセレッソ。前半以上に高い位置からプレスをかけ、積極的にボールを奪いにいく。もっとも、先制したのは横浜FM。左サイドで仲川輝人に仕掛けられると、シュートがDFに当たってこぼれたところを天野純に押し込まれた。ただし、セレッソもすぐさま反撃。51分、左サイドを崩して丸橋祐介のクロスに杉本が合わせたが、シュートはわずかに枠の外。それでも56分。松田陸が高い位置でボールを奪うと、水沼とのワンツーで抜け出し、深い位置からクロス。中で山村が合わせて同点に追いついた。その後も再三、高い位置でボールを奪ってチャンスを作ったセレッソは、61分、杉本のシュートから得たCKから逆転ゴールが生まれた。丸橋が素早く松田に預けると、松田の狙い済ましたクロスに合わせたのは木本恭生。尹晶煥監督によって成長を遂げた彼のヘディングがクロスバーに当たった跳ね返りを清武が頭で押し込んだ。その後、清武はユニフォームをギュッと握りしめ、ベンチへ一目散で駆け寄ると、見る見る歓喜の輪が広がり、第一子が生まれたばかりの柿谷曜一朗へ向けたゆりかごダンスも行われた。

 逆転後はさらなる攻撃的な布陣で攻めてきた横浜FMに対し、セレッソはカウンターから3点目のチャンスを何度か迎えたが、奪えない。それでも、77分のウーゴ ヴィエイラのヘディングシュートはGKキム ジンヒョンが完ぺきにキャッチするなど同点弾は許さない。85分ごろからは山村をディフェンスラインに下げる5バックへと移行し、守備陣は最後まで1点のリードを守り切った。

 惨敗を喫した前節のままでは終われない─。そんな選手たちの気迫が伝わってきた試合後、「この感謝の気持ちをどういう言葉で伝えればいいか、わからない」と話した尹晶煥監督。今節の結果、勝点を50に伸ばし、順位も7位へ浮上。過密日程との戦いに加えてケガ人も続出するなど苦しいシーズンとなった今季だが、リーグ戦では上位をキープし続けた。そして─。今節にて尹晶煥監督と歩んだ2年間の戦いは終わった。ただし、その教えは選手たちの胸に確実に刻まれたはず。来季以降も、勝利にこだわる“ユン・イムズ”は、チームの根底に流れ続ける。

文・小田尚史