3月30日(土)2019明治安田生命J1リーグ 第5節
ベガルタ仙台 0-2 セレッソ大阪 (14:03/ユアスタ/10,931人)
試合写真・コメントなど
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 試合後の公式記録に表示された気温は3.6度。季節外れの雪が舞う中、ベガルタ仙台とのアウェイゲームに臨んだセレッソ大阪は、2分、左サイドで起点に右サイドへ展開。片山瑛一のオーバーラップをおとりに松田陸がクロスを上げて仙台ゴールを脅かすと、3分には、相手のパスをカットした柿谷曜一朗がドリブルでゴールに迫る。入りは良かったセレッソだが、自陣からのパスでミスが続き、流れを仙台に渡してしまう。7分、FKから長沢駿にフリーでヘディングシュートを許すと、15分には、奥埜博亮から木本恭生へのパスが短くなったところをハモン ロペスに奪われ、シュートを打たれた。決定的な形だったが、ここはGKキム ジンヒョンが好セーブで難を逃れた。18分にも、キム ジンヒョンのゴールキックが相手に渡り、長沢にシュートまで持ち込まれた。

 バタついた時間帯を無失点でしのいだセレッソは、再び流れを引き寄せる。30分、ソウザの強烈なミドルシュートが枠を捉えると、32分には清武弘嗣、丸橋祐介、木本で左サイドを崩してゴールに迫る。すると、35分、セレッソが先制に成功した。ソウザを起点に右サイドへ展開。そこから柿谷、片山、松田のトライアングルで鮮やかに右サイドを攻略。裏へ抜け出した松田へ柿谷がふわりとした絶妙のパスを送ると、仙台3バックの裏を完ぺきに取った松田が落ち着いてトラップ。縦に持ち出して丁寧に中へボールを入れると、これを都倉賢が右足で合わせ、GKの手を弾いて豪快にネットを揺らした。「FWが決めないと勝てない」。試合前、そう固く決意の言葉を述べていた背番号9に飛び出した待望の移籍後初ゴールにより、セレッソが1点リードで前半を折り返した。

 雪の粒が大きくなり、次第にピッチに積もり始めた後半。立ち上がりからセレッソは仙台に押し込まれる時間帯が続く。ここで奮闘が光ったのが、古巣対戦となった奥埜。攻撃には移れずとも、しっかりボールをキープ。体を張って、相手に傾きかけた流れを断ち切る。この劣勢の展開に、ロティーナ監督も動く。67分、柿谷に代えて田中亜土夢を投入。「ボールをキープすること」「守備でしっかりプレッシャーをかけること」。試合を落ち着かせて守備の強度を上げることを期待され、リーグ戦では今季初出場となった背番号32は、ファーストプレーで早速ボールを収める。すると、72分、仙台のCBからボランチに出たパスを奥埜が高い位置でカットし、ショートカウンターが発動。清武の丁寧なラストパスを受けた田中が落ち着いてシュートを放ち、仙台ゴールを射抜いた。一目散にベンチに走る田中にアップ中の選手たちも一斉に駆け寄り、歓喜の輪が広がった。

 厳しい時間帯を耐えての追加点。試合の機微をしっかり掴んだセレッソは、残りの時間帯は仙台に好機を与えず、守備は安定。終盤には木本と田中に決定機が訪れるなど、3点目も貪欲に狙いに行く姿勢を見せた。2点目が決まった後からカラーボールが使用されるなど、降り続いた雪で瞬く間に広がった白銀の世界で躍動したセレッソ。「いいトレーニングをして、勝つ可能性を高めることが大事」と語るロティーナ監督の元、向上している内容を結果に結び付けた、価値ある今季2勝目となった。

文・小田尚史