6月1日(土)2019明治安田生命J1リーグ 第14節
サガン鳥栖 0-1 セレッソ大阪 (16:03/駅スタ/12,083人)
試合写真・コメントなど
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 前節は首位を走るFC東京をホームで撃破したセレッソ大阪。連勝を目指して臨んだ今節。アウェイでのサガン鳥栖戦は、前節と同じ11人がピッチに並んだ。

 最初のチャンスは鳥栖。2分、FKの流れからクロスを豊田陽平に合わせられ、ヒヤリとしたが、シュートは枠に飛ばず、事なきを得る。セレッソも3分、FKにマテイ ヨニッチがヘディングで合わせる。両者がセットプレーから相手ゴールを脅かして始まったこの試合。セレッソは後ろから丁寧につないで鳥栖ディフェンスを攻略にかかるも、ラスト3分の1のエリアに入っていくことができない。

「お互い、後ろでボールを回すけど、そこから危険なところに(パスを)を入れることができない」(藤田直之)展開が続いたが、守備で失点することなく試合を運ぶと、39分、セレッソが最初のチャンスをモノにした。ビルドアップ時はボランチのどちらかが下がってボールを受けつつ、丸橋祐介が高い位置を取って清武弘嗣が中に入る形を繰り返し狙っていたセレッソだが、この形が得点に直結。

 相手選手が2人でプレスに来たところを松田陸がうまく外して斜めに藤田へパスを付けると、今度は鳥栖のボランチが藤田にプレスに来たが、藤田はこれをダイレクトでフリック。相手ディフェンスラインとボランチの間でフリーでボールを受けた清武が前を向いてドリブル開始。オーバーラップしてきた丸橋に狙いを定めてスルーパスを送ると、サイドの裏を取った丸橋のクロスにブルーノ メンデスが合わせ、ゴールネットを揺らした。

 その直後、再びバイタルエリアで丸橋のパスを受けた水沼宏太がDFに競り勝ってミドルシュートを放つと、強烈な弾道が枠に飛んだが、ここは惜しくもGKに弾かれた。

 セレッソが1点リードで前半を折り返すと、後半も最初に決定機を掴んだのはセレッソ。52分、細かくパスをつないで、丸橋、清武、水沼の鮮やかな連係から抜け出した清武がネットを揺らしたが、ここはわずかにオフサイドでノーゴール。59分にもセレッソにビッグチャンス。再び鮮やかなパスワークから、最後は清武のパスに水沼が抜け出したが、シュートはDFに防がれた。

 その後は鳥栖の攻勢をセレッソがしのぐ展開に。67分には、クエンカのクロスからペナルティーエリア内で金崎夢生が放ったシュートがポストに当たる場面も。守備の時間が増えたセレッソも、74分に追加点のチャンス。清武のパスを受けたブルーノ メンデスが強烈なシュートを放ったが、わずかに枠を外れた。

 77分、ロティーナ監督は高木俊幸を投入。前節に続いて2トップの一角で先発していた奥埜博亮をボランチへ下げる。83分には田中亜土夢も投入し、攻撃陣を活性化。彼らは期待に応え、前線で攻守に精力的に動いて時間を作った。試合終盤はディフェンスを一人上げてパワープレーを仕掛けてきた鳥栖だが、最後まで集中力を切らさずにしのいだセレッソが1点のリードを守り切り、アウェイで貴重な勝点3を手にした。

 試合後、「難しい試合だった」と何度も振り返ったロティーナ監督。拮抗した展開で勝負を分けたのは、攻撃での崩しの質だった。試合前、「戦う部分は当然のこととして継続して、鳥栖の特長も頭に入れながら、より自分たちの精度も求めていきたい」と語っていたのは水沼だったが、得点場面では、セレッソが質の高さを示し、相手の守備を上回った。“戦う”姿勢でも負けず、しっかりと意図を持って相手の守備を崩して得点を奪う、チームとして着実に成長している姿が見て取れた一戦となった。

文・小田尚史