11月23日(土・祝)2019明治安田生命J1リーグ 第32節
ヴィッセル神戸 1-0 セレッソ大阪 (13:03/ノエスタ/23,744人)
試合写真・コメントなど
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 ヴィッセル神戸のホームに乗り込んだ2019明治安田生命J1リーグ第32節。セレッソ大阪の先発は前節と同じ11人。ベンチには清武弘嗣が戻り、第24節・ジュビロ磐田戦以来、8試合ぶりのメンバー入りを果たした。

 立ち上がり、ソウザのパスから水沼宏太や柿谷曜一朗が裏を取るシーンこそ作ったセレッソだが、次第に神戸にボールを握られ、守勢に回る時間が続く。それでも、守備のポジションに付くスピードは速く、中を固めて対応すると、神戸に決定機らしい決定機は作らせない。神戸のサイドの揺さぶりに対しても丹念なスライドを怠らず、穴は空けない。

 奪ったボールを前に運べず攻撃面では苦労したが、「前半は失点ゼロで抑えて後半勝負」(木本恭生)との意思統一を図ったセレッソは、ダビド ビジャ、アンドレス イニエスタ、ルーカス ポドルスキがそろい踏みした相手に対し、前半だけでシュート11本を許したが、無失点で前半を折り返すことに成功した。

 流れを変えたい後半、セレッソは左サイドから攻め込む姿勢を見せるも、逆に攻めた分、今度はカウンターからピンチを招く場面も。49分には、セルジ サンペールのパスからダビド ビジャに裏を取られたが、ここはマテイ ヨニッチが戻り、事なきを得た。55分には、アンドレス イニエスタを起点にパスをつながれ、最後は左サイドの角度のないところからダビド ビジャにシュートを許したが、ここはポストを直撃。

 セレッソも53分、58分と水沼宏太が際どいシュートを放って神戸ゴールに迫ると、59分、鈴木孝司に代わって清武弘嗣が投入され、柿谷が2トップの一角にポジションを上げた。

 前半はパスをつなげず、前で起点を作れず神戸にセカンドボールを回収されてピッチを制圧されていたセレッソだが、スペースが空き始めたことで、パスもつながり始める。62分、清武を起点に奥埜博亮のパスから柿谷がチャンスを迎えたが、シュートはGKに防がれた。68分には、古橋亨梧のシュートをキム ジンヒョンが好セーブ。跳ね返りを田中順也に詰められたが、ここもキム ジンヒョンが体を投げ出して守る勇敢な姿勢でゴールを割らせない。

 両チーム、ゴールの匂いが漂い始めた76分、均衡が破れた。アンドレス イニエスタのパスを受けた山口蛍が前線の古橋へスピードのある縦パスを付けると、パスを受けた古橋に対応した松田陸が交わされ、シュートを決められた。ここまで懸命に耐えていた守備陣だが、相手の質の高さに屈した形となった。

 ここからセレッソも猛反撃。高木俊幸、田中亜土夢といった途中出場の選手たちが前線で運動量を増やすと、84分、高い位置で奪ったセレッソは、田中のクロスに高木が飛び込んだが、ヘディングはわずかに合わず。85分には、柿谷が前線で猛然とプレス。田中のパスを受けた藤田が狙い済ましたミドルシュートを放ったが、GKに防がれた。

 最後まで攻め立てたセレッソだが、同点ゴールは奪えず試合終了。「テクニック、能力の高い素晴らしい選手を擁している相手」(ロティーナ監督)に対し、守備では1失点に抑えたが、今節は「ビルドアップのところでボールを失ってしまうことが多かった」(ロティーナ監督)。チャンスを構築する過程で課題が残った。

 それでも、「下を向く必要はない。自分たちが積み上げてきたことを出せたシーンも多々あった。残り2試合、いい結果を出せるようにやっていきたい」とキャプテンの清武も話すように、これまでどおり「日々、成長」(ロティーナ監督)の姿勢を貫き、シーズンを戦い終えたい。

文・小田尚史