11月23日(月・祝)2015明治安田生命J2リーグ第42節
セレッソ大阪 2-0 東京ヴェルディ (14:04/金鳥スタ/12,013人)
試合写真・コメントなど
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 終盤戦での低迷などもあり、この試合を前にした11月17日に監督交代を敢行。心機一転、大熊清新監督の下でJ1昇格を果たすべく、クライマックスを迎えることになったセレッソ大阪。6戦ぶりの勝利、そしてリーグ戦後にやってくるJ1昇格プレーオフのホームゲーム開催権を持つ4位を確定させるべく、明治安田生命J2リーグ戦の最終戦となる第42節では、7位・東京ヴェルディと対戦した。

 この一戦では、前節に引き続いて扇原貴宏が累積警告のために出場停止となるも、キャプテンの山口蛍が日本代表戦から戻ってきただけでなく、左サイドの要でもある丸橋祐介も3試合ぶりに先発復帰。攻撃陣では玉田圭司、田代有三、楠神順平、関口訓充という4選手が今季初めてスタートから揃い踏みした。そしてGKキム ジンヒョンにとっては、ケガからの復帰後、初のホームゲームとなった。

 J1昇格プレーオフに出場するためには勝つしかない状況だった東京Vの鋭い出足もあり、いきなりのピンチもあったセレッソ。その状況を耐え難を逃れると、相手ゴール前での楠神のシュートや田代のヘディングシュートがゴールポストを直撃するなど、桜色の戦士たちも応戦。
 そして30分、待望の3試合ぶりのゴールが生まれる。玉田圭司の蹴ったコーナーキックに合わせたのは、茂庭照幸。桜の魂を持つセンターバックがヘッドで決めきり、セレッソ加入後初得点を記録。33番は一目散にベンチに駆け寄り、チームメイトと喜びを分かち合った。チームとしても第36節・ギラヴァンツ北九州戦以来となる先制点が生まれ、スタジアムのボルテージは一気に高まった。

1-0で折り返した後半も、決して盤石な戦いができていたわけではなかったセレッソ。東京Vの巧みな個人技、パスワークやカウンターに手こずる場面もあったが、この一戦で桜色の戦士たちはハードワークを怠らず、たとえ一度抜かれても、再び戻って取り返すようなチャレンジとカバーを繰り返し、粘り強く戦っていく。
 すると69分、貴重な追加点を獲得。決めたのは、またも茂庭だった。関口のコーナーキックに、ニアサイドでうまく合わせた「狙い通り」のヘディングシュートは、セレッソサポーターが集う桜色に染まったゴール裏スタンドの目の前で決まった。スタンドから歓喜とともに、無数に広がる「も・に・わ」コール。キンチョウスタジアムはまさに茂庭劇場となった。

 その後、反撃を繰り出す東京Vを、アグレッシブな守備が光った山下達也、途中出場の中澤聡太やキム ジンヒョンを中心とするディフェンスで封じ込めれば、終盤になっても運動量が落ちない関口らの力走、カウンターなどで好機も作ったセレッソ。追加点こそ挙げられなかったものの、2-0で完封勝利を達成。6試合ぶりの白星、9試合ぶりの複数得点で苦況を打破し、4位の座も自力で確定。ホームで迎えることのできるJ1昇格プレーオフに向けて、弾みとなる1勝でリーグ戦を締めくくった。
「本当に勝つことがなによりも大事だったし、それができたのは本当によかったこと。チームは監督が替わりましたが、チーム一丸となってできたことは次につながると思う」(楠神)

 試合後には、ホーム最終戦セレモニーも実施。挨拶のなかで「(J1)自動昇格という最初の目標を達成できなかったことは、選手、スタッフ一同を含め、非常に申し訳なく思う」と述べたのは、キャプテンの山口。それでも、「J1に昇格するチャンスがなくなったわけではないので、残り2戦、プレーオフを含めて、皆さんの力が必要になってくる。ともに力を合わせて頑張りましょう!」と、サポーターにさらなる後押しを呼びかけた。
 クラブ、選手、スタッフ、サポーターが一丸となってJ1昇格プレーオフに挑むべく、勢いを取り戻したセレッソは、1年でのJ1復帰へ、ここから最後の戦いに進んでいく。

文・前田敏勝