6月14日(日)2015明治安田生命J2リーグ第18節
水戸ホーリーホック vs セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/Ksスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節・ギラヴァンツ北九州戦後、水戸ホーリーホックに激震が走った。4年半もの間、チームを引っ張ってきた功労者である柱谷哲二前監督の解任が決まったのだ。ここまで3勝4分10敗とふるわず、順位を21位にまで落とすこととなったことに加えて、ゴールデンウィークからは低調な内容が続き、立て直しを図るためにクラブは決断を下すこととなった。

 今季こそなかなか結果を出すことはできなかったものの、柱谷前監督がこのチームに残したものは計り知れない。クラブのスタンスを「やりきる、走りきる」というわかりやすい言葉で示し、攻守において自分たちからアクションを起こして戦うアグレッシブな姿勢を植え付けた。“水戸らしさ”を具現化した指揮官であったと言えるだろう。

 それだけに選手たちが受けたショックは小さくなかった。「非常に悔しい。ふがいない」(新里亮)と肩を落とした。
 だが、それから1週間、チームは悲しみを乗り越え、再びファイティングポーズを取っている。その先頭に立っているのが監督代行を務める西ヶ谷隆之ヘッドコーチだ。オフ明けのミーティングで「正直、不安がある」と選手たちに率直に心境を語り、「だからこそ、みんなの力で乗り切っていこう」と語りかけた。その言葉が選手たちに響いた。「本音を話してくれてうれしかった。ガヤさん(西ヶ谷ヘッドコーチ)の下で一つになって戦う決意ができた」と馬場賢治は力を込めて語った。これまでヘッドコーチとして選手と寄り添ってきただけに選手たちからの信頼は厚く、チームはすでにまとまりを取り戻している。

 柱谷前監督解任後、最初に対戦するのがセレッソ大阪となる。リーグ最少レベルの資金力の水戸から見れば、「超ビッグクラブ」である。今節は代表に招集されている山口蛍とキム ジンヒョンが欠場。さらにカカウはすでに契約満了となり、ケガ人も多いという情報が水戸側に入ってきている。
 とはいえ、それでもリーグで圧倒的な戦力を擁していることに変わりない。「J1の優勝争いをしてもおかしくないチーム」(馬場)と選手たちは強さを認めていて、苦戦覚悟で臨むこととなる。

 だからといって、勝利をあきらめたわけではない。それどころか、並々ならぬ闘志を燃やしている。この試合は水戸にとって単なる1試合ではない。監督解任で揺れるチームが再び一丸となって前進していく姿勢を示すためにも、非常に重要な一戦であるのだ。
「選手たちが変われるチャンスだと思っています。この状況をいい意味でプラスに変えて試合に臨みたい」と西ヶ谷ヘッドコーチは力を込めた。
「ここから這い上がる」。そう誓ったチームの新たなスタートとなる一戦。力強く一歩を踏み出してくれると信じている。

文・佐藤拓也