6月28日(日)2015明治安田生命J2リーグ第20節
栃木SC vs セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/栃木グ)
試合写真・コメントなど チケット
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 明治安田生命J2リーグ第14節のV・ファーレン長崎戦で逆転負けを喫したあとの直近の5試合、、セレッソ大阪は2勝3分と負けなし。この間、複数得点はなく、勝ち切れていないとも言えるが、5試合で喫した失点はわずかに2。攻守のバランスは良い状態にある。1-0で勝利した第17節の愛媛FC戦は、先制した前半は完ぺきな内容だったが、後半は押し込まれ、試合運びに課題を残した。続く第18節の水戸戦ホーリーホック戦も苦しみながら先制するも、愛媛戦と同じく後半に相手の攻勢を受けて同点に追いつかれた。「点を取った後に受け過ぎた。自分たちがもっとハードワークしてボールを握って、相手がプレスに来られないようなボールの回し方をしないといけない」(扇原貴宏)、「勇気を持ってあと1歩ラインを上げる、ボールに寄せるといったことをしないといけない。ボールに行けていないから相手に顔を上げられて、いいところにパスを出させてしまっている」(山下達也)、「自分がボールキープして、味方の押し上げを促したい。次はもっといい形で試合に入りたい」(田代有三)。水戸戦後に各選手が課題として挙げたポイントを、それぞれが胸に臨んだ前節の徳島ヴォルティス戦。その意思はピッチでしっかりと表現され、1-0で勝利した。内容的にも「今日、選手たちを見ていると、メンタルの強さをしっかり意識して、試合運びを変えていた。非常にアグレッシブに相手コートでサッカーができるような姿勢を貫いてくれた」(パウロ・アウトゥオリ監督)と桜のイレブンは進歩した姿を見せた。

「継続することが大事」(長谷川アーリアジャスール)になる今節の栃木SC戦を前に、アウトゥオリ監督は今週も熱のこもったミーティング、紅白戦、フォーメーション練習を実施。「やるべきこと」をチームに伝えた。今はまだ成熟の過程であり、紅白戦では、いわゆるサブ組と呼ばれるチームがスタメン組を圧倒する時間帯もあったが、控え選手の意識の高さにより、チーム全体が活性化されていることは喜ばしい事実だ。

 アウェイでの栃木戦は、相手チーム情報 にもある通り、2009年の第26節以来。当時は香川真司の2得点と乾貴士の1得点で、3-1で勝利した。言わば2枚看板で圧倒したわけだが、現在のセレッソは突出した個がチームを引っ張るのではなく、ピッチに立つ全員が献身的に戦うことが求められている。
 攻撃では、終盤の時間帯での守備の疲弊を防ぐためにも、つなげる時はしっかりつなぐという、前節もテーマになったコンセプトを続けたい。ただし、栃木は2列目にドリブル突破と技術を備えたアタッカータイプが豊富に揃い、カウンターの切れ味は抜群なだけに、ボール回しには慎重さが必要な面もある。前節の試合後、「(田代)有三さんも入って、有三さんにシンプルに当ててもいい場面もある。チームとして、どういう試合の進め方をしていくか、共通理解を持ってやっていきたい」と山口蛍が話したように、リードした展開に持ち込むことができれば、試合の終え方は、よりブラッシュアップしていきたい。

 長いJ2リーグ戦も、今節と次節で前半戦が終了する。ここに来て大宮アルディージャが独走の気配を漂わせてきたが、セレッソは自動昇格圏である2位との勝点差を6に縮めている。前半戦は2度の連敗を喫するなど苦しんだが、後半戦を前に光明は見えてきた。ここからの2試合を「連勝して終える」(長谷川)ことはチームの意思。まずは今節のアウェイの栃木戦。前節、ホームで掴んだ上昇への手応えを加速させる一戦としたい。

文・小田尚史

試合前日の監督・選手コメント
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