11月8日(日)2015明治安田生命J2リーグ第40節
ツエーゲン金沢 - セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/石川西部)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節を終えた段階で、セレッソ大阪は2位・ジュビロ磐田との勝点差が11に開いたため、3試合を残して、J1自動昇格圏内である2位以内の可能性が潰えてしまった。それでも、「違う道を歩んだとしても、最終的に昇格する目標を達成することが何より大切」と前節の試合後にパウロ・アウトゥオリ監督が話したように、シーズン終了後に行われるJ1昇格プレーオフを勝ち抜けば、セレッソにとって今季最大の目標であるJ1昇格は達成される。気持ちを落とすことなく、「J1昇格プレーオフを勝ち抜くためにチームの状態を上げていく」(玉田圭司)ことが必要であり、今節、勝利すれば、セレッソはJ1昇格プレーオフ出場権を得る6位以上を確定することができる。

 自動昇格という1つの目標が潰えたとは言え、今週の練習を見るかぎり、戦う上での雰囲気は決して悪くない。紅白戦では激しい球際の攻防が見られ、選手個々で声も出ていた。ここに来てメンバーやシステムが試合ごとに変わる状況ではあるが、「誰が出たとしても、勝たないと先は見えない。目の前の試合にしっかり勝つことが大事」(田中裕介)、「メンバーが替わっても、チームとしてやることはハッキリしている。残り3試合、J1昇格プレーオフに向けてやるだけ」(扇原貴宏)と選手たちはそれぞれに話す。

 シーズンが進むにつれて、永井龍や染谷悠太、秋山大地といった選手たちが負傷で戦列を離れる事態となったが、その一方で、今週3日に行われた、関西学生選抜との関西ステップアップリーグでは、第25節・ファジアーノ岡山戦で右鎖骨骨折の重傷を負ったキム ジンヒョンが復帰。90分フル出場を果たした。「大事な時に戻って来ることができた。ここからは、J1昇格が懸かるプレーオフに向けての戦いになるし、その前に大事なリーグ戦3試合がある。自分にもプレッシャーはかかってくるけど、チームをもっと強くしたいという責任感は強い」とキム ジンヒョンは強い覚悟を口にする。今節は、桜の守護神が復帰なるか、といった点にも注目だ。

 今節の相手・金沢とは、第7節で対戦 し、セレッソは0-2で敗れている。この試合を振り返れば、序盤はセレッソが主導権を握って攻勢を仕掛け、いつ得点が入ってもおかしくない雰囲気を作り出していた。それでも、いくつかあった決定機を決め切れずにいると、38分、金沢GK原田欽庸のゴールキックから水永翔馬にヘッドで競り勝たれ、佐藤和弘に豪快に左足を振り抜かれた。セレッソとしては“一瞬の隙”。ただし、金沢としては、劣勢の中で狙っていた、自分たちの“形”でもあった。この失点をきっかけに、セレッソは後半、焦りの色が滲むと、77分には金沢にカウンターからPKを与え、追加点を許してしまった。

 金沢とすれば、今節も狙うはこの形だろう。しっかりとした守備から、鋭いカウンターとセットプレーに活路を見出してくることは明らかだ。そういった相手に対してセレッソがやるべきことは、チャンスで決め切ること、リスクマネジメントを怠らないこと。この2つに尽きる。直近5試合で2得点と湿りがちな攻撃では、「横幅プラス深さを取ること」(アウトゥオリ監督)を追求した中で、ゴールという結果にもつなげたい。そのためには、ピッチを広く使った中で、チャンスと見た時に全体がスピードアップすること、そして、2列目から追い越す動きが重要だ。「持つ時間が長くなってパス回しが遅くなると、相手にも対応される。ただ回すだけにならないようにしたい。テンポあるパス回しとチャレンジのパス、連動した動きが大切」だと橋本英郎は話す。

 試合当日の天気予報では雨マークもついているが、金沢はサンダーバード(特急列車)を利用すれば、大阪から片道約2時間半で行ける比較的“近場”なアウェイ。試合開始が13時ということを考えても、日帰りも十分に可能だ。大阪からも多くのサポーターが駆けつけることも予想されるだけに、セレッソとしては、4試合ぶりの、そしてJ1昇格プレーオフに向けて弾みが付く勝利を、是が非でも掴み取りたい。

文・小田尚史

試合前日の監督・選手コメント 
相手チーム情報:20試合ぶりの勝利でトンネル脱出。J2残留を決めてセレッソに挑む