6月8日(水)2016明治安田生命J2リーグ第17節
V・ファーレン長崎 - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/長崎県立)
試合写真・コメントなど チケット
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 直近のホーム2連戦。セレッソ大阪は、第15節・ファジアーノ岡山戦 では先制されるも2点を奪って逆転勝利を収めた。ところが、前節・カマタマーレ讃岐戦 では、幸先良く先制しながらも逆転負け。対照的な結果に終わった。
 讃岐戦では、扇原貴宏の退場により試合終盤に数的不利になるアクシデントがあったとは言え、この不安定な戦いぶりは、チームにまだまだ本当の力が備わっていないということ。一戦一戦を糧にし、J2リーグを勝ち抜く力を付けていきたい。

 迎える今節のV・ファーレン長崎戦は、相手チーム情報 にもあるように、昨季までセレッソに在籍していた永井龍との対戦が大きなトピックとなることは間違いない。永井と言えば、扇原とともにトップ昇格した2010年から将来を期待されながらも、セレッソではケガに泣かされることも多く、苦しむ時間のほうが長かった。それでも、持ち前の明るい性格で、どんな状況も前向きに乗り越えようとしていた姿は忘れられない。

 最終的にJ2降格し、苦難の一年となった2014シーズンも、彼は懸命に戦っていた。シーズン2人目の監督として就任したマルコ・ペッツァイオリ監督にプレーを評価され、途中出場で流れを変えた第18節・アルビレックス新潟戦後は、「もっとチームを助けたい。前で戦って、起点になって、得点も決めたい。監督の求める1トップのプレーもやりつつ点が取れれば、“セレッソの9番”になれる」と熱い気持ちを吐露した。シーズン3人目の監督として大熊裕司監督が就任した直後のリーグ戦、第23節・柏レイソル戦ではJリーグ初ゴールを決めた。試合後は「やっと取れました。今までは夜にゴールを取る夢を見て、『やっと取れた』と喜んでいたら、夢か…(笑)ということも何度もあったのですが、これでそんな夢を見ることもなくなると思います」とユーモアたっぷりに喜びを話してくれた。
 昨季は、天皇杯1回戦・FC大阪戦での試合中に相手選手との接触で腎臓を損傷する大ケガにも見舞われた。復帰後は、「僕が運ばれたのは救急の患者が運ばれる病院だったんですけど、診てもらったドクターによれば、『試合直後の画像はトラック事故で亡くなった人と同じだった』と。下手したら死んでいたのか…。生きているだけでラッキー(笑)」と生死に関わる事態であったことを明かしつつも、最後は努めて明るく振る舞った。

 苦しい状況を含め、どの場面を切り取っても、そこには彼の笑顔があった。そんな永井が今季、退路を断って完全移籍した長崎で結果を出していることを、筆者は心からうれしく思う。前節は、自身Jリーグでは初となるハットトリックも決めている。裏抜けあり、2トップ同士のコンビネーションあり、豪快なミドルシュートありと、好調さは伝わって来る。今節に向けて、心身ともに万全の状態で挑んでくるだろう。
 セレッソのアカデミーで1年先輩の丸橋祐介は、「フィジカルも強いし、プレッシャーも前からガツガツ来ると思う」と警戒感を示し、アカデミーの1年後輩の杉本健勇は、「調子は良さそうなので、僕も負けないように、という気持ち。いつも通りに試合には臨むけど、より気合いは入る」とライバル心を燃やす。

 いざ試合が始まれば、感傷を抜きにお互いのプレーと気持ちがぶつかり合い、激しいバトルへと昇華するだろう。もっとも、今節はJ2リーグ戦の公式戦であり、永井1人と対戦するわけではない。昨季の対戦時 に得点を奪われた佐藤洸一や梶川諒太など、ほかにも警戒すべき選手は多い。
 セレッソは前節で3失点を喫しており、守備の修正が喫緊の課題であるだけに、今節は1対1の局面で、チームの組織全体として、隙を見せずに最後まで戦い抜くことが勝利への条件だ。その上で、前々節から1トップに入り、前節はすばらしいゴールを決めた柿谷曜一朗を中心とした攻撃陣が得点を重ねたい。

 前節を終え、セレッソは5位に順位を下げた。この時期、まだまだ一喜一憂する必要はないとは言え、最終的にJ1昇格プレーオフに回らざるを得なくなった昨季を踏まえれば、自動昇格へ向けて危機感は抱くべき。昨季、長崎には2敗しており、第41節で対戦したアウェイでは2点差を付けられる悔しい負け方もしただけに、今季はその借りを返したい試合でもある。前節の逆転負けを払拭し、今節を「再出発」(大熊清監督)とするために、どうしても勝点3は譲れない一戦だ。

文・小田尚史