6月12日(日)2016明治安田生命J2リーグ第18節
FC岐阜 - セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/長良川)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節のV・ファーレン長崎戦、セレッソ大阪は、後半途中にJ2初出場を果たした木本恭生が後半アディショナルタイム、1-0から同点に追いつかれた直後にプロ初ゴールを決め、劇的な勝利を収めた。ただし、柿谷曜一朗が負傷退場するというアクシデントもあった。翌日の検査の結果、柿谷は右足関節靭帯損傷で全治4週間と判明。この先しばらくは、戦線を離脱することが決定した。

 第15節のファジアーノ岡山戦からポジションを1トップに移した柿谷。第16節のカマタマーレ讃岐戦では相手の守備を翻弄する見事なゴールも決めるなど、今後の得点量産へ期待も高まった矢先の離脱だけに、見る側としても悔しく、残念な出来事であった。それでも、柿谷本人は10日、「けがしてしまったことは仕方がない。自分がいない間もチームメートがやってくれると思うし、勝ってくれると信じています。自分は焦らず(リハビリを)やって、またチームに戻って貢献できるように頑張ります」と気丈に話した。

 迎える今節のFC岐阜戦は、柿谷が負傷後、初のリーグ戦となる。ここまで5得点という結果も含め、背番号8が貢献してきた攻撃の部分をチーム全体でカバーしていく必要があるが、「曜一朗というチームの大黒柱がけがをしたことで、チームとして、より団結しないといけない時。1トップが誰になるにしろ、みんなそれぞれ特長があるし、周りとうまく連係しながらプレーしていきたい」と話す清原翔平を始め、選手はそれぞれ、いつも以上に責任感を持って試合に挑む。

 柿谷と同じくセレッソのアカデミー出身の杉本健勇は、「一人ひとりが『試合を決める』という気持ちでやることが大事。自分自身、しっかりチームを引っ張って、数字でも示していかないといけない」と意気込みを語れば、前節、柿谷に代わって出場し、得点を決めたリカルド サントスも、「失った戦力は大きいけど、自分たちのグループは強い。誰がプレーしようとチーム全体で点を決めて、勝利を掴みたい」と話す。「曜一朗は偉大な選手。違いを見せることができる選手だけど、自分を含めた攻撃陣のみんなが力を発揮して、誰が入っても勝利に貢献することが大事」とはブルーノ メネゲウ。

 前節、ルーキーとして同期の木本にプロ初得点では先を越された澤上竜二も、「今まで曜一朗さんに頼っていた部分もあったと思う。前節は交代で入ったリカルドが点を取った。自分も結果を出したいし、色んな選手が結果を出すことで、チームの雰囲気も良くなる。(木本のゴールは)素直に嬉しかった(笑)ただ、先に決められたので、自分も決めたい」と闘志を燃やす。

 また、攻撃陣全体に責任感が求められる中でも、柿谷不在の今、“違いを作れる”という意味で、玉田圭司の重要性も今後はより増してくる。11日の紅白戦では豪快なゴールも決めた。今節は、古巣の名古屋からも距離が近い岐阜が試合の舞台。「(名古屋の)サポーターが見に来てくれたら嬉しいね(笑)」と話しつつ、「いいイメージは、いつもある」と語るファンタジスタのプレーにも注目だ。

 今節はどうしても攻撃陣に注目が集まる試合になるが、対戦相手の岐阜も、ここまで失点こそ多いが、得点も多く、攻撃力はかなり高い。前線には優れた個を持つ選手もいる。前節、4試合ぶりにセンターバックとして先発し、素晴らしい守備を見せた田中裕介や山下達也を中心に、相手の攻撃をしっかり防ぐことも勝利には欠かせない。また、ここ2試合はリードして迎えた後半、相手の攻撃を受ける時間が長く続いてしまっているだけに、今節は先制し、追加点を奪って畳み掛け、試合をコントロールする姿が理想的だ。

 前節は首位の北海道コンサドーレ札幌と2位のFC町田ゼルビアが揃って敗れるなど、上位争いは一層、混沌としてきた。「ここから夏場に向けて、よりチーム力が問われる」と語る指揮官の下、チームが一致団結して突き抜けていくために、アウェイ連戦となる今節をしっかり勝利で飾って連勝を果たし、今後に向けて勢いをつけていきたい。

文・小田尚史