7月3日(日)2016明治安田生命J2リーグ第21節
ロアッソ熊本 - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/うまスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節、東京ヴェルディに1-0で勝利したセレッソ大阪は、今季2度目の4連勝を達成した。点差はすべて1点差。僅差での勝利が続いた中で、チームとしての成長も一歩ずつ刻んできた。「勝って兜の緒を締めないといけない。4連勝にも満足はしていない」と田中裕介が話すように、試合ごとに出てくる課題を一戦一戦今後も修正して戦っていく姿勢は必要だが、攻撃では、中央を固める相手が多いJ2リーグにおいて、サイドをうまく使って得点につなげる場面が増えてきた。守備では、奪ったボールをつなげる時は丁寧につなぐこと、DFラインを下げ過ぎないことなど、選手同士で声を掛け合って改善に努めている。練習では連動した攻撃が形になる回数も増えており、ここから夏場に向けて、さらにチーム力を高めていきたい。

 ただし、今節のロアッソ熊本戦は、いろいろな意味で難しい試合になることも予想される。熊本にとっては、地震後初の“ホームタウン”でのJリーグ公式戦。選手は様々な人たちの思いを背負ってこの試合に臨んでくるだろう。セレッソとしては、例えば試合開始から猛烈なプレスが来て、「こんな激しいプレスは90分続かない」と思っていると、それが最後まで続いてしまう。そんな類の試合になるかも知れない。試合終盤まで全く気を抜くことができない、まさに、今季の開幕から大熊清監督が常々話してきた、「力を出し切る」姿勢が今節は本当に大切になる。また、そういったメンタル的要素以外にも、熊本は内容的にも好調をキープしていた開幕当初の頃に戻ってきた。「熊本は連戦だけど、チーム状態がいいと、そういうこともあまり関係ないと思う。勢いを持ってくる相手に対して、自分たちもしっかり戦わないといけない」(田中)。チームは今一度、気持ちを引き締めて試合に挑む。

 今節は、熊本にとって“大切な試合”であるのと同時に、セレッソにとっても今季初の5連勝が懸かった譲れない一戦。熊本県上益城郡甲佐町出身の藤本康太も、「(うまスタで試合を開催できることは)いろいろな人たちの理解を得てできることだと思うので、感謝していますし、しっかり戦っている姿を見せたいと思います」と前置きした上で、「(相手を)リスペクトし過ぎると、自分たちにとっていい結果にはならない。自分たちにとっても大事な試合ですし、勝負なので、全力で勝ちにいきたいと思います」と話す。

 第17節のV・ファーレン長崎戦で見せた木本恭生の土壇場での決勝ゴールから始まった4連勝。この間、ブルーノ メネゲウの2試合連続ゴール、丸橋祐介の自身J通算200試合出場を祝うアシスト、杉本健勇の14試合ぶりの得点などがあり、前節はリカルド サントスにホーム初ゴールも生まれた。まさにチーム全員の力でつないだ4連勝だ。この流れを切らせたくない。今節が終われば長いJ2リーグ戦も前半戦が終了する。良い形で後半戦を迎えるためにも、今節の持つ意味は非常に大きい。「僕たちも昇格するために1試合1試合が大事。ブレずに戦っていきたい」(清原翔平)。メンタルをしっかりと保ち、セレッソは今節、熊本での“特別な一戦”に挑む。

文・小田尚史