7月16日(土)2016明治安田生命J2リーグ第23節
ザスパクサツ群馬 - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/正田スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 明治安田生命J2リーグ後半戦の初戦となった前節の北海道コンサドーレ札幌戦 。セレッソ大阪は10試合ぶりに無得点で終わり、結果はスコアレスドロー。第17節のV・ファーレン長崎戦から続けてきた連勝が5でストップした。勝てば首位・札幌を勝点で上回ることができただけに、その機会を逃したことは残念ではあるが、決して悲観する状況ではない。

 セレッソに加入した高校生の頃から比べると見違えるように立派になった札幌のGKク ソンユンに決定機を防がれたとは言え、前節も攻撃陣は杉本健勇や清原翔平を中心にチャンスは作れていた。守備陣も、後輩のク ソンユンに負けていられない桜の守護神・キム ジンヒョンが好セーブを連発。ゴールマウスに鍵をかけた。また、前節がホーム復帰戦となった山口蛍も危険なスペースで相手を潰し続けるなど、全体的な守備の堅さは増している。

 今節のザスパクサツ群馬戦。セレッソに求められることは、決め切る力だ。ここまでのリーグ戦で残してきたパス成功率やボール支配率といった数字を踏まえても、今節はセレッソがボールを持つ時間が長くなることは予想される。セレッソが押し込んだ時、作ったチャンスを仕留めることが必要になる。
「引き分けに終わった次の週ということもあるし、ブルーノ(メネゲウ)が抜けてスタメン争いが激しいということもあるし、チーム全員の士気はすごく高い」と清原が話すように、今週の練習で攻撃陣はそれぞれに目の色を変えてゴールに迫った。ネットを揺らせば周りから称賛の声が飛び、決めるべきチャンスを外せば、叱咤のゲキが飛ぶ。練習の中から厳しい雰囲気を作り出せていた。その成果を結果で示したい。

 群馬とは、リーグ前半戦では第3節で対戦 した。その試合では、柿谷曜一朗の“ダブルタッチヒールショット”とでも呼ぶべき魔法のようなゴールが決まって1-0で勝利したが、その他のシュートは全て相手GK清水慶記に防がれた。今節も、群馬に守備でリズムを作らせないためにも、セレッソは掴んだ最初の決定機を仕留めるぐらいの意気込みが欲しい。ただし、仮に得点が奪えない時間が続いたとしても、焦れずにしっかりボールを握り続けることで、相手の疲弊を誘いたい。

 攻撃での決定力が求められる一方、守備ではリスク管理が必要になる。思い出されるのは昨季の第37節 で行われたアウェイ・群馬戦。前半、セレッソが決定機でシュートをバーやポストに当ててチャンスを逸していると、後半開始早々、相手のスローインの流れから1点、そして試合終盤にはカウンターからPKを与え、群馬に2点目を決められた。今節、このような展開は絶対に避けたい。

今節から、J2リーグは中3日での3連戦が始まる。真夏の連戦は総力戦だ。「1人ひとりが『誰かのために』と思ってプレーすることは、これからの戦いにも利いてくる。それができれば夏は乗り切れる」と前節終了後に山下達也が話したように、チームとしてお互いがお互いを補い合う姿勢も必要になるし、固定された11人で乗り切ることもできない。得点が求められる攻撃陣にしても、杉本や清原、リカルド サントスら現在の主力選手以外にも、10日に行われたJ3第16節・ガンバ大阪U-23戦 で豪快に左足でのプロ初ゴールを決めた澤上竜二や、豊富な運動量と走力で組織を活性化させる丸岡満ら若手の突き上げが求められ、さらには、高い技術と豊富な経験値でピッチに違いを生み出せる玉田圭司、復帰してコンディションも上がり練習では切れ味鋭いゴールも決めている田代有三、そして「夏をいかに乗り切るかが自動昇格するためには大事。自分自身、いつ出番が来てもいいように準備する」と話す関口訓充など、前節は後半途中から出場してきた昨季の主力選手たちが活躍してチームに勝利をもたらす姿も期待される。

夏を制するチームが自動昇格争いも制する。
J2リーグ戦中盤から終盤に向けて一気に加速していくこの時期、1試合ごとにチーム力を向上させて勝点を積み重ねていきたい。そのためにもまずは今節、前節のスコアレスドローを吹き飛ばす会心の勝利を敵地で掴み取る。

文・小田尚史