8月21日(日)2016明治安田生命J2リーグ第30節
ツエーゲン金沢 - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/石川西部)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節、勝点2差で追う2位・松本山雅FCとの上位対決に敗れたセレッソ大阪。自動昇格圏との勝点差が再び5に離される手痛い黒星だったことは間違いない。それでも、今週の練習を見るかぎり、チームに沈滞ムードはない。むしろ、試合形式の練習では選手同士で声を掛け合う場面がこれまで以上に目立つなど、鬼気迫る様子も見られた。連日、酷暑が続く大阪。19日は最高気温が38度を超え、日本一暑い場所ともなったが、選手は気持ちを切らすことなくトレーニングに励み、今節に挑む。

 失点がかさんだ守備面での改善、そして、攻守に奮闘して貢献し続けていた清原翔平の負傷離脱も重なり、第28節のレノファ山口FC戦からシステムを3-4-2-1に変更して戦いに臨んでいるセレッソ。その山口戦では5試合ぶりに無失点を達成し、前節も流れの中から決定機を作られた場面はほとんどなかった。「手応えがあった部分は大事にしたい」と山下達也も話す。その上で、山口戦ではペナルティーエリアの外からミドルシュートを打たれる場面も何度か見られ、前節もパウリーニョにミドルシュートを決められているだけに、「よりチームとしてボールを奪いに行く守備の意識を高めることも大事」(大熊清監督)と、今節はより積極的な守備も目指す。もちろん、「全部が全部、前からは行けない。状況に応じて戦うことも必要」(田中裕介)なことは確かであり、展開によっては自陣を固める時間帯もあるだろう。ピッチ内でのコミュニケーションを含め、意思統一された試合運びを目指したい。

 昨季からの金沢との対戦成績は、3戦して1分2敗。セレッソは一度も勝利がない。「結果は謙虚に受け止めないといけない。自分たちが勝つためにやるべきことをきちっとやることが大事」と大熊監督は話す。セレッソとしては、直近2試合の良い守備を継続させた上で、前節、無得点に終わった攻撃陣の奮起も求められる。ここ11試合で7得点とチームを力強くけん引する杉本健勇を中心とした攻撃で得点を重ねたい。その杉本は今節に向けて、「金沢には前回(対戦時)も引き分けているし、チャレンジャーの気持ちで戦う。勝つために自分が決めることも大事だし、アシストや守備でも頑張りたい」と意気込みを話す。

「夏を制するチームがシーズンを制する」という、近年のJ2リーグの傾向を踏まえ、「夏をいかに乗り切るか」をテーマとして戦い続けた7、8月だが、第21節のロアッソ熊本戦以降、セレッソは3勝2分4敗と思うように勝点を伸ばせず、失速してしまった。第23節が終了した時点では暫定ながら同じ勝点で並んでいた北海道コンサドーレ札幌の背中が遠く霞む現状に、スタッフ、選手、サポーターと誰一人納得していない。現在の順位について大熊監督は、「現実を受け止めて、謙虚に今の立ち位置を見つめて戦いたい。ここからチーム力が問われる」と話す。残り13試合。昨季の自動昇格ライン(勝点82)を踏まえると、ここからセレッソが巻き返して自動昇格を果たすには、少なくとも10勝は求められる。厳しい状況にあることは確かだが、まだ何も結果は出ていない。前節後、「ここで本当に気持ちが落ちたら、終わると思うので。絶対にそれだけはダメ」と話したのは杉本だが、気持ちを途切らせてはならない。今節が終わると、リーグ戦は3週間、中断期間に入る。9月以降の戦いにつなげるためにも、今節での勝利は是が非でも掴む必要がある。試合当日は、“赤く染めろ。1万人チャレンジデー”と称され、金沢は1万人の観客動員を目指しているようだ。今節もセレッソにとってはアウェイ感満載の中での戦いとなることが予想されるが、自分たちがやるべきことをやり切って、自動昇格へ希望をつなげる勝点3を大阪に持ち帰る。

文・小田尚史