8月28日(日)第96回天皇杯1回戦
セレッソ大阪 - アルヴェリオ高松 (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
----------

 明治安田生命J2リーグは、約3週間の中断期間に突入。その間にセレッソ大阪は、もう1つのタイトルを目指す戦いであり、アジアの舞台・ACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場権を唯一獲得できるチャンスにもなる第96回天皇杯に臨む。8月28日(日)に行われる1回戦では、キンチョウスタジアムで香川県代表のアルヴェリオ高松と対戦する。

 天皇杯といえば、昨年度の第95回大会でJFLのFC大阪に敗れ、クラブ史上初となる1回戦での敗北という屈辱を喫したことを忘れるわけにはいかない。そして、同じ過ちを繰り返すことはもう許されない。チームの牽引役である杉本健勇は言う。「セレッソは昨年1回戦で負けているので、しっかり気を引き締めて臨みたい。相手がどこだろうと、俺らもチャレンジャーの気持ちをしっかり持ってやっていきたい。試合では、相手どうこうではなく、自分たちの力をしっかり出し切ること。そこに集中して、1人ひとりがやっていかないといけない」。

「相手の出方どうこうよりも、自分らからアクションを起こしていかないとあかんと思う。前半15分くらいまでに、こっちが『点を決めたる!』というくらいの気持ちでいきたい」と言うのは、最近のリーグ戦でも活躍が目立つ酒本憲幸。
 ポイントとなるのは、立ち上がりの試合の進め方になるだろう。昨年度のFC大阪戦では、序盤で先手を決めきることができず、逆にセットプレーから前半のうちに2失点し、劣勢の展開を招いてしまった。その教訓を生かすべく、そして『ジャイアントキリング』(番狂わせ)を狙ってくる相手の出鼻をくじくためにも、「相手を乗せさせてしまうと、たぶん気持ちよくプレーさせてしまうことになるし、最初のところでガツンといかないといけないと思っている。より先制点が重要になると思うので、まずはしっかり仕留められるように集中して試合に入りたい」(杉本)。

 相手のアルヴェリオ高松は、クラブ公式サイトによると、高松北高校サッカー部OBが”R..VELHO”(アルベリオ)として2002年に立ち上げたチーム。09年に香川県サッカーリーグで優勝、四国社会人リーグ入れ替え戦に勝利し、四国リーグに昇格。この16年度から現在のチーム名称で活動している。現在の四国リーグでの成績は8チーム中5位。首位のFC今治に大きく差を開けられているが、リーグ戦3勝はいずれも無失点で勝ち得たもの。天皇杯の香川県予選は、7月30日に行われた決勝で高松大学を延長戦の末に1-0と下し、念願の本大会初出場を決めている。

 福岡大学時代に4年連続で天皇杯でJクラブと対戦し、自身も大学2年から3年連続で天皇杯を経験した木本恭生は、その経験を踏まえてこう述べる。
「失うものはない、負けてもミスしても何も言われない立場なので、思い切ってやれるというのが、(Jクラブと対戦する)相手チームのよさだと思う。(セレッソとしては)相手に自由にやらせないことが重要になる」。
 メンバーも含めて未知の部分が多い相手でも、セレッソとしては堂々とアグレッシブに、泥臭く勝利を突き詰めていきたいところ。そのためにも「相手がどこであれ、自分たちの実力を見せないといけない。謙虚な姿勢を持って試合に臨み、いつもどおりのイメージで試合に入っていかなければいけない」(ソウザ)。

 J2リーグ戦では、7月から8月にかけて苦しい戦いを強いられたセレッソ。首位の北海道コンサドーレ札幌との勝点差も12と広がったなか、9月からの残り12試合でJ1昇格に向けての戦いに入っていく。そこにつなげるためにも、そしてセレッソが目標とするタイトル獲得のためにも、天皇杯もクラブにとって大変重要な大会。選手会長の北野貴之は、26日に行われた選手たちによる決起集会でもこう述べたという。
「天皇杯というトーナメントの位置づけとして、私たちはタイトルを取るということを忘れてはいけない。どんな選手で戦うかはまだわからない状況だが、相手よりも勝ちに対してどん欲に、そして泥臭く戦うことで、このトーナメントを制することにつながると思う。一戦一戦、みんなでタイトルを取りに行くという強い気持ちを忘れずに戦おう」
 改めて、さらなる高みを目指すことを誓い合った桜色の戦士たち。この天皇杯も、セレッソの総力をもって、1回戦から全力で勝利を狙っていく。

文・前田敏勝