12月4日(日)2016 J1昇格プレーオフ決勝
セレッソ大阪 - ファジアーノ岡山 (15:35KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 2016年シーズンでは、J2リーグ戦の42試合、天皇杯の3試合、そして、J1昇格プレーオフの1試合と、公式戦を46試合を戦ってきた、セレッソ大阪。今季最後の47試合目となるのは、2季連続で臨むことになった、J1昇格プレーオフ決勝。リーグ戦で4位のセレッソは、6位のファジアーノ岡山と、J1昇格切符、最後の1枚をかけて争うことになった。大会規定で、リーグ戦の順位が上のチームのホームで試合を開催することになり、セレッソはホームのキンチョウスタジアムで、この大事な一戦に挑めることになった。

 今季も、J2では苦しい戦いを強いられた。相手を圧倒できる試合など、ほとんどといっていいほどなかった。J2優勝、J1自動昇格を目標としていただけに、4位という成績には悔いが残り、特にホームで9勝5分7敗と12度も「Cerezo(さくら)満開」を歌って喜び合う機会をなくしたのも不本意なことだった。それでも、セレッソにはJ1昇格のチャンスが残された。そして、リーグ戦3連勝で迎えたなか、11月27日、ホームでの京都サンガF.C.との準決勝を、激闘の末に1-1として、規定により決勝への勝ち上がりを決めた。12月4日、ホームのキンチョウスタジアムで試合ができる、J1昇格を決められる舞台がやってきた。この大きなチャンスを、もう逃すわけにはいかない。昨年の悔しさを繰り返してはいけない。

 そのなかで、「その1試合に全力を出すという気持ちには、今回も変わりはない」と大熊清監督が述べれば、「今年はずっと大事な試合でしたし、最後だからといって特別に変わることはない」と主将の柿谷曜一朗も言うように、チームはあくまで、いつもどおり、目の前の一戦を勝つことに集中している。そして、「みんな分かっていると思いますが、(守備ばかり意識して)引いても、いいことはないと思うので。守備からしっかり入ることは、みんな頭にはあると思いますが、相手もアウェイのなかでなりふり構わず戦ってくると思うので。僕らも受けに回らないで、しっかり自分たちのサッカーをしていきたい」という藤本康太の言葉のとおり、劇的な勝ち上がりで、意気揚々と乗り込んでくる岡山に、主導権を与えてしまえば、相手の思うツボ。京都戦前半のように、リーグ戦の終盤でも見せたように、セレッソとしては果敢に先手を奪って、ペースを握りたいものだ。そのためにも、「平常心で戦いたい」と山口蛍もコメントするように、いかに自分たちの本来の持ち味を出せるか。それが、セレッソに課された、この試合での大きなテーマだ。

 もちろん、大きな注目を集める舞台であり、過去のJ1昇格プレーオフ決勝での経緯もあり、この一戦が特別な緊張感のもとで戦われることは、セレッソも昨年経験して、身にしみて分かっている。だからこそ、「どういう状況になっても、何が起こっても、チームのために、みんなで一つになって助け合うということ。そこに尽きる。そして、セレッソ大阪なら、それができると思っている」と、チームトップスコアラーの杉本健勇もいうように、チーム一丸となって、チャレンジ&カバーを続けて、勝利を、J1復帰の道をたぐり寄せたい。そのためにも、タイムアップの笛が鳴るまで、集中を途切れさせるわけにはいかない。昨シーズン、プレーオフ決勝での『最後の8分』の経験が、今こそ問われるときになる。

 大阪・舞洲、ヤンマー桜グラウンドで行われた前日練習では、1週間前を上回る多くの横断幕が四方を囲むように張り巡らされて、大勢のファン・サポーターに見守られたなかで、トレーニングを行うことができた、桜色の戦士たち。「来年J1の舞台でやるために、今年最後にいい試合をして、J1に昇格したい」。我らが8番、柿谷の言葉のとおり、J1に戻るために、セレッソに関わるすべての人たちの想いを力に、地元・大阪で戦える幸せを胸に、今季最後の、集大成となる試合を戦う。

文・前田敏勝