3月4日(土)2017明治安田生命J1リーグ第2節
浦和レッズ - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/埼玉)
試合写真・コメントなど チケット
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 不安と緊張、そして高揚と。様々な感情が入り混じった3年ぶりのJ1開幕戦。セレッソ大阪はジュビロ磐田をヤンマースタジアム長居で迎え撃ち、0-0で勝点1を獲得した。
「1カ月半、守備と組織力に力を入れて準備してきた中で、選手たちはよくやってくれた。攻撃に関して、もう少し多くのオプションを持ってやらないといけないが、その中でも僕らはチャンスを作ったし、いいシーンも作った」と尹晶煥監督も試合を振り返ったように、始動から磨いてきた守備が機能したことは収穫。尹監督が目指すサッカーの一端が披露されたと言っていいだろう。 

 もっとも、今節で対戦する浦和レッズはリーグ随一の攻撃力を誇る。今季はシーズン開幕を告げるFUJI XEROX SUPER CUPを皮切りに、ここまでJ1リーグとACLを含めて4試合を戦っているが、奪った得点は『13』。前線でのコンビプレーあり、中盤からの鋭い縦パスあり、サイドからの仕掛けもありと多彩な武器を持ち、どこからでも点が取れる破壊力を持つ。「開幕戦はチームとして守れていたと思うけど、浦和戦ではより一層、集中してやらないといけない」と山口蛍も気を引き締める。

 新戦力のマテイ ヨニッチとともにゴール前で壁を築いた山下達也も、「浦和には(ボールを)回されるイメージはあるけど、回させた後にいいカウンターができるというプラス思考の考えで守りたい。集中して守ることができれば、自分たちが思っている展開に持ち込むことはできる。無失点を継続していかないと堅い守りとは言えない」と継続の重要性を語る。最前線の杉本健勇も「相手はつないでくると思うけど、焦れずに守ってチャンスをうかがうことが大事」と話すなど、“浦和攻略”のチーム全体の共通したイメージはできあがっている。

 浦和の攻撃に対していかに焦れずに集中した守備を90分継続できるかが問われる一方、もう1つの焦点は、奪った後にいかに効果的な攻撃を繰り出せるか、ということ。
2013年、14年と2年間浦和でプレーし、浦和のことを熟知する関口訓充が「浦和はチームとして完成しているし、難しい相手だとは思うけど、開幕戦(横浜F・マリノス戦)を見ても、自分たちにもチャンスは絶対にある。そこで決め切る力があれば、試合を優位に運ぶこともできる。“ここぞ”の場面で集中したいと思う」と話せば、杉本も「相手は3バックなので、奪った後のスペースは空いてくると思う。そこで動き出しのところと、奪った後のカウンターは効く。より前で奪えれば、ショートカウンターもできる」と“浦和攻略法”をイメージする。山口とソウザといった、人に強く、ボールを奪えるボランチのところで網にかけることができれば、より手数をかけない攻撃にもつながるだろう。

 攻守においてやるべきことは明確だが、相手は昨季のJ1年間勝点1位を誇る。こちらの想定を凌駕してくる力はあるだろう。尹監督に率いられて2試合目のセレッソにとって、最初に訪れた試練となる。それでも、「埼玉スタジアムの雰囲気は最高なので、そんな大観衆の前でプレーできることは幸せなこと」と柿谷曜一朗と杉本が揃って話すなど、チーム全体に気負いはない。サッカーファンの注目が集まる一戦で、現在のセレッソが持てるすべての力を発揮し、勝点3奪取を目指す。

文・小田尚史