9月30日(土)2017明治安田生命J1リーグ第28節
川崎フロンターレ - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/等々力)
試合写真・コメントなど チケット
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 9月唯一のホームゲームとなった前節・第27節 。セレッソ大阪は、ここまで今季公式戦全勝中のキンチョウスタジアムで、ベガルタ仙台に1-4で敗れた。幸先の良い試合の入りをしながらも先制点を奪えずにいると、前半に失点し、後半は相手のカウンターとセットプレーからさらに失点を重ねた。内容とスコアが比例しない結果に、試合後「サッカーは、こういうふうになることも十分あり得る」と淡々と振り返った尹晶煥監督だが、「痛かった分、もっと成熟、成長するために最善を尽くして頑張っていきたい」と、悔しさが残ったこの試合を今後の糧とすることを誓った。 

 今季初となるリーグ戦での連敗を喫したことで、今週はリバウンドメンタリティーが求められたが、週の半ばに行われた紅白戦では、集中力が高く保たれた張り詰めた雰囲気の中、互いに意見を交わし合う姿も見られた。
「ここにきて研究もされ始めて、1シーズンを通してJ1で戦うことの難しさを選手1人ひとりが感じている。周りからも『大丈夫か?』と思われている部分があると思うけど、チームは前向きに取り組んでいるし、みんなが勝利を目指している」とチームの現状について話してくれたのは水沼宏太。セレッソの選手たちは、誰一人、頭を下げることなく、今節の川崎フロンターレ戦へ向けて準備を進めてきた。

 その川崎Fだが、チームとしてボールを握るスタイルが確立されており、セレッソとしては、「我慢する時間は長くなる」(杉本健勇)ことは覚悟の上。大島僚太こそケガで不在とはいえ、中村憲剛に家長昭博と攻撃のタレントは揃っており、どこからでも崩せる力を持っているのが川崎Fの強み。それでも、28日に行われた日本代表発表会見でのハリルホジッチ監督の言葉ではないが、「ずっと攻めているほうが勝つとは限らない」(田中裕介)のがサッカー。我慢強く戦い、しっかりとした守備から良い攻撃に移ることができれば、必ず得点チャンスは生まれ、勝機も見出せる。

 フィニッシュを託される杉本は、「1つひとつのチャンスを決め切るところをしっかり見つめ直したい。チャンスは来るので、そこをいかに集中して決めるか。それができていた試合は勝っていたので、もう1回、ねじを巻き直していきたい」と今節に臨む心境を話す。また、毎試合のように失点を重ねる守備にも課題は残るが、それは守備陣だけの問題ではなく、チーム全体としての問題なだけに、前からの守備や攻守の切り替え、悪いボールの失い方をしないことなど、再度、攻守一体となって戦うことを見つめ直したい。 

 ポゼッションで勝る川崎Fに対し、堅守速攻で対応するセレッソ、という図式で試合が進むことが予想される今節だが、過去の対戦時のスコアを見ると波乱含みのカードでもあるだけに、どういった展開になるかは予測不可能。どんな展開にも対応できる心構えの幅を広く持つことも大切か。
 セレッソとしては、リーグ戦での失点が続く現状を考えれば、攻撃力の高い川崎F相手に無失点に抑えて自信を得たい一方で、「僕らも点は取れているので、打ち合いになっても構わない、というぐらいの」(水沼)気持ちも必要。川崎Fに対抗する手段としても、「相手を引き込んでのカウンターは狙っていきたい」(山下達也)一方で、引くだけでは相手にやられる可能性も高まるだけに、前から行ける時はしっかりとプレッシャーをかけ、「良い守備から良い形で奪って、チャンスにつなげることも大事」(尹晶煥監督)になる。

 試合当日は満員の大観衆で埋まるであろう等々力陸上競技場。スタジアムの生み出す熱気にも後押しされ、アップテンポで激しい展開が予想される一戦。2位と4位の直接対決であり、両チームには試合を決定付けることができるタレントも数多くいるだけに、一瞬たりとも目が離せない好勝負になる予感はプンプン漂う。敵地に乗り込むセレッソとしては、連敗阻止とともに、上位に食い込むための勝点3を掴みたい。

文・小田尚史