5月20日(日)2018明治安田生命J1リーグ 第15節
サンフレッチェ広島 - セレッソ大阪 (16:00KICK OFF/Eスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 歴史的な強さでJ1リーグの首位を独走するサンフレッチェ広島。GK林卓人とディフェンスラインを中心とした堅守、パトリックの豪快な得点。その二つが広島を支える武器であることは間違いない。ただし、堅守速攻“だけ”のチームではない。青山敏弘と柴﨑晃誠。技巧派2人が中盤でチャンスメイクし、柏好文のドリブルも脅威を与えている。また、その柏も含め、ヴァンフォーレ甲府時代の城福浩監督の教え子でもある佐々木翔や稲垣祥といった、指揮官の戦術や人柄も熟知した地味だが利いている選手たちもチームを支えている。試合終了まで走力が落ちず、攻守の切り替えも速く、インテンシティーも高い。首位を走るのも納得がいくパフォーマンスを示している。

 ただし、昨季、カップ戦で2冠を達成した“ユン・セレッソ”の強みも、技術ある選手たちがしっかりと走ること、組織化された守備、杉本健勇を中心とした決定力、にある。「昨季の自分たちと似た部分がある」(山口蛍)相手に対して引き下がるわけにはいかない。システム的にも[4-4-2]同士でマッチアップする。各エリアでぶつかり合う対人の勝負で「負けないことも大事」(山口)になる。また、第8節・FC東京戦のようなジリジリした試合展開による僅差での決着が予想されるだけに、大きな意味を持つのが先制点。広島の守備は堅く、「攻めどころは少ないかも知れないけど、崩せない相手ではない」(清武弘嗣)。隙を突き、ゴールを狙う。ただし、先制しても受け身に回れば、後半の終盤に強さを発揮する広島に飲み込まれる恐れもある。試合運び、試合の締め方も重要になる。つまるところ、試合開始から終了まで、一瞬も気が抜けないカップ戦の“ファイナル”のような緊張感を持った試合になるだろう。

 そんなビッグゲームに向けて、セレッソ大阪は入念に準備を重ねてきた。まずはJ1第13節のV・ファーレン長崎戦の翌日から4日間のオフを取り、連戦で疲弊した心身を休めた。さらに、今週も連日、密度の濃い練習を行った。オフ明け16日のミニゲームではバチバチと削り合う公式戦さながらの激しい戦いが繰り広げられ、18日の紅白戦でも緊張感が漲った。AFCチャンピオンズリーグを戦う鹿島アントラーズとの第14節が7月に延期になり、長崎戦から今節まで間が空いたが、実りある時間にした。

 この試合でセレッソは広島に負けるわけにはいかない。1試合消化が少ないとは言え、今節、仮に敗れることがあれば勝点差は『17』まで開く。「自分たちが優勝を狙う上で、首位を走る広島を止めないといけない」(杉本)。“首位相手のアウェイ戦”という難しいシチュエーションではあるが、勝点3が必須となる。ロシアワールドカップによる中断前、最後の一戦。「勝って中断期間を迎えるのと負けて迎えるのは全然違う」(福満隆貴)。必勝を期し、敵地に乗り込む。

文・小田尚史