5月18日(土)2019明治安田生命J1リーグ 第12節
ガンバ大阪 - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/パナスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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「令和」に元号が変わった5月、リーグ戦で連勝中のセレッソ大阪。公式戦でも直近の5試合で負けなし(3勝2分)であり、生みの苦しみとなった3月、4月を経て、徐々に結果が出始めてきた。

 前節は上位の横浜F・マリノス相手に完勝 を収めるなど、内容に目を向けても上向きつつあり、中でも直近のリーグ戦3試合連続無失点という守備の固さは特筆すべき点だ。大分トリニータ、松本山雅FC、横浜FMと特長の異なる相手に対し、ほとんど決定機を与えていない。前節の試合後、「規律を保ち、いい戦いができている」と胸を張ったのはキャプテンの清武弘嗣だが、今はピッチに立つ選手1人ひとりが自らの役割をきっちりと果たせている。

 そういった堅守を誇る一方、少し前までは得点力に課題を残していたが、2019JリーグYBCルヴァンカップでの活躍が光った選手たちも柔軟に起用しつつ、システムも変えながらチーム力の底上げを図ると、前々節は2得点、前節は3得点。「ディフェンスの強固さは維持したまま、点を取るためのプレーを改善することが必要」(ロティーナ監督)という課題をクリアしてみせた。

 そうした成長のサイクルを歩み始めた中、前節で大きなアクシデントがチームを襲った。前半41分に負傷交代した都倉賢が右膝前十字靭帯損傷および右膝外側半月板損傷の全治8カ月と診断され、長期離脱を余儀なくされたのだ。得点こそここまで1点に留まるも、前線で体を張って収めるポストプレーは唯一無二であり、替えの利かない存在として君臨していた背番号9。ポジティブな声掛けでチームの雰囲気作りにも貢献していただけに、この離脱はあまりにも痛い。都倉自身の心中も察するに余りある。

 もっとも、今節の大阪ダービーに向けた週始め、クラブハウスでチームメイトに挨拶した都倉は、気丈に言葉を発していたという。「明るく振る舞っていて、僕らも勇気付けられた。だからこそ、“一緒に戦っている”姿を見せないといけない。ピッチに立つ選手は責任を持って戦わないといけない」と柿谷曜一朗は話し、「ショックを引きずっていたら、トックン(都倉)にも申し訳ない。僕たちは、僕たちのやるべきことをやっていきたい」と水沼宏太。今週の練習では全選手が背番号9の練習着を着用。今節の大阪ダービーは、「トクの分も戦う」(ブルーノ メンデス)一戦となる。

 この試合、セレッソとしては、まずは相手に得点を許さないことがなにより重要。青黒のストライカー、ファン ウィジョにアデミウソン。昨季も苦杯を嘗めさせられた彼ら2人の強烈な個をしっかりと抑えること。その上で、試合のカギを握る先制点を貪欲に狙っていきたい。
 さらに直近の大阪ダービーでは、試合後にガンバの選手は何人も足をつってピッチに倒れ込んだ。“魂と魂のぶつかり合い”でもあるダービー。「サポーターの応援の熱さもあって、ダービーは自ずと球際も激しくなる。まずは戦うところで負けてはいけない」(高木俊幸)。メンタルの勝負でも、一歩も引いてはならない。

「チームとしていい方向に向かっていることは間違いない。継続していくことが大事。連勝すれば順位も上げていくことができる。このタイミングで、ダービーでガンバを倒せば、チームもまた盛り上がる」(水沼)。
 上向きつつある状態を、さらに加速させるための勝利、“敵地での大阪ダービー勝利”という最高の果実を手にすべく、桜の戦士たちが力の限りを尽くす。

文・小田尚史