「まいど!セレッソ~マイセレ~」のオフ恒例企画「2019年レビュー」。
セレッソの2019年を、番記者・小田尚史さんがポジション別に振り返ります。
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【GK&DF編】

 昨季までの組織的な守備をベースに、ロティーナ監督が戦術的緻密さを加えた2019年。セレッソ大阪が喫した失点は、J1リーグ戦34試合で25とリーグ最少。1試合平均で約0.74、無失点試合は15を数えるなど、まさに鉄壁の守備網を形成した。

 堅守の砦となったGKキム ジンヒョンとセンターバックのマテイ ヨニッチは、リーグ戦34試合フルタイム出場を達成。第23節・横浜F・マリノス戦 や、第31節・湘南ベルマーレ戦 など、数々の好守でチームを救ったキム ジンヒョンは、リーグトップのセーブ率を記録。今季はチームとして後ろからつなぐスタイルに本格的に取り組んだ中、ピッチ上の空いている選手を見つける目もどんどん養われるなど、GKとして「まだまだ成長できると感じることができたシーズン」(キム ジンヒョン)となった。
キム ジンヒョン:通算364試合出場はクラブ史上最多。名実ともに守護神となった

 2017年の加入後、安定した活躍を見せているマテイ ヨニッチは、今季も「圧巻」の一言。危険なスペースにはことごとく一歩先に入ってピンチの芽を摘み、リーグ最少失点に大きく貢献。クリア、タックル、ブロックの守備面の合計スタッツでリーグNo.1となった。ビルドアップも、序盤こそ苦慮する様子も見られたが、シーズンが進むにつれてフィット。「監督が代われば、戦い方も変わるのは自然なこと。僕たちがやるべきことは監督やコーチの理想を実現すること」と語るなど、プロフェッショナルな姿勢が際立った。

マテイ ヨニッチ:今季も堅守の中心として期待を上回る活躍を見せた

 マテイ ヨニッチの相棒を巡る争いも、今季のセレッソのハイライトの1つ。茂庭照幸から背番号3を受け継いだ木本恭生は、1年間を通じて安定したパフォーマンスを披露。その牙城に食い込む活躍を見せたのが、実質プロ1年目の瀬古歩夢第10節・松本山雅FC戦 でJ1リーグ初先発を飾って勝利に貢献すると、以降も守備だけでなく攻撃の起点としても機能。チーム全体のビルドアップの質を高めた。
 また、シーズン途中に柏レイソルへ完全移籍した山下達也も、ヴィッセル神戸との開幕戦 で決勝ゴール。出場機会を求め、自身のさらなる成長を期してチームを離れたが、彼もまた、セレッソの歴史において欠かすことができない選手だった。

木本恭生:安定したパフォーマンスで貢献、ボランチとしてプレーしたことも

瀬古歩夢:センターバックのポジション争いに名乗りを上げた19歳。東京五輪も視野に

 両サイドバック、丸橋祐介(32試合出場)と松田陸(33試合出場)の安定感も光った。ビルドアップの際は、ときにサイドに開いて幅を取り、ときに中に絞って数的優位を作るなど臨機応変に対応。フィニッシュの局面でのクロスの精度も高く、第26節・浦和レッズ戦 では、丸橋のクロスに松田が合わせてゴールを決める場面も見られた。

丸橋祐介:存在感は抜群、セレッソの左サイドの代名詞となった


松田陸:献身的なプレーでシーズンを通じて貢献した

 レギュラー陣が盤石な一方、プロ3年目の舩木翔は開幕スタメンを掴むと、J1リーグ戦5試合に出場。過去2年はJ1リーグ戦での出番はなかっただけに、新たな一歩を踏み出した。
 また、ディフェンスラインならどこでもこなせる片山瑛一も、貴重なバックアッパーとしてチームを支えた。シーズン終盤はクローザーとしてサイドハーフもこなすなど、そのユーティリティー性が光った。

 最後に、今季限りでユニフォームを脱いだ藤本康太と、契約満了によりチームを離れる丹野研太。今季こそJ1リーグ戦での出場機会は訪れなかったが、長年にわたって陰日向になってチームを支え続けた功績は今後も色褪せることはない。深い感謝とともに、これからのサッカー人生にもエールを送りたい。

藤本康太:大きな歓声と拍手に送られピッチを去った「背番号4」


丹野研太:長きにわたってチームを支え続け、今季限りで新天地へ

文・小田尚史

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