「まいど!セレッソ~マイセレ~」のオフ恒例企画「2019年レビュー」。
セレッソの2019年を、番記者・小田尚史さんがポジション別に振り返ります。
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【攻撃的MF編】

 開幕当初は3-4-2-1の2シャドー、第10節・松本山雅FC戦 からは4-4-2のサイドハーフとしてプレーした攻撃的MF。該当する選手は、清武弘嗣水沼宏太柿谷曜一朗田中亜土夢の4人だ。

 今季からキャプテンを務めた清武は、開幕戦のヴィッセル神戸戦 から9試合連続で2シャドーの一角として先発。第5節・ベガルタ仙台戦 で田中にアシストを決める場面も見られたが、チーム全体の重心が後ろに傾きがちな中で良さを出し切れず。状況が好転し始めたのは第10節、チームの形が4-4-2になり、左サイドハーフでプレーし始めてから。サイドから2つ目のレーン、いわゆるハーフスペースと呼ばれる位置で相手のマークを巧みに外してボールを受け、試合を優位に進める形が機能した。サイドで幅を取る丸橋祐介との連係も試合を重ねるごとに向上。左サイドでのゲームメイクは“ロティーナ・セレッソ”の武器となった。第25節・川崎フロンターレ戦 を前に右ハムストリングを痛め、その後のリーグ戦を7試合欠場するも、復帰後の3試合ではさすがのプレーを披露。崩しの質を高め、攻撃をリードした。

清武弘嗣:負傷離脱も、復帰後はさすがの存在感を見せた(写真は復帰戦となった第32節・神戸戦)

 清武の負傷離脱を受け、第25節から8試合連続、左サイドハーフで先発したのが柿谷。この間、第27節・ガンバ大阪戦 では水沼のゴールをアシストし、第29節・北海道コンサドーレ札幌戦 では、10月度のJ1月間ベストゴールにも選ばれたゴラッソを叩き込んだ。清武の先発復帰後は、2試合続けて2トップの一角でプレー。第33節・清水エスパルス戦 では貴重な決勝点を決め、最終節の大分トリニータ戦 では奥埜博亮のゴールをアシスト。質の高いプレーを披露した。清武と同様、2シャドーの一角としてプレーしていたシーズン序盤は輝きが限定的だったが、第5節・仙台戦の先制点に至る場面では右サイドを完璧に崩し、第6節・川崎F戦 ではゴールも決めている。シーズン中盤は試合に絡めない時期も続いたが、終盤はコンディションの上昇とともにプレーの質も高まり、ピッチで違いを見せた。

柿谷曜一朗:攻守にわたって貢献したシーズン、ホーム最終戦では劇的な決勝ゴール!

 29歳の誕生日に迎えた開幕戦は2シャドーの一角でプレーした水沼は、第2~9節まではベンチを温める。もっともこの間、ルヴァンカップで好プレーを続けると、第10節・松本戦で右サイドハーフとして先発し勝利に貢献。以降は定位置を掴み、チームに欠かせぬ存在として活躍した。尹晶煥前監督時代はクロッサーとしてアシストを量産したが、今季はフィニッシャーとしても機能。第11節・横浜F・マリノス戦 での2得点や、第33節・清水戦での同点弾など記憶に残るゴールも多く、今季のチーム得点王タイとなる7得点を決めた。ポジショナルプレー習得にも積極的に取り組み、外に張るだけではなく、中に入っていく動きでうまく松田陸を生かすなど、プレーの幅も広げた。守備における献身性やピッチ内外で声を出すムードメーカーとしての存在感も抜群で、練習からチームを引っ張った。

水沼宏太:チーム最多タイの7得点をあげ、記憶に残るゴールも多かった

 加入2年目の田中は、今季はリーグ戦での先発こそ1試合もなかったが、途中出場で21試合に出場。状況や展開に応じて求められる役割をしっかりと果たすクレバーなプレーは、いぶし銀の輝きを放ち、今季のチームになくてはならない存在だった。勝っているときにうまく試合を締めくくることも多かったが、第26節・浦和レッズ戦 では、1-1の同点で投入されると、9月度のJ1月間ベストゴールにも選ばれたゴラッソを叩き込み、チームを勝利に導いた。第33節・清水戦でも、1-1の同点で投入されると、柿谷の決勝点につながるミドルシュートを放った。ルヴァンカップ第4節・神戸戦 では、「時が止まったようだった」と自身も表現した芸術的なドライブシュートを決めるなど、印象に残るプレーも多かった。

田中亜土夢:クレバーなプレーで役割をまっとう、ゴラッソも見せた


文・小田尚史

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