「まいど!セレッソ~マイセレ~」のオフ恒例企画「2019年レビュー」。
セレッソの2019年を、番記者・小田尚史さんがポジション別に振り返ります。
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【FW編】

 2019年ポジション別レビューのラストはFW編。今季、新たに加わったストライカーは、北海道コンサドーレ札幌から移籍してきた都倉賢と、ブラジル国籍のブルーノ メンデス。両者とも、セレッソ大阪にとって今季最初の実戦、タイキャンプでのBGパトゥム・ユナイテッドFC戦 で早速ゴール。期待を抱かせるスタートとなった。

 最初にスタジアムを沸かせたのは都倉。ヴィッセル神戸との開幕戦 で64分に途中出場すると、攻撃のギアを加速させ、山下達也(現柏レイソル)の先制点に至る流れを作り出した。続く第2節・名古屋グランパス戦 で1トップの先発を張ると、第5節・ベガルタ仙台戦 で加入後初ゴール。3連敗で迎えた負けられない一戦で、貴重な先制点を叩き出した。
 一方、ブルース メンデスの加入後初ゴールは、ルヴァンカップ第1節の大分トリニータ戦 。序盤は1トップ2シャドーを採用していたリーグ戦とは異なり、ルヴァンカップでは第3節・名古屋グランパス戦 第4節・神戸戦 と一足早く4-4-2を採用。ブルーノ メンデスは高木俊幸との2トップで連勝に貢献した。

 そんな両者が2トップを組んだのが、今季の分岐点ともなった第10節・松本山雅FC戦 。ロティーナ監督が攻撃に求めていた「幅と深さ」の「深さ」を作り、それまで得点力不足に喘いでいた攻撃に光をもたらした。続く横浜F・マリノス戦 でもツインタワーを組んだ両者だが、前半終了間際に都倉が右膝前十字靭帯損傷、右膝外側半月板損傷で全治8カ月の重傷を負い、戦列を離れることに。自身にとってもチームにとっても、“ここから”というタイミングでの辛い離脱となった。

都倉賢:無念の負傷離脱だったが、懸命のリハビリで再起を期す

 それでも、そんな相棒不在を補うかのように、「彼のためにも戦う」と奮起したブルーノ メンデスがここから調子を上げていく。
 第13節・FC東京戦 第14節・サガン鳥栖戦 と2試合続けて決勝点を挙げると、第19節・名古屋戦 ではハーフウェイライン付近から独走してゴールを陥れるなど、その能力が覚醒。シーズン中盤戦のセレッソを力強く牽引した。第27節・ガンバ大阪戦 でも先制点を決めたが、第29節・北海道コンサドーレ札幌戦 で左下腿三頭筋筋損傷により離脱。以降はシーズン終了まで復帰は叶わず、最後は悔しさも残る結果となった。

ブルーノ メンデス:多くの印象に残るゴールを上げ、チャントも話題になった

 尹晶煥前監督時代は左サイドハーフとしてもプレーしていた高木は、ロティーナ監督の下では一貫してFWで起用された。第11節・横浜FM戦では、負傷交代した都倉に代わって前半41分から出場し、後半に追加点。以降も先発の機会こそ限られたが、持ち前のスピードを生かしたプレーで貴重な交代カードとなった。一方で、8~9月にかけては腰椎椎間板ヘルニアで戦列を離れる時期もあり、コンディション面に苦慮したシーズンでもあった。

 得点力アップ、攻撃の活性化を図るため、夏の補強としてチームに加わったのが、FC琉球から完全移籍してきた鈴木孝司。セレッソデビュー戦となった第23節・横浜FM戦 からチームは破竹の5連勝を達成。すべて複数得点での勝利を飾り、まさに起爆剤としての役割を果たした。その間、第25節・川崎フロンターレ戦 では、J1初ゴールとなる決勝点も叩き込み、その存在を大いに知らしめた。

 総評すると、ケガも重なり、FW全体の得点数としてはもの足りないシーズンになったことは確か。来季、より上位を狙うためには得点力アップは欠かせない要素だが、リーグ最少失点を記録した今季の堅守の一翼を前線の選手たちも担っていたことは間違いない。
 途中から2トップの一角にコンバートされた奥埜博亮も含め、相手のパスコースを限定するポジショニングや、全体をコンパクトに保った中でのプレスのスタート地点として、「11人で行う」(ロティーナ監督)前から始まる守備を機能させていたことは付け加えておきたい。

奥埜博亮:ボランチからコンバート、FWとしても獅子奮迅の活躍。歓喜の場面を数多く演出した


文・小田尚史

FW編:今季、最も印象に残った選手はだれやろ?
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